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恒例のあいつ

 ゴブリンの巣に狩りに来た俺たち。


 アイラのレベルも6に上がったので経験値の少ないゴブリンでは今迄みたいに簡単にはレベルが上がらなくなってきた。


「そろそろ、別の狩場の敵を考えないといけない時期に来てるのかもな」


「アルク様、講習が終われば晴れて冒険者ランクがEランクに昇格で、Fランク以外にEランクの討伐クエストも受けられるようになります。冒険者ランクが昇格したら新しい狩場を考えましょう」


 アイラもソニアの案に賛成のようだ。


「冒険者ギルドのライムさんに聞けばいい狩場を教えてくれるんじゃないかな?」


「そうだな、明日からの講習でライムもパーティーメンバーになるし、聞いてみよう」


 てな感じで今日のゴブリン狩りを終えて、町に戻り講習の準備の買い出しに行こうとしたその時またまたあいつが現れた。


「そこの冒険者さん、助けて下さい!」


「またかよ」


 毎度のサイクロプスに馬車が襲われている現場に遭遇した。


 俺たちのサイクロプスの遭遇率は高過ぎだろ!


 普通はこんなにサイクロプスとかち合うことなんて無いぞ。


 運悪すぎだろ!


 俺は馬車の中で助けを求めている人を確認する。


 今度は間違いなく女の子だ。


「よっしゃ!」


 別にエロい展開を期待して喜んでるんじゃない。


 この前みたいにアイラ関連のおっさんだったら面倒な事に巻き込まれるのでノーサンキュー、スルー推奨だ。


 ソニアが俺のことを期待した目で見る。


「アルク様、今度こそサイクロプスを華麗に仕留めて汚名挽回ですよ」


「お、おう」


 アイラも同じく期待した目で見つめてくる。


「また口から内臓が飛び出ても、回復魔法が上手くなったので安心して下さい」


 この前の俺って口から内臓が飛び出るほどの大惨事だったのかよ。


 聞きたくなかった情報だ。


 まあ、俺もこの前サイクロプスと戦った時よりは剣が上達しているはずなので安心して見ていてくれ。


 え?


 この前も同じような事いっててやられただろうって?


 気にすんな。


 そんなこと忘れちまえ。


 と、俺は心の中の声に一人ツッコミ。


「覚悟しやがれ!」


 俺はサイクロプスにひとり立ち向かった。


 *


 

 結果から言ってしまおう。


 サイクロプス戦のリベンジは俺の見事な大勝利で幕を閉じた。


「さすがアルク様!」


「アルク、凄い!」


 これが噂の『さすアル』と『アルすご』か。


 言われてみると気持ちいいもんだな。


 顔がにやけて癖になりそう。


 馬車の中からは若い女の人と女の子と野郎の合計3人が降りてきた。


 女の人と野郎は俺と同じぐらいの年齢で、女の子はアイラと同じぐらいの歳だった。


 女の人が頭を下げる。


「サイクロプスを倒して頂いて、ありがとうございます」


 野郎が続く。


「へっぴり腰で何度も死にそうになってハラハラしたけど、サイクロプスを倒してくれてありがとうな」


「こら、ゼル! サイクロプスが現れたら腰が抜けて戦うことも出来なかったあんたが言うんじゃないの!」


「すまんすまん」


 ゼルと言った野郎は頭をポリポリ掻いて平謝りだ。


「これからあんなデカブツを倒さないといけないのかと思うと、冒険者をやっていく自信を失ったぜ」


 アイラはそれを聞くと目を丸くしていた。


「もしかして、あなたたちも冒険者なのですか?」


「おう、俺たちは隣村から講習を受けに来た新進気鋭の冒険者パーティー『ソラ団』のメンバー戦士ゼルだ。よろしくな」


「リーダーはわたし、魔導士のソラよ」


「ゼルの妹の魔導士のジェリカ。ちなみにソラはお兄ちゃんに奇跡的に出来た彼女なので手を出さないでください」


「うっせー!」とゼル。


 今度は俺たちの自己紹介の番だ。


「俺たちはこの町の冒険者パーティー、アルクとソニアとアイラだ。よろしくな」


「よろしく」


「よろしくお願いします」


 こうして俺は冒険者となって初めて他のパーティーの人間とまともに会話を交わしたのだった。


 ソラとゼルが言う。


「少ないですが助けてくれたお礼にお腹いっぱいになるまでご飯をおごります!」


「もちろんソニアとアイラも一緒だぜ」


 満面の笑みで目を輝かせるソニア。


「本当ですか?」


 ソニアの目の輝きの意味を知ってゼルが後悔するのは宿屋で食事を取り始めてすぐのことだった。

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