4 ――エンジェル……天界の人たち話聞かないのなんとかしてくれませんか
## 番外編――天界のインフラサイバー戦争
【天界・中継通信室】
「はぁ……はぁ……っ、繋がった……!」
最下級天使エンジェルは、震える手で通信端末を操作していた。
彼女の手元には、まだ乾ききっていない報告書が握られている。
『アークエンジェル様、格闘特化のヤンデレに敗北。一撃で宇宙の彼方へ。現在回収作業中』
(……まただ。また私が後始末。なんでみんな勝手に動くのよ……)
通信が繋がると、画面に権天使プリンシパリティの厳めしい顔が映った。
「エンジェルか。報告せよ」
「は、はい……! 先刻、アークエンジェル様が地上の格闘特化ヤンデレに……その、裏拳一発で宇宙の彼方へ飛ばされました……! 回収も難航しております……!」
プリンシパリティは一瞬沈黙した。
そして、ゆっくりと口を開く。
「……そうか。武力での直接対決は失敗した、と」
「はい……ですので、今は慎重に――」
「よかろう。ならば次は私だ」
「えっ?」
「インフラを制圧する。国家の基盤を奪えば、ヤンデレどもも無力化できる。私に任せておけ」
「ま、待ってください! これは本来、潜入調査のはずでは……!」
「通信を切る」
「プリンシパリティ様!? 話を聞いてください! ちょっと……!」
通信は無情に切れた。
エンジェルは端末を抱えたまま、その場にへたり込んだ。
「……これ、潜入調査だったよね? 情報を集めて、慎重に進めるはずだったよね……?」
彼女は空を仰ぎ、力なく呟く。
「なんでみんな、こんなに自分勝手なの……? アークエンジェル様はいきなり殴り込み、今度はプリンシパリティ様がいきなりインフラ制圧……。私はただ、普通に報告書を書いて、普通にランチを食べたいだけなのに……」
(……また悲惨な報告書が増える。また私がまとめなきゃいけない。もう嫌だ……)
エンジェルの小さな悲鳴が、誰にも届かぬまま中継通信室に消えていった。
そして、その数分後。
王国の監視特化の制御室で、新たな警告が点滅し始めていた。
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