第百一話「ヒャッハー!」
溜まってる鍛冶の依頼をこなして、グロウストーン1つと上硬化の魔石をレベル査定に出したぞ。
ジージに貰った残りの4つのグロウストーンは、出したら出したで怪しまれるからな。
現在は……。
■ドン
■剣士レベル:51
■残額:611万7100レンジ
って感じになってる。
グロウストーンは5つ全てまだ第一段階だから、とりあえず第三段階を目指して頑張りたいものだ。
んで本日やって参りました神エヴァンス城。
前に言った通り、ただの高層ビルみたいなもんですけどね?
城の中に鍛冶施設があるのにもかかわらず、何で俺に依頼がかかったんだ? って思って一般人に聞いてみたら、どうやら城の鍛冶工房に依頼が可能なのは、かなり上の位にいる人ばかりらしい。
ってわけで、神者ギルドの下っ端は外部の鍛冶に依頼をかけるんだそうだ。
勿論、神者ギルドの力で強引に値引きをするそうだが……俺はぶっちゃけ1万レンジでもプラスになるから全然良いんだけどな。
だって気を使うにしても、ハンマーを一回振り下ろすだけで1回1万円だと思ってくれよ?
ぼろい商売でっしゃろ?
はい、城内です。
意外に普通のフロアだな?
白いタイルっぽい床に黒が基調の壁。
受付とかも一応あるみたい。
全員がレッドが着てた制服みたいなのを着てる。
……そういやガディスもそうだったな?
階段はあるが、それ以外に1階毎に跳躍で上階へ行ける剥き出しの踊り場がある。
受付で聞いたところ、俺が行く鍛冶工房は地下2階にあるそうだ。
そんなわけで俺は地下へ行く階段へ。
…………地下2階に着くって時に、見覚えのある人間が階段を上がってきた。
「お前は……」
「君は……」
「知り合いか?」
レッドにガディス……茶髪七三分けの眼鏡をかけたドド○アがいるぞおい。
……まさかこれが第5剣士のザーボンだってかっ!?
「お久しぶりですレッドさん。
それに……いつぞやの……?」
「確か……ドンだったか?」
「へぇドン君か、先日は挨拶が出来なくて申し訳ない。
ガディスという者だ、宜しく頼むよ」
「ほぉ、ガディスも知ってたか」
「中々の実力だったから印象的だったよ」
「確かに結構強ぇな?」
「えっと……そちらは?」
「ザーボンだ」
やはりか……ドドボンさん、いやザボリアさんか?
まぁザーボンで良いか。
「申し遅れました、ドンといいます」
「お前ぇ、神者ギルドの人間じゃねぇな?
今日は何の用でここに来たんだ?」
「あぁ、自分は剣士と並行して鍛冶屋もやっています。
本日は神者ギルドの方からウェポンエンチャントの依頼がありまして伺いました」
「ほぉ、大した才だな……」
「ドン、お前レベルはいくつになった?」
「現在51ですね」
「お前の実力にしてはあまり伸びてないな」
「ははは、怠慢でしたね」
「鍛冶屋も並行してるのであれば仕方ないよ、ドン君」
「お前ぇ、今日は結構値切られるんじゃねぇか?」
「自分の所は元々格安なので値切られても痛くないですよ」
「へぇ、いくらでやってんだい?」
「1回10万前後ですね」
「「「なっ!?」」」
あ、何か食いつかれたぞおい。
こいつらは金持ちだろうし、もう既にエンチャントが完了してるんじゃないのか?
「是非我が部隊の依頼もしたいのだがっ」
「俺の部下のも頼みたい……」
「はっはっはっは、これは俺のヒューマンコードだ」
「あ、どうも」
なるほど……自分の部隊のも行わなくちゃいけないのか。
そりゃ金があってもきついわな。
「これは私のだ」
「受け取れ……」
大物沢山釣れました!
しかし仲良くなってしまいそうだ……。
悪い人に感じねぇぞ?
んー……裏があるのか?
