↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
5/161

恋愛イベントを強制終了させるヤンデレたち

## 第四章 恋愛イベントが始まらない


その日。


主人公は珍しく機嫌が良かった。


理由は単純である。


平和だった。


敵もいない。

侵略もない。

世界滅亡の危機もない。


ヤンデレたちは各自の仕事で忙しい。


つまり。


久しぶりの自由時間だった。


「ふっ……」


主人公は屋敷の庭で紅茶を飲んだ。


「平和だ……」


感動していた。


本当に感動していた。


しかし。


世界はそう甘くなかった。


「主人公様ー♡」


遠くから聞き慣れた声。


「帰れ」


即答だった。


嫉妬のヤンデレが全力で走ってくる。


「帰らないわ♡」


「何の用だ」


「恋愛イベントよ♡」


「嫌な予感しかしない」


嫉妬は胸を張った。


「みんなで話し合った結果!」


嫌な予感が増した。


「主人公様にもっと青春してほしいという結論になりました!」


「余計なお世話だ」


「だから今日はデートイベントです!」


「帰る」


「拒否権はありません♡」


十分後。


主人公は街中にいた。


しかも。


両脇を魔導と森羅万象に挟まれていた。


「離せ」


「嫌ですわ♡」


「ご主人様が照れてらっしゃいますわ♡」


「照れてねえ!!」


逃げようとする。


しかし。


「ご主人様♡」


監視がいる。


ビルの屋上。


超望遠カメラ。


完全装備。


「記録開始ですわ♡」


「何を記録してる」


「デートですわ♡」


「監視するな!」


反対側を見る。


潜入がいた。


カフェ店員になっている。


「本日のおすすめはこちらです♡」


「何でここにもいる」


「勤務中ですので♡」


「嘘をつけ」


その時。


科学がノートパソコンを開いた。


「恋愛感情研究のためのデータ収集を開始します」


「帰れ」


「心拍数上昇確認」


「帰れ」


「瞳孔反応記録」


「帰れ!!」


一方。


少し離れた場所。


嫉妬は双眼鏡を握りしめていた。


「みんな頑張ってるわぁ♡」


隣にいる格闘が聞く。


「お前は参加しないのか」


「応援係だもの♡」


「そうか」


「はい♡」


「おーい魔導さーん!」


メガホン装備。


「いい感じよー♡」


「応援するな!」


主人公が叫んだ。


その時。


カフェの向かい側に、一人の少女が立っていた。


普通の少女。

普通に可愛い。

普通に主人公を見ている。


「……ん?」


少女が近付いてきた。


「もしかして、英雄の方ですよね?」


主人公の動きが止まる。


「まあ、一応」


「私、ファンなんです」


周囲の空気が凍った。


魔導が笑顔のまま止まる。

森羅万象も笑顔で止まる。

科学だけが眼鏡を押し上げた。


「危険度測定開始」


怖い。


「もし良かったら、一緒にお茶でも――」


少女が最後まで言う前に。


魔導が前へ出た。


「残念ですわ♡」


笑顔。

満面の笑顔。


「すでに満席ですの♡」


「え?」


森羅万象が微笑む。


「席がありませんわ♡」


「いや、空いてますよね?」


「ありませんわ♡」


急にカフェが消えた。


「消すなあああああ!!」


主人公が叫ぶ。


店員姿の潜入が避難誘導を始めた。


「安全対策です♡」


「安全じゃねえ!」


十分後。


恋愛イベントは終了した。


少女は何が起きたのか理解できないまま帰った。


主人公は頭を抱えていた。


「何で毎回こうなるんだ……」


嫉妬は笑顔だった。


「でも楽しかったでしょ?♡」


「全然」


「青春だったわ♡」


「どこがだ」


嫉妬はきょとんとした。


「だって恋愛イベントにはライバル登場が必要だもの♡」


「お前の恋愛知識どうなってんだ」


夕日が沈む。


今日もまた。

主人公の平穏な青春は守られた。


本人の意思とは関係なく。


そして遠く離れた場所では。


ある墓石の前で。


一人の少女が静かに微笑んでいた。


「……やっと会えるね」


土の下から伸びた指が、

ゆっくりと墓石を叩いた。


主人公はまだ知らない。


次の騒動が、

すぐそこまで来ていることを。

読んでいただきありがとうございます。

面白いと思っていただけましたら、★評価やブックマークで応援していただけると励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。