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ゲイバーお兄さんの店、ヤンデレたちと共闘再建奮闘記。なぜか俺の地獄が強化された

# スピンオフ外伝:ゲイバーお兄さん店舗再建日記

〜メニュー開発とヤンデレたちの異能無駄遣い〜


街の片隅にひっそりと佇む、一軒のゲイバー。


そこは、ヤンデレ要塞の熾烈な追撃から命からがら逃げ延びた主人公が、唯一人間らしい呼吸を取り戻せる「オアシス」であった。


カウンターに立つマスター(お兄さん)は、今日も渋い顔でグラスを拭いていた。


「……はぁ」


ため息の理由は、売上でも主人公の愚痴でもない。**店のメニューのマンネリ化**であった。


「マスター、いつもの仕込みも良いけどさ、そろそろ新しい看板メニューとか無いの?」「ちょっと味に飽きてきちゃったわ〜」


常連客たちから漏れ出たその一言が、お兄さんの胸に深く刺さっていた。


(言われてみれば、ここ数年メニューを変えてねぇな……。酒に合う新しいフードを開発したいが、料理の引き出しにも限界がある……)


それからというもの、お兄さんはあれこれ一週間、新メニューの構想に頭を悩ませ続けていた。


---


## 突然の来店者と、プロフェッショナル(?)の集結


ある日の開店前。お兄さんが一人カウンターで頭を抱えていると、ガラリと扉が開いた。


「ごめんよ、まだ準備中なんだ――」


顔を上げたお兄さんの前に立っていたのは、【魔導のヤンデレ】であった。


「あら、マスター。なんだか酷いお顔をなさっていますわね?♡」


お兄さんは冷や汗を流しながらも、藁にもすがる思いで悩みを吐露した。客がメニューに飽きてきていること、新メニュー案がまとまらず一週間迷走していること。


話を聞き終えた魔導は、優雅に微笑んだ。


「分かりましたわ♡ 日頃、ご主人様が大変お世話になっているお店の危機……私たちが一肌脱ぎましょう♡」


「え? いや、君たちが……?」


「お任せくださいませ♡ 最高の専門家たちを連れてまいりますわ!」


魔導がパチンと指を鳴らすと、要塞から選りすぐりの特化型ヤンデレたちがぞろぞろと店内に姿を現した。


【森羅万象】【潜入特化】【科学特化】【監視特化】【拷問担当】【格闘特化】【腰振り特化】に加え、【慈愛】と【薬学特化】まで顔を揃えている。


「さあ皆様! マスターのゲイバー再建プロジェクトを開始いたしますわよ♡」


---


## 第1段階:トレンド調査・科学的レシピ開発・豪快すぎる食材調達


まずは現状把握とコンセプト設計である。


【潜入特化のヤンデレ】が、ノートPCと街の地図を広げた。


「世間の夜の街における最新フードトレンド、および周辺競合店のメニュー分析を完了いたしましたわ♡ 今求められているのは、『低糖質でありながら圧倒的満足感と中毒性のあるスパイシーなおつまみ』ですの♡」


「お、おお……すごい分析力だな……」お兄さんは目を見張った。


続いて、【科学特化のヤンデレ】が白衣のポケットから無数のスパイス瓶を取り出す。


「一般家庭や店舗で入手可能な調味料の分子構造と、アルコール摂取時の脳内ドパミン分泌効率を計算いたしましたわ♡ マスターの基本レシピに『隠し味の黄金比率』を掛け合わせれば、一口で脳が痺れる最高のバル・メニューが完成しますわ!」


お兄さんと科学特化がカウンターで熱心に調味料の配合を打ち合わせていると、裏口から地響きが轟いた。


**ドゴォォォォン!!**


「な、なんだ何が起きた!?」


驚くお兄さんの前に降ってきたのは、山のような最高級食材の群れであった。


優雅に空間から現れた【森羅万象のヤンデレ】が、人差し指をすっと立てる。


「食材が足りないと科学殿から伺いましたので、世界中の海と陸と森から集めてまいりましたわ♡」


彼女が能力を発動すると、遠く離れた太平洋や地中海から**マグロ、カツオ、タイ、幻の深海魚まで、あらゆる魚群が水塊ごと空を飛んで**裏庭へダイレクトに引っ張られてきた。


さらに、最高峰の牧場で育ったA5ランクのブランド牛や極上黒豚までもが、怪我ひとつなくふわふわと宙に浮いて運ばれてくる。


それだけではない。


次の瞬間、裏庭に別の「緑の雨」が降り注いだ。


「野菜とキノコも、おろそかにはいたしませんわ♡」


森の奥から引き抜かれたばかりの根菜。高原の朝露を含んだ葉物。欧州の洞窟でしか採れないという希少キノコ。東洋の山林に自生する香り高い山菜。土のついたままの芋類が、きれいに並べられていく。


