番外編 魔導と科学のいたずら大作戦♡
## 小型ロボットいたずら大作戦
ある日、屋敷の一室。
魔導と科学が、机の上に並んだ手のひらサイズの小型ロボットの試作品を見つめていた。基本的な機体はすでに完成していた。
「この子たちを使って、みんなを驚かせてみませんこと?♡」
魔導が扇子で口元を隠しながら笑う。
科学は眼鏡の位置を直し、淡々と答えた。
「攻撃機能と自律追跡機能を追加しましょう。実験対象は屋敷の住人全員です」
薬学が小瓶を手に近づく。
「薬品散布ユニットも搭載できますわ♡ 反応データが取れますもの」
三人は顔を見合わせ、もう一味、面白みが欲しいと感じた。
魔導が扇子を軽く揺らし、意味ありげに微笑む。
「ふふっ……任せてくださいませ。わたくしに良い案がありますの♡ チャオ」
その頃、屋敷の庭では主人公が真面目に筋トレに励んでいた。
以前、格闘特化と戦った際に「このままではいずれ追い付かれる」と痛感し、本気で体を鍛え始めていたのだ。汗を流しながら懸垂を繰り返す背中は、以前よりしっかりとしていた。
そこへ魔導が優雅に現れる。
「ご主人様、少しよろしいかしら?」
主人公が息を整えながら振り返る。
「ん? なんだよ。今いいところなんだが」
魔導は優しく、笑顔を浮かべた。
「体を鍛えるのも大事ですわ。ですが、頭を鍛えることも同じくらい大切ですのよ。むしろ……ご主人様はおつむの方が少し弱うございますわね♡」
「はあ!? 誰がおつむ弱いんだよ!」
「ですから、わたくしたちと一緒に勉強をいたしましょう。テキストも用意してありますの」
魔導が差し出したのは『ロボット作成手順書』と書かれた厚手の冊子だった。
主人公が首を傾げる。
「なんで勉強がロボット作成なんだ?」
魔導は当然のように答える。
「ロボットだからですわ♡」
「……そうか」
主人公はなぜか納得してしまった。
「では、こちらにサインを」
魔導が契約書めいた紙を差し出す。内容は「学習参加同意書」としか書かれていなかったが、細かい条項は魔導の魔法で隠されていた。主人公は何の疑いもなくサインをする。
(裏を取られたとも知らずに)
魔導に案内された部屋には、すでに科学と薬学が待機していた。ロボットのパーツや工具が整然と並んでいる。
「ようこそ、ご主人様。今日から本格的な『学習』ですわ」
科学が淡々と告げ、薬学が嬉しそうに工具を手渡す。
「最初は失敗して当然ですわ♡ データを取りながら進めましょう」
主人公は最初、組み立てに失敗しまくった。パーツを逆に付けたり、配線を間違えたり、動力接続で小爆発を起こしたり。
「なんでこんなに難しいんだよ……!」
しかし何度もやり直すうちにコツを掴み、一週間かけてようやく手のひらサイズの小型ロボットを完成させることができた。
その完成したロボットを前に、三人は満足げに微笑む。
魔導が簡易転送魔法の回路を組み込み、
科学が誘導ミサイルとスリップ床展開装置を追加し、
薬学が微粒子薬品散布ユニットを搭載する。
動力源には、主人公が無意識に供給していたムスコエナジーが使われていた。
魔導が扇子で口元を隠し、優雅に告げる。
「ふふっ……これでご主人様も立派な共犯者ですわね♡ チャオ」
科学が眼鏡の光を反射させる。
「データ上、ご主人様の関与は確定です。逃げられませんわ」
薬学がノートを抱え、嬉しそうに頷く。
「反応データが楽しみですわ♡」
主人公は後ろで冷や汗を流していた。
(なんで俺まで巻き込まれるんだ……しかも動力がムスコエナジーとか、絶対後で後悔するやつだろ)
それでも四人は悪ノリを止められなかった。
こうして、屋敷内いたずら戦争が始まった。
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最初の犠牲者は格闘特化だった。
廊下を歩いていた彼の背後から、ロボットが小型ミサイルを発射する。
「なっ!? 背後からミサイルだとォ!?」
彼は激怒して追いかけるが、ロボットは科学の自律制御で巧みに逃げ、次々と攻撃を繰り返す。
(こいつ……ただの玩具じゃねえ! 誰だ、こんなものを作ったのは!)
