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王国祭3 王国祭第の催し、魔王様サイバー化計画♡

雪合戦、福笑いと盛り上がりを見せる王国祭。

第3の催しを控えたステージ袖で、魔導のヤンデレが優雅に扇子を開き、会場を一望した。


「……少し、派手さが足りませんわね」


隣に控えていた監視のヤンデレが、静かに耳元へ身を寄せる。


「魔界よりご報告ですわ。ルシファー様が紅茶を嗜みながら、我々の祭りをリアルタイムでご覧になっておられます」


魔導の唇が、ゆっくりと弧を描いた。


「……そう。でしたら、余興の主役は決まりましたわね♡」


彼女は振り返り、科学と薬学の二人を手招きする。


「行きましょう。チャオ♡」


空間が歪み、三人の姿が消えた。


――同時刻。魔王城。


広大な玉座の間で、魔王ルシファーは紅茶のカップを傾けながら、虚空に浮かぶ映像を眺めていた。雪合戦の大混乱、福笑いの珍妙な採点風景。画面の向こうで暴れ回るヤンデレたちの姿に、彼は呆れたように息を吐く。


「まったく……また無茶苦茶やっておる。まあ、俺が巻き込まれなければ面白い余興だ。好きにしろ」


次の瞬間、空気が裂ける音と共に、三人の女が現れた。


魔導、科学、薬学。


ルシファーの手が止まった。カップが傾き、紅茶がテーブルに零れる。


「……は? お前ら、なんでここに――」


「お久しゅうございます、ルシファー様♡」

魔導が優雅に一礼する。その笑顔は、味方の顔そのものだった。


「もう嫌だ!! お前たちのサンドバッグにされるのは懲り懲りだ! 助けてくれ! 誰か!!」


「なんてことはありませんわ。今回は、ほんの少し余興にお付き合いいただくだけですのよ♡」


「それが嫌なんだよォォォォ!!!」


絶叫が木霊する中、薬学が素早く注射器を構える。


「ご安心を。超高濃度・魔力増幅筋肉弛緩剤……一時的に逆らえなくなるだけですわ♡」


首筋に針が沈む。同時に科学の特製電磁アームがルシファーの四肢をがっちりと固定した。


「おいやめろ!! 俺は魔王だぞ!? 身体に何を注入してやがる!! 腕に変なキャノン砲を取り付けるな! 羽に触るなァァァ!!」


「ふふっ♡ もっと発光させた方が映えますわね」

「背中の羽にネオンLED回路を組み込みます。出力……最大ですわ」


魔導は、ネオンピンクに発光するルシファーの全身を眺め、満足げに微笑んだ。


「まあ♡ ルシファー様、なんて素晴らしいお姿……! かつて世界を恐怖に陥れた魔王なのですもの。この程度の輝きがなくては、舞台に立つ資格すらありませんわ♡」


「どこが素晴らしいんだ!? 元に戻せ!!」


「何をおっしゃいますの♡ ルシファー様の魅力を、世界中の皆様に知っていただこうとしているだけですわ♡」


「俺の魅力はこんなネオン装飾に頼らなくても伝わるだろうが!!」


「いいえ、まだ足りませんわ♡ もっと輝けば、もっと皆様に愛されますもの!」


魔導は科学に向き直り、扇子を優雅に振った。


「科学さん、翼の発光パターンをもっと華やかに。ルシファー様がどこにいらしても、世界中の誰もが一目で見つけられるようにしてくださいませ♡」


「了解しました。全方位から視認できる発光モードを追加します」


「待て! それは目立つどころの話じゃないだろ!!」


魔導は、抗議するルシファーの頬にそっと手を添えた。


「ご安心くださいませ、ルシファー様♡ もう二度と、誰にも見つけてもらえず寂しい思いをすることなどありませんわ。私たちが、世界の果てまであなたを見つけて差し上げますもの♡」


「俺は寂しくなんかない!! むしろ今すぐ誰の目にも触れない場所に隠れたいんだよ!!」


「まあ……♡ そんなに恥ずかしがらなくてもよろしいのに」


魔導は心底幸せそうに微笑んだ。


「さあ、ルシファー様♡ 世界中の皆様に、あなたの新しい魅力を披露いたしましょうね♡」


「誰かああああ!! こいつらの愛情を止めてくれええええ!!」


数十分後。王国祭メインステージ。


嫉妬のヤンデレが、輝くスポットライトの下でマイクを握りしめていた。


「みなさまお待たせいたしましたーっ! 王国祭第3の催し! 科学と薬学の技術を結集して誕生した、最強のスーパーヒーロー(?)のお披露目ですわっ!!」


ドラムロール。スモークが噴き上がり、巨大な台座がせり上がる。


そこに立っていたのは――全身を眩いネオンピンクとサイバーブルーに発光させ、両腕に巨大なレーザーキャノンを装着され、背中の黒い翼が七色に点滅する魔王ルシファーだった。