「鮮度も水分量も、採れたてと同等に保ってありますわ♡ 天候と土壌の記憶ごと、こちらへ移しましたの♡」


「スケールがデカすぎて目が追いつかねえよ……! でも……野菜まで揃ってるのか……!」


お兄さんは悲鳴を上げつつも、眼前に並んだ最高品質の肉・魚・野菜・キノコと、科学特化のロジックに触発され、職人魂を爆発させた。


---


## 第2段階:職人リフォームと、限界の厨房


メニュー開発と並行して、【拷問・具現化特化のヤンデレ】が動いた。


普段は拷問器具や拘束ベッドの鍛造を手掛ける彼だが、その本質は超一流の職人である。


「ふむ……カウンターの下木が老朽化していますね。換気ダクトの排気効率も落ちている。職人として見過ごせません」


彼は工具箱を取り出すと、古くなっていた壁面やカウンター、照明設備を爆速で修復。店内はあっという間に、シックで洗練された高級バーのような佇まいへとブラッシュアップされた。


そして、完成した新メニューの試食が始まった。


試食役に選ばれたのは、【格闘特化の男ヤンデレ】と【腰振りのスペシャリスト】だけではなかった。


森羅万象が空間転移で【王城の国王】と【近衛兵士軍団】をまるごと試食係としてゲイバーへ拉致してきたのだ。


「ひ、ひぃぃっ!? また我が国になにか国家レベルの災厄が……!?」


店内に放り出された国王は、恐怖で真っ青になり、震えながら頭を抱えていた。

しかし、目の前に差し出された出来立てホヤホヤの試作品――『悪魔の特製スパイシーチキン』と『極上マグロのレアステーキ』、そして森のキノコを使った香草ソテーの芳香が、王の鼻腔を直撃した。


「……ん?」


恐る恐る口に運んだ国王の瞳が、次の瞬間、カッと見開かれた。


「な、なんだこの美味さはァァァーーッ!?」


---


### リテイク① 格闘特化の「体で知る」ダメ出し


最初に皿を空にしたのは、格闘特化だった。


彼は黙って箸を置き、自分の拳を見つめた。


「……マスター」


「あ、ああ。どうだ」


「一口目で、肩の力が抜けた。これは良い」


「おお、じゃあ合格か?」


「いや。三口目で、また力が入った」


格闘特化は、キッチンの床を軽く踏んだ。地鳴りがする。


「俺の体は、強い酒のあとに『次の一品』を欲しがる。今のチキンは、最初の衝撃は強い。だが、酒を挟んだあとの『もう一回食いてえ』が弱い。体が、次のラウンドに入りきれねえ」


「次のラウンド……?」


「つまりだ。酒との連打が続かない。単発の強打で終わってる」


彼は自分の腹筋を叩き、真顔で続けた。


「俺がスパーリングで相手を追い込むとき、最初の一発より、息が上がったあとの二発目・三発目で勝負を決める。この料理も同じだ。ビール二杯目のあとに、もっと体が前に出る切れ味が欲しい」


お兄さんの額が汗ばむ。


「……分かった。火入れとスパイスの後ノリを調整する」


「頼む。俺は、美味いものには正直なだけだ」


---


### リテイク② 腰振りの「リズムと余韻」ダメ出し


次に口を開いたのは、腰振りのスペシャリストだった。


彼はスパイシーチキンを一口噛み、目を閉じ、ゆっくりと息を吐いた。


「……惜しいですな、マスター♡」


「なんだよ、お前まで」


「衝撃の入り方は良い。腰に来る、というか……最初の一拍は完璧です」


彼はカウンターを指先でトントンと叩く。メトロノームのような間隔だった。


「ですが、余韻が短い。酒が進む料理というのは、一口のあとに『間』があるものです。その間に、次の杯が自然と手に伸びる。今の一品は、強すぎて間が潰れている」


「間、か……」


「ええ。私の衝撃波も同じです。ただ撃てば良いわけではない。相手の呼吸の『谷』に合わせて放つから、効く」


腰振りはキノコのソテーを指差し、満足げに頷いた。


「こちらの香草キノコは、間があります。噛んだあと、鼻に抜けるまで一拍置ける。チキンも、この『一拍』を作ってください。そうすれば、杯が止まらなくなります」


「……お前、料理の話なのに、妙に説得力があるな」


「力の入れ方と抜き方の話ですからね♡ 加減は、できます」


「前に国を三つ消したやつが言うな」


それでもお兄さんはその指摘を噛みしめ、再びフライパンを振った。


---


### 限界の厨房と、二人の支援


リテイクは一度では終わらなかった。


国王が「三杯目の後味が重い!」と叫び、兵士が「 肉 の旨味をもう一押しを!」と便乗し、格闘が「連打に耐える設計にしろ」、腰振りが「一拍の余韻を残せ」と畳みかける。


