カラ「楽しいなあ・・・」
「…よっせ」
カラはサビ浮いた汚いバケツを抱えながら、重い足取りでトイレの汚物処理に取り掛かっていた、この街にはないのか、それともこの世界には存在していないのかは定かではないが、下水道がないため、このような大量のアレやらコレやらは人によって運ばれて捨てる事になる、もちろん、そんな仕事をやりたいと思う人など存在せず、おのずと、一番立場が弱いカラにこのキナ臭い仕事をすべて押し付けたのであった。
「…終わった」
この孤児院にきてから早一ヶ月、その間にカラが受けた暴力、差別は少女の身に余る物であり、当然通常なら死んでも可笑しいと思えるようなものであった、しかし…カラの表情は、いつに増して輝いているどころか、体のツヤなど、今までの暴行等などまるで気にも留めていないように美しくなっていたのであった。
「今日は一体どんな事が有るんだろう」
先ほどの最悪な環境下の労働など気にもしていないように、カラは今日も笑顔に、今日起こるかもしれない素晴らしい、自分にとって幸福な事を考える。
昨晩雨が降ったから虹が見れるかもしれない、この前拾った綺麗な石よりもっと綺麗な石が見つかるかもしれない、そうだ!このあいだあいつ等に壊された花かざりももう一度作ってみよう…カラの心は常に今日起こるかもしれない素晴らしい出来事に思いをはせていた、その中には大人や、同じ子供から受ける差別、暴力など、一ミリたりとも入ってはこれない神聖な領域であった。
「今日が楽しみ」
傍に会った花のにおいを嗅ぎながら、カラがにっこりとほほ笑んだ。
暇や…
いやまじで…
カラちゃんの様子を逐一観察するのも最高やけど、いかせんもっと刺激がほしいの、一番のお色気イベントと言えるお着替えイベント位しかさしたるイベントがないんだよな…
最初は熱狂したけどいまじゃさめたしな
はぁ…暇だ、それにしてもなんだか孤児院の大人どもや子供どもいつに増してウザくなったな…こないだなんか、カラが寝ている時に汚水をぶっ掛けたあと蹴ったり殴ったりして笑いながら楽しんでたしな、本当どうにかならん?なんかこう究極の力に目覚めて悪を討伐するとか、そう言う展開ない?なんかチートとか主人公最強とかそういうの…
それであのクソどもをぼこって、カラと一緒に逃避行…
カラ…お前の事すきだぜ
嬉しい!抱いて…
ぐっふふふふふふ…
…
…俺も末期だないい加減、現実は寄生虫モドキの格安で売られたピンクのパンツの癖してな、喋ることすらできないのに、相手の言葉だって分からないのによ…
さて…俺のカラ美少女化計画も段々成果が現れ始めたな…
初めてあった時にはできものだらけの顔が、あら不思議、つやつやの綺麗綺麗になったよ、髪もボッサボサからサラリとした某シャンプーのCMみたいな美しいかみ、鈴の様な綺麗な声…嘘だけど。
まあ…現実…レイプされる危険性を考慮してかなり抑えてるんだよ、今現在のカラの容姿はそこらへんの平均的な少女…そこまでが限度だ。
カラが独り立ちしたら、絶対に1000人中1001人が振りむく超絶美少女にしてやる。
「うむ」
ここは孤児院の事務所的な立位置の場所、そんな場所に一人の50代の男が頭を掛かるようにして10枚程の資料と睨みあいを続けていた。
「…資金不足だな」
男は資料の一枚を見ながらそう言う。
「…」
そしてもう一枚の資料をみる
「うむ…わしの取り分がほぼ皆無ではないか」
男はため息をついたあと…ある最終手段を決行する事に知るべく、次のような事を呟いた。
「…国にばれぬよう、奴隷として何人か売るか」
男は自らの利益が少なくなる事を懸念したのだろうか、そう言った。
「らら~ららら~」
カラは今ちまたで流行っている流行曲みたいなもの口ぶさみながら、50畳はありそうな広い部屋を、雑巾一つで綺麗に仕立て上げていた。
「今日は何が起こるかな…」
たったと雑巾がけをしながらそう楽しそうにつぶやく。
彼女抱く楽しい妄想の中は、幸せな事で埋め尽くされており、そこには、毎日掃除が終わったあと、埃一つが有ると言うだけのミスで殴られる運命など範疇になく、ただ毎日が他の楽しかった。
「…」
そしてその子を見つめていた、一人の少年が、じぃっと、カラの方を見つめていたのであった。




