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ネーベン村の土

今回はちょっと真面目

「長い馬車旅だったので、今日はしっかりと休んで疲れを取って下さい。明日の朝、お迎えに来ます」とソラさん。


 ソラさんたちソラ団のメンバーはこれから明日からの狩りをする前の下準備として罠穴を掘るそうだ。


 ネーベン村には宿屋なんてものは無いので、村長さんに空き家の一つを貸して貰って寝床にすることにした。


 この空き家は最近村から消えた家族の家だったらしい。


 家財道具もほとんどそのまま残されている感じが急ぎの夜逃げだったのを容易に想像させる。


「農作物の不作で夜逃げか……」


 アイラがなにかを思い出したようだ。


「ソラが『村の土が腐っている』と言ってたけど、アルクの鑑定スキルで土を鑑定できないのかな?」


「調べてみたいけど、未だに鑑定スキルの使い方がわからないからな……」


「夜までは時間が有るので鑑定スキルの使い方を考えてみよ」


 そう言うことで鑑定方法を色々と探る。


 *


「こう言うことなのか!」


 夕方まであれこれ試していたらなんとなく鑑定スキルの使い方がわかった。


「この鑑定スキル、新しいスキルと思ってたけどチカンスキルを使った上で置換させる物を指定した時に自動で発動させるみたいだな」


「ややこしいですね」


「だな。置換させる対象にしか使えない。ソニアの折れた角を置換する時『欠損』と情報が表示されていたけど、その情報が交換対象になるホーン・ラビット角側でも見れるみたい」


 まあ、鑑定したいものを最初に指定してしまえばこの鑑定スキルは無意味だ。


「じゃあ、さっそく試して見せて下さい」


「おう!」


 俺は右手の皿に砂を盛り、左手の皿の上の畑の土に対して置換指定する。


 すると畑の土の情報が表示された。


 畑の土には『土:塩害』と情報が付いている。


 俺はアイラにそれを報告した。


「この土は塩害だそうだ」


「塩分を含んだ土なんですか。どおりで作物が育たなかったはずです」


 今まで黙って聞いていたソニアが首を傾げた。


「土に塩分が混ざっていたら作物が育たないのはなんとなくわかるんだけど……。なんで海水を被ることの無い海から離れた土地なのに塩害になるんです?」


「それなんですけど」


 アイラは原因がわかったようだ。


「土というものはどれでもわずかに塩分が含まれていて、乾燥地で水やりとかを繰り返すと地中の塩分が流れずに地表に湧き出てくることがあるんです」


「詳しいな」


「えっへん!」


 アイラは嬉しいのか親指を立てガッツポーズをしていた。


 *


 作物が育たなくなった原因がわかったので、俺は村長にを報告する。


「なるほど、塩害で作物が育たないのですか。やはりそうですか」


 村長はなにか心当たりがあるのか頷いていた。


「なにか思い当たる事でもあるんですか?」


「この村は20年前に食料増産の目的で乾燥して雑草も育たない荒れ地に灌漑工事、すなわち川を通す工事をして開かれた村なんです」


 村長は昔を懐かしむように話を続ける。


「初めこそ大量の収穫で村民は沸き立ったのですが、収穫は徐々に減り5年ほど前からは全く収穫の出来ない土地も出始めたのです。これは枯れ果てた土地を灌漑したことによって水の神の怒りをかったのでは?と噂されていたのです……」


 俺は力説する!


「神の怒りではありません! 塩害の対策をすればこの村は蘇ります!」


 でも村長は困った顔をした。


「塩害が原因だとわかっても、塩害の対策をするお金が村には無いですし、対策は5年10年じゃ終わらないこともわかっているのです。これは村を捨てるしか方法が無いのかと……。ソラたちを冒険者にしたのもこの村以外でやっていける様にと思ってのことなんです」


 村長は塩害が作物が育たない原因だったことに薄々気が付いていたみたいだ。


 村長はポツリと言った。


「この村を捨てる覚悟が出来ました」


 ソラとゼル、ジェリカのソラ団のメンバーがネーベン村の救世主になるとは、この時誰も想像出来なかったのであった。

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