いや、初対面でも自分に利益のある者には普通こんなもんか。
「ど、どうも……」
「仕事が終わった後にでも連絡をくれたまえ」
「ではな……」
「じゃあな」
それに……戦争してたのはこいつらの先祖だしな……。
あいつら3人ともほぼ人間だったし、本来の敵は何世代も前の奴らだしなぁ……。
ん……となると、敵は召喚士か?
召喚士の世代交代とかあるのかしら?
1000年前、召喚士が皆ハーフエルフならまだ生きてるって事か。
召喚士もまだ数人しか判明してないし、判明しても中に誰が入ってるのかわからねぇ……。
こりゃ結構手こずるかもしれん。
いざそれがわかって戦闘になっても、召喚獣である皆を出すとは限らないしなぁ。
戦力は整ってきたが、こりゃハードモードだわ。
狂神様がいれば……ぶっちゃけた話、倒すだけなら簡単なんだがなぁ……。
はい、ただいま!
20日で終わらせて欲しいと言われた約100回のウェポンエンチャントを1日で終わらせてきたぞ☆
おかげで800万の契約が1000万になったぜ!
うーむ、天職かもしれん……。
んじゃ、ここで俺の考えを皆に教えておこう。
順序としては、多少時間はかかると思ったが、まず俺が神者ギルドに入り、そして魔石を集めて強くなり、神者ギルド内で強い発言力を持っていけば中から崩せると思ってな。
詳しい作戦はともかく、神者ギルド内で内戦的なのを起こして、「俺達が神者ギルドを運営しちゃえばいいんじゃね?」ってのが俺が考えてた作戦だな。
そうすれば反抗組織を民衆が受け入れる必要がないしな。
勿論、代表的な剣士が死んだとかいなくなったとかになれば多少問題があるかもしれないから、名前だけ残しておくとか暫くしたら病死とかにするとか……まぁそこら辺の微調整が必要だと思ってたわけだ。
しかし、オーディス達の子孫と言えど、全員良い奴だったら流石に殺すとかはアレですよね?
主人公としてそれはやっちゃいけないわけですよ。
それに多少強引ではあるが現在の民衆に神者ギルドが受け入れられてる部分も……勿論あるからな。
となると…………和解的な和平的なアレが求められる訳だ。
そしてチャッピー達の開放も……。
あれ、やはり難度高くね?
第二部……早く終わると思ったら先は長そうだなおい。
はーい、本日は黄金魔石を狙っおります!
当てとしてはキャスカと最初に手に入れた場所と、ラスティ事件があった場所だな。
気づいてる人は気づいてるかもだが……そう、ダンジョンは同じ魔石を生み出すんだよ。
生きてる間は最初に見つけた奴のほぼ独占みたいなもんなんだ。
エヴァンス近辺のキャスカ達と黄金魔石を手に入れたダンジョンは……ハズレ。
ってわけで、元オディアータ南側にあるダンジョンに来ました!
もっと早く来ればよかったんだが思い出した時は忙しかったので……な?
はい、何事もなく黄金魔石ゲット!
やはり俺にはこれがないとな!
あ、剣士ギルドのレベル査定の話を詳しくしようか。
査定として見られるのは武器、武器のウェポンエンチャントしてる魔石、ネックレス、バングル、リング、それにそれ以外の手持ちの魔石だ。
俺の場合はグロウネックレスを首に1つ、上硬化のバングル、ハイスピードバングル、硬化のリング、パワーリング、それに将軍の剣だ。
さっき言ってた、それ以外の4つのグロウストーンに関して伏せてるのは、最近のジージがグロウストーンをあまり生んでないからってのが最大の理由だ。
つまりこの時代ではグロウストーンがめっちゃ貴重なんだ。
だから査定の時には隠してるわけだ。
これは「貴重なグロウストーン持ちすぎ」、「あいつ怪しい」を避ける為だな。
さて、手に入れた黄金魔石が査定に入ると…………。
■ドン
■剣士レベル:81
■残額:1611万7100レンジ
一気に30上がったぜ。
現在の俺の装備はこんな感じだ。
装備
■竜剣レウス(納刀時左腰):ロングソードタイプ(右手)
エンチャント(完了):グロウストーン(★)10個
■竜の剣(牙)オバルスの剣(納刀時背中):ロングソードタイプ(左手)
エンチャント(完了):グロウストーン(★)5個・回復・回復・回復・飛行
■将軍の剣(常時背中):バスタードソードタイプ
エンチャント(空き5):無し
■スン手作りの冒険者の服(青)
■レジストマント(黒)
■スン手作りのブーツ(黒)
■グロウネックレス(1)
■ハイスピードバングル(左)
■上硬化のバングル(右)
■硬化のリング(左)
■パワーリング(右)
鞄
■特製カンテラ
■黄金魔石1個
■グロウバングル(1)2個
■グロウリング(1)2個
レベル査定に行く時だけ武器とグロウストーンを外してるんだが、これが結構面倒なんだ……。
早いとこ神者ギルドに入りたいもんだ。
お金が2500万溜まったらマスター系の魔石を購入しようと思ってる。
とりあえず今は金を使って魔石を買うより、ダンジョンを探した方が良さそうだからな。
魔物討伐の魔物の強さは徐々に強くなってるが、まだまだ鍛冶屋やってた方が安いし……くそぅ苦痛だな。
一瞬だけ誰かの装備借りて上げても良いんだろうが、ちょっと怖いじゃん?