次に拷問特化。
彼が足を踏み入れた瞬間、床がスリップ状態に変化した。
「……ぬぐっ!?」
見事に転倒した彼は、すぐに罠の仕組みを分析し始める。
「国防新素材でもない……巧妙だな。だが」
別のロボットが現れ、次の罠へ誘導する。拷問特化の眉間に皺が寄った。
(これは……ただの悪戯では済まさんぞ)
腰振りスペシャリストは追尾攻撃を衝撃波で吹き飛ばそうとした。
「おれの衝撃波で一掃だァ!!」
しかし数で押され、屋敷中を走り回る羽目になる。
(ちっ……数が多すぎる! 腰が回りきれねえ!)
慈愛は最初、不意打ちを受けても優しく笑っていた。
「あらあら♡ 大丈夫ですわよ?」
だが攻撃が何度も続き、薬品まで散布されると、笑顔が徐々に消えていく。
(……これは、少々度が過ぎていますわね。誰がこんなことを)
監視はカメラでロボットの軌跡を捉えようとし、潜入は経路を先回りして迎撃を試みた。
しかし魔導の簡易転送魔法で瞬間的に位置を変えられ、科学の制御に翻弄される。
「追跡が追いつきません……!」
監視が舌打ちをする。
「経路封鎖も無効化されています。相手は相当な技術者ですわ」
潜入が冷静に分析するも、内心は焦っていた。
(……私たちが逆に遊ばれている?)
嫉妬は実況気分で「みんな頑張って!」と応援していたが、自分にも薬品スプレーが直撃し、声が一時的に高くなってパニックに。
「ひゃうっ!? な、何ですのよこれぇ!?」
森羅万象以外のほぼ全員が被害に遭い、屋敷は阿鼻叫喚と化した。
ロボットたちは慈愛、格闘特化、拷問特化、腰振りへの攻撃を特に繰り返し、ついに四人の堪忍袋の緒が切れた。
格闘特化が拳を震わせる。
「……おい。誰がやった?」
拷問特化が静かに目を細める。
「これは……少々、度が過ぎているな」
慈愛の声から温かみが消える。
「全員、捕まえましょう」
腰振りが腰を大きく回す。
「逃がすなァァァ!!」
屋敷に怒号が響き渡る。
ロボットたちは危険を察知し、緊急撤退モードへ移行。ミサイルを撃ち、スリップ床を展開し、全速力で逃げる。もはや命懸けの逃走劇だった。
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犯人捜索が本格化する。
慈愛たちはロボットを何体か捕獲したが、操縦者が見つからない。
「このロボットを作れる人間は限られているはずですわ」
慈愛が静かに言った。
格闘特化が唸る。
「……つまり、ここにいない誰かの仕業か」
四人に監視と潜入も加わり、屋敷中を血眼で捜索し始める。
(絶対に見つける……!)という殺気すら漂っていた。
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その頃、屋敷の屋根裏。
魔導、科学、薬学、主人公の四人は、隠しモニター越しに大騒ぎを眺めていた。
最初は大成功に大笑いしていた。
魔導が扇子を開け閉めしながらゲラゲラと声を上げる。
「ふふっ……あはははっ! 格闘さんの後ろからミサイル、最高ですわ♡ 転ぶ拷問さんも、衝撃波で空振りする腰振りさんも、全部素敵! チャオ♡」
科学も端末を見ながら唇を緩める。
「反応データが予想を大幅に上回っています。特に慈愛さんの笑顔が消える過程……貴重な記録ですわ。ムスコエナジーの供給効率も完璧」
薬学がノートに書き込みながら嬉しそうに目を細める。
「薬品の効果も良好よ♡ 嫉妬さんの声が高くなった瞬間、鳥肌が立ちましたわ。次はもっと濃度を上げてみましょうか?」
主人公もつられて笑いながら言う。
「ははっ、確かに面白かったけど……おい、ちょっとやりすぎじゃね? いや、でもあの転び方は笑ったわ」
四人はモニターに映る阿鼻叫喚を見て、腹を抱えて笑い続けた。
「あはははっ!」「データが最高ですわ!」「もっとやりましょう♡」「次は誰を狙う?」
しかし、慈愛たちの本気の怒りを目の当たりにし、次第に顔色が悪くなる。
魔導の笑顔が引きつる。
「……これ、ちょっとやりすぎたんじゃないかしら? 慈愛さんの目が……本気ですわよ」
科学が端末を見つめて青ざめる。
「被害予測を完全に超えています。現在、撤退モードの稼働率が想定値を大幅に上回っています。捕捉される確率……87%を突破しましたわ」
薬学も焦り始めた。
「薬品の痕跡も残っている。私たちが関与した証拠を消さないとまずいわね……いや、もう遅い?」
主人公は冷や汗をダラダラ流しながら、屋根裏の出口を確認する。
(おい……。あいつらがここまで来たら、俺たち全員終わりじゃないか? 動力がムスコとか言わなきゃよかった……! 笑ってる場合じゃねえ!)
