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パーティー設立

 冒険者ギルドに報酬を貰いに立ち寄ると、帰り際にミントに引き留められた。


「アルクさん、冒険者ランクの昇格試験が終わったんですから昇格者に課される講習を受けて下さい。講習を受けるまでランク昇格条件を満たしていても昇格は認められませんからね」


「へいへい」


 講習を受けるのはめんどくせ~なと思いつつ、冒険者ギルドのルールを無視して受けない訳にもいかない。


 仕方なしに講習の申し込みをする。


 申込書に記入している時に困ったことが起きた。


「そう言えば、俺たちのパーティー名ってなんだっけ?」


 ソニアが思い出しながら答えてくれる。


「アルク様から聞いたことが無いし……。いつも『うちのパーティー』とか言ってましたよね」


「そうだったっけ?」


「はい。多分パーティー名は決めてないと思います」


 そういや、今までソニアと俺の2人だけだったのでパーティーに名前を付けるなんて考えが起こらなかった。


「いい機会だからパーティーの名前を決めるか。いい案が有ったら出してくれ」


 ソニアとアイラはパーティー名を考え始める。


 先に思いついたのは意外にもソニアだった。


「アルク団!」


 それって『アルクと愉快な仲間たち』みたいな名前で俺が傲慢なやつと思われてしまうじゃないか。


 さすがにそれは無い。


「却下!」


「はう!」


 なんでなんですか……とソニアは座り込んでいじけていた。


 次はアイラの案だ。


「|REPLACEMENTリプレースメント


 なんか横文字なのがカッコよさげ。


「意味は置換のことです」


「採用!」


 ということで、パーティー名も決まりランクアップ講習の申込書を書いたんだけど……。


「このパーティーは無効です」


 ライムに却下された。


「なんでだよ? パーティー名もちゃんと付けただろ?」


「メンバーが1人だからです。サビアはアルクさんの所有物なので人数に入りません」


「なんですと!」


 悪評の広がりまくったチカン師の俺がサビア以外のパーティーメンバーを増やすなんて出来るわけ無い。


 詰んだ、終わった。


 地獄のどん底に叩き落とされた気がしてたんだけど、天使のアイラの声が聞こえる。


「パーティーを組めないのなら、アルクさん一人で受けたらどうです?」


 その手があったのか!


 ナイスアイデア!


 グッジョブ、アイラ。


「じゃあ、パーティーじゃなく俺単独で講習を受けるよ」


 それを聞いたライムは困っていた。


「そ、そ、それは認められません! パーティーじゃないと講習の受講は認められません」


 講習を受けられないんじゃ俺の冒険者人生はここで終わった……。


 そう思ってたら、ライムが提案を出してきた。


「仕方ないですね。早く講習を受けさせろとギルド本部から催促されているので今回だけ特別ですよ」


 ライムはそう言い、ギルドメンバー表にライムの名前を書き足した。


 見かねたライムがパーティーに入ってくれた。


「ありがとうございます。ライム様」


「幼馴染のよしみで今回だけですよ」


 こうして俺のパーティーは結成され無事に講習を受けられることになった。


 *


 アルクさんのパーティーがギルドに戻って来たわね。


 今日はわたしの窓口に来てくれないのね。


 少し寂しい。


 いつも楽しそうにしているあの3人がうらやましい。


 わたしもあのパーティーの中には入れたらな……いや必ず入ってみせる!


 作戦を決行するなら、アルクさんがランクアップした今しかない!


 わたしは練りに練った『アルクパーティー加入作戦』を決行することにした。


 まずはアルクさんを呼び止める。


 もちろん、受付にいたら同僚に聞かれてこの作戦がバレるから声を掛けるのはギルドの入り口付近でね。


「アルクさん、冒険者ランクの昇格試験が終わったんですから昇格者に課される講習を受けて下さい。講習を受けるまでランク昇格条件を満たしていても昇格は認められませんからね」


 有りもしない昇格講習の話をする。


 受講者が自分で費用を支払って参加する講習は有るけど、ランク昇格の試験は有ってもランク昇格後の講習なんてものはない。


 でも、アルクさんはボッチなのででっち上げた講習でもバレることは無いはず。


 アルクさんはわたしの言うことを信じて近くの机に座り講習の申込書を書き始めた。


 書き終わった申込書を見てわたしが言うことは決まっている。


「このパーティーは無効です」


 そうして困り果てるアルクさんにわたしが助け舟を出す形でパーティーに加入するというのがわたしが考えた作戦。


 だけどアルクさんはわたしの想定していた回答とは違うことを言い出した。


「じゃあ、パーティーじゃなく俺単独で講習を受けるよ」


 えっ?


 なんでそういう返事になるの?


 困り果てるんじゃないの?


 わたしは出まかせを言ってその場をしのぐ。


「そ、そ、それは認められません! パーティーじゃないと講習の受講は認められません」


 それを聞いたアルクさんはやっと困った表情をする。


 ふー、どうにか持ち直した。


 ここでわたしが恩を売るのよ。


「仕方ないですね。講習を早く受けさせろとギルド本部から催促されているので今回だけ特別ですよ」


 こうしてわたしは念願叶ってアルクさんのパーティーに一時的とはいえ入ることに成功した。

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