借りてる間に持ち主が襲われたら……とか考えてしまうと借りれないわけですよ!
デューク達にダンジョン情報を回してもらって攻略に当たろうと思っております。
やはり野に出ている魔物は強くなっている。
アークに聞いたら魔人門が機能してないから、魔界からかなりの魔物が来るそうだ。
普通の街道もかなり治安が悪くなっている……。
そこで思いつきましたよ奥さん!
前にリミが話してましたが、「交易ルート」というものがあってですね!
つまり、そこを通る商人がいるわけですよ!
勿論、商人の追い剥ぎなんてしませんが、商人を追い剥ぎをする人がいるわけですよ!
護衛を募集していた商人に「追い剥ぎ狩りをしたい」と話したところ、面白がって雇ってくれた。
しかしこの人……商人風の格好をしているが、ダニエルにそっくりなんだよ。
ここでキャラの使い回しかよとか思ったが、似ているって事はやはり子孫なのだろうか?
ダニエルって誰? とか思ったらチャベルンの町長の事を思い出してくれ。
きっとそいつだ。
馬並のアレの持ち主だ。
この商人の名前はダニーだ。
うん、手抜き感満載だな!
なんたってダニエルのあだ名だからな。
このダニーは、エヴァンスからチャベルンへの移動をしたいそうだ。
そのルートの護衛が俺ってわけだな。
護衛の報酬は5万レンジだ。
チャベルンに何事もなく着けば5万レンジを貰い、追い剥ぎが出れば無報酬で追い剥ぎ狩りをするって寸法だ。
「さてさて、ドン君の言う通り出るものかね?」
「出てくれると剣士レベルが一気に上がるんですけどねぇ」
「はっはっは、ドン君は根っからの剣士って事だね」
「因みに今日は何を運んでるんです?」
「南の国でしか取れない火の魔石の運搬だよ。
南の国から北西へ進めば一番楽なのだが、西の国と南の国は世界大戦前から仲が良くないからね」
「そういえば何で長い間不仲なんです?」
「無論、所有地問題さ」
「この土地は俺のだーってやつですか?」
「はははは、まぁそうだね」
ふむ、今度ブルウスに詳しく聞いてみるか。
「む、どうどう……。
ドン君、出番かもしれないぞ?」
「ですね」
7人の追い剥ぎ集団の登場だ。
「ヒャッハー!」
それどうなん?
「大人しく――」
「――も、もうしません許してくださいごめんなさい」
よし、多数の魔石と武器をゲットだぜ!
「はっはっはっはっは、あっという間だったね」
「結構な使い手でしたが、まぁ敵じゃないっすよ」
「魔石を集めてるのであれば、今度割安で譲ろうか?」
「おぉ、是非お願いしますっ」
「では、後日入荷したら連絡しよう」
「ありがとうございます」
手に入れた魔石と、後で7本の武器の中身の魔石を抜けば、結構なレベルになりそうだわ!!
おーし順調順調!!
【次回】不可抗力ならともかく「狙って追い剥ぎ狩り」をする主人公から謝ざ…………言い訳があります。