魔導が急に真面目な顔になる。
「と、とにかく脱出しましょう! 私のワープで全員まとめて逃がしますわ。今すぐ手を繋いで!」
科学が頷く。
「賛成です。正面は封鎖されています。裏口も潜入が確認中……ワープ以外に選択肢はありませんわ」
薬学が慌てて手を伸ばす。
「は、早く! 足音が近づいていますわよ!」
主人公も慌てて四人で手を繋ごうとする。
「おい、マジで頼む……! ワープ、急げ!」
魔導が魔力を集中させ、空間を歪め始めようとした、その瞬間——
屋敷の騒動はさらに拡大していた。
そこへ森羅万象が現れる。
彼女は散乱した家具、破壊された廊下、命懸けで逃げ回る小型ロボット、怒り狂う住人たちを一瞥した。
「……何をしていますの?」
状況を把握した森羅万象は、指を軽く鳴らす。
空間と重力が歪み、ロボットは一斉に床へ押さえつけられ、逃走経路も攻撃機能も封じられる。
そして、屋根裏でワープを発動しようとする寸前の魔導、科学、薬学、主人公も逃げ道を完全に失い、彼女の前へ引き戻された。
「なぜ俺までなんだ!」
主人公が叫ぶ。
森羅万象が優雅に微笑む。
「あなたも一緒に楽しんでいたでしょう? ムスコエナジーが動力源ですもの。逃れられませんわ♡ ワープの隙も、ちゃんと整えましたわ」
主人公は反論できず、天井を見上げるしかなかった。
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被害者たちが全員集合し、犯人を推理する時間が訪れた。
格闘特化が腕を組む。
「ロボットの動き……魔導の転送っぽい魔法が入ってた」
拷問特化が頷く。
「スリップ床とミサイルは科学の技術だな。精密すぎる」
慈愛が優しく、しかし冷たく付け加える。
「薬品散布……薬学さんの仕業以外考えられませんわ」
監視が映像を確認する。
「動力反応がムスコエナジー……ご主人様も関与しています」
潜入が結論を出す。
「つまり、この四人ですわね」
腰振りが怒鳴る。
「やっぱりお前らかァァァ!!」
嫉妬が申し訳なさそうに手を合わせる。
「でも……みんなの慌てる姿、ちょっと面白かったですわ……ごめんなさい!」
森羅万象は屋敷を元どおりに修復しながら、四人を捕まえたまま言った。
「整えましたわ♡ ……次は、ちゃんと『お仕置き』をさせていただきますわね」
魔導と科学はしょんぼりし、薬学は記録ノートを差し出し、主人公はただ遠い目をする。
そのとき、魔導が急に笑顔を取り戻し、扇子で口元を隠しながら提案した。
「と、ところで……今回の『夜の生活』は、ご主人様一人にお譲りしますわ♡ わたくしたちは少し控えさせていただきますので、みなさま、どうぞごゆっくり」
科学も素早く続ける。
「データ上、ご主人様一人に集中した方が効率的ですわ。わたくしたちは記録係に回ります」
薬学が小瓶を隠しながら頷く。
「そうですわ♡ ご主人様を生贄に……いえ、代表としてお渡ししますので」
主人公が青ざめて叫ぶ。
「はあ!? お前らだけ逃げる気か!? 俺を差し出すな!!」
しかし、その言葉に格闘特化、腰振り、拷問特化の三人が一気に怒りを爆発させた。
格闘特化が拳を鳴らし、一歩踏み込む。
「ふざけんなァ!! 自分たちだけ逃げるために、主人公を生贄にする気か!? 卑怯すぎるだろ!!」
腰振りが腰を大きく回しながら怒鳴る。
「俺たちを散々ロボットで追い回しといて、最後は主人公だけ差し出すとか……許さねえぞォォォ!!」
拷問特化が静かに、しかし低く声を落とす。
「……卑怯者め。そんな真似を許すと思うな。お前らも平等に『お仕置き』を受けるんだ」
三人の殺気に、魔導・科学・薬学は完全に縮み上がった。
「ひっ……」「計算外ですわ……」「や、やっぱり一緒に受けますわ……」
森羅万象が優雅に微笑む。
「ええ。逃げ道はありませんわ♡ 四人まとめて、きちんとお仕置きです」
こうして、小型ロボットいたずら大作戦は、森羅万象によって完全に終結した。
散々やりたい放題した四人が、最後には全員まとめて制圧されるのだった。




