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ワイルド・ボア狩り講習①

 講習の狩猟パートが始まった。


 狩場はキャンプ地から少し離れた広場だ。


 キャンプ地でワイルド・ボア狩りをするとテントが荒らされて酷い目に遭うというのがその理由だ。


「では、この広場で狩りましょう。釣り役はゼルさんとアルクさんにお願いします」


 まずは俺たち全員でワイルド・ボアを倒すこととなった。


 最終的にはリプレイスメントとソラ団で別れて狩りをするらしいが、まずは一緒に狩って流れを掴む。


 ちなみに釣り役というのは獲物を見つけて、皆が待ち構えている陣地迄獲物を連れてくる役目だ。


 陣地迄獲物を連れてくる間、仲間の助けが入れないソロ行動なので釣り役はもっとも危険な役割でもある。


 15分ほど森の中を探索していると、芋を掘っているワイルド・ボアを見つけた。


 ここで俺たちが取る選択肢は……。


 1.ワイルド・ボアを倒す。


 2.ワイルド・ボアに見つかる前に逃げる。


 どっちも不正解だ。


 貧弱な戦力の俺とゼルの二人だけで倒すのはあり得ないし、ワイルド・ボアから逃げてたんじゃなんの為に釣り役として探していたのかわからん。


 薬草採りでワイルド・ボアに出くわしたら見えた時点で全力で逃げるのが最良の選択だが、今回はこいつが獲物である。


 囮としてワイルド・ボアにわざと見つかり、追いかけられ陣地迄連れてくるのが俺たちの仕事だ。


 俺は芋堀に夢中なワイルド・ボアに気付かれぬようハンドサインを交えゼルに合図を送る。


『見つけたぞ、囮を頼む』


『了解。サポートを頼むぞ』


『任せろ』


 ゼルはワイルド・ボアに向かって石を投げると、大声を出す。


「ワイルドボアが出たぞー!」


 ちょっと間抜けな掛け声。


 石は届かなかったけど、声が思ったよりも大きかったのでワイルド・ボアの興味は惹けたようだ。


ワイルド・ボアがゼルを追いかけ始めるとゼルは一目散で陣地へと戻る。


 俺はゼルが帰り道を見失なわないように先行して声で誘導だ。


「そのまま真っすぐ!」


「大岩の右を抜ける!」


「もうすぐ茂みが現れるので事前に左側に寄せて走る!」


 陣地では教官のライムとソニア、アイラ、ソラ、ジェリカが俺たちの帰還を待っている。


 ソニアは盾を構えてドッシリと待ち構えていた。


 本来、ワイルド・ボアはその重量と速度からけっして盾で真正面から受け止めてはいけない敵だが、ソニアはその突進を受け止めたいという。


「さすがにオーガのソニアでも危ないだろ」


 俺が止めてもソニアはやると言って聞かない。


「昔のわたしはワイルド・ボア程度の敵は拳でぶん殴るだけで倒せてたんですけど、今の自分の実力がどの程度なのか確認したいのです」とのことでソニアが力試しで正面から受け止めることにしたのだった。


「来るぞ!」


 ワイルド・ボアがゼルを追いかける足音と、ゼルの泣き叫ぶ声が聞こえた。


「死ぬ死ぬ死ぬ! 死んじゃう!」


「もう大丈夫だ。任せろ!」


 ソニアはゼルを背後に匿う。


 そしてワイルド・ボアにひとり立ち向かった。


 物凄い音を立てソニアは向かってきたワイルド・ボアを盾で受け止める。


「ガシン!」


 凄まじい衝突音だったがソニアは何事も無かったかのように涼しい顔だ。


「軽いな」


 ワイルド・ボアは盾で頭を打ち付けたのか動きが止まった。


 ソニアはその隙を見逃さない。


 ソニアは素早く斧に持ち替えると一気に振り下ろしワイルド・ボアを仕留めた。


「思ったより手ごたえが無いな」


 それを聞いてソラもゼルも開いた口が塞がらない。


「すご……」


「すげーな、おい」


 ライムは得意気に言う。


「リプレースメントはグレート・サイクロプスも倒してますからね」


「それってサイクロプスのデカいのだろ?」


「あんなの倒せるの?」


「倒したんですよ、リプレースメントの皆さんは」


 それを聞いたゼルが落ち込んで肩を落とす。


「更に自身なくしたぜ」


 ライムは落ち込むゼルを慰める。


「ワイルド・ボアを倒す自信を付ける為に講習に参加したんでしょ? 今度はソラ団だけで狩るわよ。あなたたちだけで倒せる方法を伝授してあげるからね」


「マジか? ライムさん、いやライムの姉貴! よろしくお願いします」


 こうして俺たちはリプレイスメントとソラ団にわかれてワイルド・ボア狩りをすることとなった。


 *


 ソラ団と別れた俺たち。


 メンバーはいつもの3人だ。


 リプレイスメントのメンバーにはライムも入っていることになっているがソラ団に付き添って教官としての仕事が有るので今日は別行動である。


 俺は別れ際にライムが言っていたことが気になった。


「さっきソラ団との別れ際にライムがソラ団だけでワイルド・ボアを狩る方法があるって言ってたけど、どんな作戦なんだろうな?」


「うーん」とソニアが考え込む。


 戦闘経験の豊富なソニアが悩むぐらいソラ団単独でワイルド・ボアを狩ることは難しいのだろうか?


「あのパーティーでワイルド・ボアを狩ることは難しいと思います」


「そうなのか?」


 やはりソニアの答えは難しいとのことだった。


「明らかに格下の敵でない限り、盾無しのパーティーの戦士と魔導士だけで狩れる敵は少ないです」


「それだと本当にソラ団だけでワイルド・ボアを狩れる作戦があるならライムの作戦は名案だな」


「そうですね。爆弾でも使うんですかね?」


「そんなわけあるかい!」


 さすがにそれは無いだろ。


 爆弾なんて使ったらワイルド・ボアが木っ端微塵で食うとこが無くなる。


「わたしも興味が有るのでアルク様が許されるのならば、後で様子を見に行きたいです」


「わたしも行きたいな」


 ソニアもアイラもソラ団の狩りに興味が有るらしい。


 もちろん俺もだ。


「よし、ワイルド・ボア狩りが済んだら見に行こう」


 ソニアが珍しく俺に意見をしてきた。


「それと、わたしたちは釣りをやめましょう」


「どういうことだ? 釣りをしなくても狩れるのか?」


「釣りはアルク様を危険に晒すことになります。それとさっきワイルド・ボアと戦った感じかなり弱かったので移動狩りにしましょう。時間の無駄です」


 移動狩りがどんなことかわからないが、時間の効率がいいなら試してみるべき。


 俺はソニアの案に乗ることにした。

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