お兄さんの腕が、見えにくくなる。

額から汗が 滝のように落ち、膝がわずかに揺れた。


「くそ……手が……止まらねえ……だが、まだいける……!」


そのとき、厨房の入口から【慈愛のヤンデレ】が滑り込んできた。


「マスター、少しだけお口を開けてくださいませ♡」


「へ? 今は――」


温かな光が、お兄さんの肩と手首を包む。

張り詰めていた腱の痛みが引き、呼吸が深くなった。


「筋肉の微細な損傷と、集中による過緊張をほどいておきましたわ♡ 治しすぎて感覚が鈍らないよう、加減してありますの」


「あ……腕が、軽い」


続けて【薬学特化のヤンデレ】が、小さなコップを差し出した。


「こちらは市販の塩分・糖分と、厨房作業向けに調整した補給液ですわ♡ 眠気は出ません。判断力を落とさず、手だけが続く配合ですの♡」


「……お前ら、料理までサポートするのか」


「マスターが倒れては、ご主人様のオアシスが止まりますもの♡」と慈愛。

「データ上も、あと三十分の集中が品質を最も押し上げますわ♡」と薬学。


お兄さんはその場で一気に飲み干し、フライパンを握り直した。


「……悪ィな。もう一回だけ、最高の皿を出す」


格闘が腕を組んで笑う。


「それでこそだ」


腰振りが指を鳴らす。


「次こそ、一拍目も二拍目も、酒に合わせてください♡」


国王までが立ち上がり、拳を握った。


「宮廷料理長をクビにして――いや、違う! **この店に通うための非番を今すぐ全兵士に増やせ!!**」


兵士たちが歓声を上げる。


「賛成であります!」「非番は人生をかけて通います!!」


お兄さんは厨房で嬉し泣きしながら、なおも火を入れ続けた。

限界の先を、慈愛の光と薬学の杯が、静かに支えていた。


---


## 第3段階:アイドル宣伝と世界配信インフラの無駄遣い


数日後。ついに完璧な新メニューとリニューアル店舗が完成した。


集客を担当したのは、【潜入特化】と【監視特化】、そして【嫉妬のヤンデレ】である。


潜入特化は影のように街を駆け巡り、ターゲット層のポケットやカバンへ完璧なタイミングでリニューアル告知のビラを滑り込ませた。


国民的トップアイドルである【嫉妬のヤンデレ】が、監視特化の世界配信インフラをフル活用して告知を出した。


「皆様ー♡ 今日は私が大好きな、隠れ家ゲイバーのリニューアルオープンですの♡ 新メニューの『悪魔のスパイスチキン』と『極上マグロと高級牛のトリュフ仕立て』、森のキノコの香草ソテーも絶対ですわよ〜♡」


---


## 結果:大繁盛と、巡り巡る被害


効果は絶大だった。


リニューアルオープンの初日。店の前には街を埋め尽くすほどの長蛇の列ができ、店内は連日超満員。王城の兵士たちも軍規改定のおかげで非番のたびに大挙して押し寄せ、国王も極秘でお忍び(変装なし・王冠着用)で通い詰めた。


「マスター! この新メニュー最高に美味しいわ!」「お酒がいくらでも飲めちゃう!」


常連客も新規客も大絶賛。お兄さんは、これまでにないほどの大儲けを達成したのだった。


「みんな……本当にありがとうな! おかげで店が救われたよ!」


お兄さんがヤンデレたちに深く感謝し、ホクホク顔で札束を数えていた、その裏で――


---


## エピローグ:要塞の夕食にて


その夜。要塞のダイニングテーブル。


いつものように拘束椅子に座らされた【主人公】の前に、豪華な料理がずらりと並べられた。


「さあ、ご主人様♡ 今日の夕食ですわ♡」


「ん? なんかすごく旨そうな匂いはするな……」


主人公が一口食べると、目が見開かれた。


「う、美味い……!? なんだこれ、絶妙なスパイシーさとコクがあって、いくらでも食えるぞ! キノコの香りも、酒が進みそうだ……!」


満足そうに食べる主人公を囲み、ヤンデレたちが不敵に微笑んでいた。


【科学特化】が静かに解説する。


「ふふ♡ それは先日、ゲイバーのマスターと一緒に開発した新メニューの『レシピ改良版』ですわ♡ 野菜とキノコのバランスも、森羅万象様の調達材を再現してありますの」


「へえ、お兄さんの店のメニューなのか! どおりで旨いわけ――」


【薬学特化】が、アンプルを弄りながら言葉を継ぐ。


「ええ♡ マスターに出したレシピをベースに、主人公様の『夜のスタミナ・精力倍増・超回復効果』が得られる特殊生薬を大量に配合・改良しておきましたの♡ 厨房でマスターを支えた補給の知見も、応用してありますわ♡」


「……は?」


主人公の箸が止まった。


【慈愛のヤンデレ】が、うっとりと手を合わせる。


「これで今夜も、何度果てても秒速で全回復して、朝まで元気に過ごせますわね♡ マスターのときと同じく、壊れないよう、ちゃんと支えますから♡」


主人公は、勢いよく血の気が引いていくのを感じながら、遠い目でお兄さんのお店がある方角を仰ぎ見た。


「お兄さん……お店が大儲けできたのは良かったけどさ……**巡り巡って俺に特大の毒(スタミナ飯)が回ってきてるんだけどおおおおお!!**」


ゲイバーのお兄さんが大繁盛で笑いを止まらなくさせている頃、主人公は改良型スタミナ料理のパワーによって、いつも以上に過酷な「夜のステージ」へと引きずり込まれていくのであった。

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