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第11羽 速水 ②レシピエント -1/6-

時間は遡り。二月頭。

撮影も全て終わり、速水はやっと引っ越しを終えた。


そこで速水はエリックに、『私なら、貴方の病気を治せます』と言われた。


『貴方はもうステージ4まで進んでいます。ステージ5に到達すればぐっと楽になりますよ』

そう言ってエリックが机の上に置いたのは、いかにも怪しい茶瓶だった。


…どう考えても、中身はおなじみの小さな黒い錠剤。

最近どこの医者へ行ってもこれを渡される。

一度、マーケットで買い物して勝手に袋に入れられたときには、もう人生やめたくなった。


速水がそれを見たまま動けないでいると、代わりにエリックが蓋を開けた。

速水は、エリックを見た。


『症状を進めるための薬です。人によっては、強い吐き気やめまい、幻覚症状が出る事があります。飲み込めなかったら、舌の裏に置いて舐めるだけでも大丈夫です。一日、決まった時間帯に一錠。空腹時に飲んで下さい』

エリックは淡々と使用上の注意を速水に語る。


舌下投与って、ヤバイ薬だろ。

幻覚症状って、ドラッグだろ…。


…事情は聞いたが、ぜったい死ぬだろ。


『これからは外出は禁止されます、必要な物があったら私かウルフレッドがご用意します。食事も全てスタッフがご用意致します』


速水は、薬の瓶を見ていた。


『まずは一錠…。どんな症状が出るか、記録します。どうぞ?』

エリックが優しく微笑んで瓶を差し出す。彼はカルテを持っている。

もちろん速水には、エリックが悪魔にしか見えない。


速水は震えながらエリックを見た。


『…普通、どのくらいの間、飲み続けるんだ…?』

速水は聞いた。

『そうですね…個人差もありますが、二ヶ月ほどです。…大丈夫です。貴方は再検査を全てクリアしています。絶対、助かります。私と、『プロジェクト』が全力でサポートします。頑張りましょう…!!』


力強く手を握られた。

二ヶ月?…意外に短いのか?でもそれって逆に不味いんじゃ。

助かりますって。あっさり死ぬやつもいるのかよ…。


速水はエリックの手を振りほどきたかった。

――解けたと思ったら、手のひらに薬が置かれていた。


…昨日、速水はでかい病院に連れて行かれ、幼稚園上がる前に受けた検査ととても良く似た訳の分からない検査をされて、最後に歓声を上げられた。


『…ダンス、続けられるかな…』

速水は手のひらの上の薬を見てつぶやいた。


エリックは答えなかった。



■ ■ ■




『動こうと思ったら撃つわよ』

ケーキを食べ終わったルイーズは拳銃を取り出して、速水に銃口を向けた。


エリックが速水の後ろに立ち、速水の前でジョーカーがゆったりと煙草をふかす。

『…俺はお前を買ってるんだ。覚えてるか?茨城の、小さな、お前の初ステージ。…お前が十歳の時だったな。お前のダンスを見た時、俺は、ああ、そうかノアのライバルはコイツだ、って思ったんだよ』


速水ははっとした。


『馬鹿な審査員のせいで、お前はあの後すぐに帰っちまったが…。本当に、運命を感じた…。ジョンが日本に行ったのは、もちろん俺がそう仕向けたからだ。アイツとは長い付き合いだったが、まあ、超簡単だったぜ?俺が世界平和の為に、地道にジョーカーやってるって、アイツも、誰も知らなかったからな』


ぽん、と頭を撫でられた。


『速水朔、ジャック。お前はエクストラジョーカー、もう一枚のジョーカーさ。なぜって彼女がそう決めたからだ。…俺はこの奇跡に心底感謝してるんだ。将来はノアがGANのトップに立ち、お前がプロジェクトを引き継ぐ、どうだ、上手く行きそうな計画だろ?』

ジョーカーは笑った。


『お前は、俺から逃げられない』


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