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ネーベン村での依頼

 ランクアップ講習を終えた俺たちはソラ団のメンバーが明日にはネーベン村に帰るというので講習会の打ち上げを兼ねた壮行会をやっていた。


「講習会の受講完了、お疲れさまでした。かんぱーい!」


「かんぱーい!」


 ゼルが俺に話し掛けて来た。


「そういや、講習会でお世話になったライムの姉御と婚約したんだってな」


 そう言いながら俺のわき腹をぐりぐりして来る。


 ライムから婚約してくれと言って来たので俺は「ハイ」と答えただけなんだが、上手いことやったと言われたら否定はできない。


食事会は進み、冒険者ギルドで講習の報告を済ませたライムが合流して来た。


「もう出来上がっちゃってる?」


「いや、俺たちはお酒を飲めないので飲んでないです」


 本当は俺とソニアは酒を飲めないことは無いんだが、馬に喧嘩を売った酒癖の悪さなので外では一生飲むことはないだろう。


 もちろんアイラは未成年なので酒を飲ませることは無い。


 この中で酒を飲んだのはソラだけだけど、今日の飲み会のメンバーが誰も飲んでいないので空気を読んでビール一杯でやめたようだ。


 ライムは俺たちが飲んでない確認して仕事の話を始めた。


「それは良かった。悪いんだけど、ソラ団の冒険者パーティの立ち上げにリプレイスメントがついて行って貰えるかな?」


「どういうこと?」


 ゼルが割り込んできた。


「俺から頼んだ事ですよね?」


「ええ」


 ゼルは改まって俺に話し始める。


「昨日、俺からお願いしたことなんだけど、俺たちだけだとまだ狩りに自信がないから誰か経験者を付けて見守ってくれとお願いしたんだ」


「それもタダでね」


 ライムが一言突っ込むとゼルは頭をポリポリ掻いて頭を下げた。


「お金なくて申し訳ない」


 ライムがいう。


「報酬は安心して。わたしが冒険者ギルドに掛け合って、初心者支援と言う名目で高くはないけどギルドの経費で日当が出ることになったからリプレイスメントのメンバーでソラ団をフォローして貰えませんか?」


 ソラ団とは気心の知れた仲だし特に断る理由も無い。


「特に予定は無いからその依頼受けます」


「ありがとう。じゃあ、明日の朝、ギルド前でね」


 ライムはそういうとまだ仕事が残っているのかギルドへの報告に戻っていった。


「姉さん忙しそうですね」


「だな」


 今までミントのことをよく見てなかったから、受付の業時間務以外に仕事が有ってあんなに忙しそうにしているのは知らなかったぜ。


 *


 翌朝、ギルド前に集まってそこから馬車でネーベン村まで向かった。


 約3時間の道のりで近くはない。


 ライムは受付の仕事があるということで俺たちにはついて来なかった。


 ライムの仕事の話とか、俺を好きになった経緯とか色々と聞いてみたかったんだけど、仕事があるなら仕方がない。


 戻ってからゆっくりと聞こう。


 やがて馬車はネーベン村に着く。


 まだ、村の中心地には程遠いいが、辺り一帯に雑草がまだらに生えてる荒れ地で畑の作物は見当たらない。


 ソラがため息交じりに言う。


「このあたりも元はちゃんとした畑だったんだけど作物が全然収穫出来なくなってねぇ」


 本当に畑が荒れてて作物が出来ないんだな。


 事前に畑だったと聞いてなかったら、畑だったとは思えないわ。


 ジェリカもため息交じりで続けた。


「ここの畑の持ち主は気がついたら村から逃げていった」


 荒れ果てていた畑を見ていたアイラがソラに聞いた。


「作物が収穫出来ないって畑に病気でも蔓延したんですか?」


「原因不明なんです。年寄りが言うには土が腐ってるらしい。収穫出来なくなった畑の大部分がこんな感じなんです」


「こんな状況なので俺たちは畑作を諦めて冒険者をやることになったんだよ」


 そう言ったゼルは遠い目をしていた。

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