「だ……誰か助けてくれ……!!」


その情けない悲鳴は、科学が取り付けたボイスチェンジャーにより『我は新生せしサイバー魔王ルシファー!!』とドスの利いた機械音声に変換され、会場中に轟いた。


嫉妬がさらにテンションを上げ、マイクに声を乗せる。


「はい! 解説いたしますわね! こちらのサイバー魔王ルシファー様は、最新の科学力と薬学の粋を集めた特別仕様! 発光ネオンで視認性抜群、自動防衛キャノンで火力も十分、羽の点滅は会場を華やかに彩ります! まさに王国祭に相応しい新時代のヒーロー……いえ、超ヒーローですわーっ! みなさま、大きな拍手と応援をーっ!!」


ステージ脇から魔導が優雅に歩み出ると、満面の笑みで観客に向かって手を振った。


「皆様、今回の主役はルシファー様ご本人にお願いしたところ、快くお引き受けいただきましたのよ♡ 感謝の拍手をどうぞ♡」


(完全な嘘である)


「うおおおおおお!!」「魔王様超カッコいいー!!」「輝いてるー!!」


大歓声が巻き起こる。特等席の国王が泡を吹いて倒れかけた。


「ま、魔王が……我が国のヤンデレたちに捉えられ、ネオンピカピカの怪獣に魔改造されておる……!! なんという恐ろしい国だ……!!」


その光景に、格闘特化が目を見開いてステージに跳び乗った。拳を構える手が小刻みに震えている。


「おおっ……おおおおっ! 良い手応えになりそうじゃねえか! 試し殴りさせろ!」


すぐ横から腰振りスペシャリストも躍り出て、腰を大きく回しながら吠える。


「来たあああっ!! この輝き……この威圧感……やる気出てきたぜ!! 白兵戦部隊! 今こそ特訓の成果を見せる時だァァァ!! 全員突撃ィィィ!!」


二人の雄叫びが兵士たちに伝播し、白兵戦部隊が一斉に士気を上げる。格闘特化が先頭で躍りかかり、腰振りも衝撃波を纏って続く。


「来んな!! 頼むから殴るな!!」


ルシファーの必死の拒絶に反応し、自動防衛システムが起動。両腕のキャノンから極太のサイバー極光ビームが全自動で射出された。


ドゴォォォォン!!


ビームは格闘特化を吹き飛ばし、観客席ごと雪原を広範囲に蒸発させる。


すかさず森羅万象がパチンと指を鳴らした。


「整えましたわ♡」


一瞬で空間と地形が修復され、観客も怪我一つなく元の席に戻される。


「まあ♡ 素晴らしい火力と演出ですわね!」


嫉妬が手を叩いて大喜びする。監視のカメラがその光景を捉え、全世界配信のコメント欄が爆発した。


『魔王改造されてて草』

『ネオン羽カッコよすぎだろwww』

『一瞬で会場直したの誰!?』

『投げ銭置いときますね!』


客席後方で状況についていけず、ただ呆然と立ち尽くしていた主人公の背後に、腰振りがニヤリと現れる。


「おい、お前も参加すんだよ」


「え? 待て、俺は――」


ドゴォッ!


腰振りの衝撃波が主人公の背中を直撃し、彼の身体は放物線を描いてステージ中央――サイバー魔王ルシファーの真正面へと吹き飛ばされた。


「うわあああああああ!! なんで俺が!! 関係ないだろぉぉぉ!!」


主人公が着地するのとほぼ同時に、腰振り自身も豪快に腰を振って戦場へ飛び込む。格闘特化と合流し、白兵戦部隊を率いてネオン輝くルシファーへ突撃を開始した。


ステージの隅では、ゲイバーのお兄さんが「ピカピカ光るルシファー様限定ボトルドリンク」を新発売し、すでに行列ができていた。


「……まあ、光ってりゃ売れるだろ」


主人公は着地した衝撃で顔を上げ、遠い目をして呟く。


「……魔王って、こんな扱いされていい存在だっけ……? 俺が倒した相手が、なんでこんなことに…… ていうか俺まで巻き込むなッ!!」


怪しい薬の副作用で時折勝手に「決めポーズ」をとらされながら、涙目でビームを撒き散らすサイバー魔王ルシファー。

その前で、飛ばされてきた主人公と白兵戦部隊が阿鼻叫喚の乱戦を繰り広げる。


こうして、王国祭の夜は更けていくのだった。

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