ヤンデレたち主催のSASUKE
ある日の夜。
十人のヤンデレたちは、コタツを囲みながらミカンを食べ、テレビを見ていた。
画面に映っているのは、筋肉自慢の挑戦者たちが難関アトラクションに挑む番組、SASUKEである。
「まあ、すごいですわ♡ あんなところを登っていくなんて♡」
「最後までクリアできる方はいるのでしょうか♡」
「皆さん、必死ですわね♡」
ヤンデレたちは、ミカンを食べながら楽しそうに番組を眺めていた。
やがて、魔導のヤンデレがポンと手を叩いた。
「……いいことを思いつきましたわ♡」
「何ですの?」
「私たちも、SASUKEを開催すればいいのですわ♡」
その言葉に、残りの九人も目を輝かせた。
「素晴らしいですわ♡」
「主人公さんにも参加していただきましょう♡」
「せっかくですから、国王様と勇者さんとお兄さんもご招待しましょう♡」
「もちろん、本人たちには内緒ですわ♡」
十人はコタツを囲んだまま、次々と競技内容を考えていった。
身体能力を鍛える試練。
精神力を鍛える試練。
極限環境への適応訓練。
そして、最後には究極の試練。
「皆さん、きっと喜んでくださいますわ♡」
「ええ♡ 愛する主人公さんのためですもの♡」
こうして、ヤンデレたちによる前代未聞のSASUKE計画が始動した。
ただし、参加者たちの同意は得ていなかった。
## 第一ステージ 鋼鉄の拘束具
翌朝。
主人公が目を覚ますと、そこは見知らぬ部屋だった。
両手両足には、頑丈な鋼鉄の拘束具が取り付けられている。
周囲を見渡すと、勇者、国王、そしてゲイバーのお兄さんも同じように拘束されていた。
「……は?」
主人公は状況を理解できず、しばらく固まった。
そのとき、どこからともなく明るいアナウンスが響いた。
『皆様、おはようございます♡』
『ようこそ、ヤンデレたち主催のSASUKEへ♡』
「ふざけんなあああああ!!」
主人公の叫び声が部屋中に響き渡った。
「おい! 俺たちを誘拐したのか!?」
『誘拐ではありませんわ♡ 愛情たっぷりの特別トレーニングです♡』
「どこがだよ!!」
『それでは、第一ステージを開始いたします♡』
その瞬間、部屋に水が流れ込み始めた。
「水だと!?」
見る見るうちに水位が上昇していく。
アナウンスが告げた。
『第一ステージのクリア条件は、鋼鉄の拘束具を破壊し、部屋から脱出することです♡』
「最初から拘束されてるじゃねえか!!」
お兄さんは拘束具を見つめた。
「……まあ、畑仕事で鍛えた腕力を試すにはちょうどいいか」
お兄さんは力を込めた。
バキッ!!
鋼鉄の拘束具が砕け散った。
「よし。野菜を育てるのも、案外馬鹿にできないな」
続いて勇者も力を込め、拘束具を破壊した。
「これくらいなら問題ない!」
国王も負けじと叫ぶ。
「余は国王だぞおおおおお!!」
バキィッ!!
国王も拘束具を破壊した。
一方、主人公は必死に腕を動かしていた。
しかし、拘束具はびくともしない。
「なんだこれ!? 鋼鉄どころの硬さじゃねえぞ!!」
実は、魔導のヤンデレ、薬物特化のヤンデレ、森羅万象のヤンデレが、主人公の拘束具だけを念入りに強化していたのだ。
『主人公さん♡ 頑張ってくださいませ♡』
「お前ら絶対わざとだろ!!」
水位は胸元まで上昇していた。
主人公が最後の力を振り絞ろうとした、そのとき。
部屋全体に亀裂が走った。
「え?」
次の瞬間、部屋が水圧に耐えきれず崩壊した。
大量の水が一気に流れ出し、主人公はその流れに巻き込まれて外へと押し流された。
『第一ステージ、クリアです♡』
「何もしてねえええええ!!」
こうして、主人公はなぜか第一ステージを突破した。
なお、魔導のヤンデレが後から拘束具を解除してくれたため、主人公は無事に動けるようになった。
## 第二ステージ 五百メートル走
第二ステージの会場に到着すると、目の前には五百メートルの直線コースが広がっていた。
「……普通の徒競走じゃないか」
主人公がそう呟いた瞬間、科学特化のヤンデレが現れた。
「皆様♡ 今回は科学の力を体験していただきますわ♡」
彼女は装置のスイッチを押した。
すると、主人公たちの身体が急激に小さくなっていった。
身長は元の一万分の一。
人間の身長が約一・七メートルなら、約〇・一七ミリメートルである。
「小さくなってるううううう!!」
主人公たちは、米粒よりもはるかに小さな存在になってしまった。
しかし、コースの長さは五百メートルのままだった。
『第二ステージ、スタートです♡』
「待て待て待て!! 俺たちの大きさを考えろ!!」
主人公たちは必死に走り始めた。
だが、一歩進むだけでも大変な距離である。
一日かけて進めた距離は、わずか五メートルだった。
「……もう無理だ」
勇者が倒れ込んだ。
国王も膝をついた。
「余は国王だぞおおおおお!! こんな競技があってたまるかあああああ!!」
お兄さんも疲れ果てていた。
主人公は地面に倒れながら呟いた。
「五百メートルって、こんなに遠かったのか……」
その様子を見ていた森羅万象のヤンデレが、にっこりと微笑んだ。
「皆様、十分頑張りましたわ♡ 全員クリアということでよろしいですわね♡」
『第二ステージ、全員クリアです♡』
「判定が甘すぎるだろ!!」
こうして、全員が第二ステージを突破した。
ただし、主人公だけには追加競技が用意されていた。
## 第二・一ステージ シンデレラの舞踏会
主人公が目を覚ますと、そこは豪華絢爛な舞踏会場だった。
目の前には、美しいドレスを着た女性が立っていた。
「主人公さん♡ 今夜は私と踊ってくださいませ♡」
「……何をさせる気だ?」
『第二・一ステージのクリア条件は、舞踏会で女性と踊り、午前零時までに会場から脱出することです♡』
「なんで俺だけ追加ステージがあるんだよ!!」
女性は主人公の手を取った。
「さあ、踊りましょう♡」
音楽が流れ始めた。
主人公は女性に引っ張られ、半ば強制的にダンスを踊らされた。
その間にも、会場には次々と障害物が現れた。
巨大な岩が転がってくる。
鉄格子が進路を塞ぐ。
氷の塊が頭上から落下してくる。
「舞踏会でやることじゃねえだろ!!」
主人公は障害物を避けながら、必死に出口を目指した。
しかし、女性は決して手を離そうとしなかった。
「離してくれ!!」
「嫌ですわ♡ ずっと一緒に踊っていたいですもの♡」
「競技なんだよ!!」
時計の針は、十一時五十九分を指していた。
そのとき、会場の中央に巨大なガラスの靴が出現した。
「なんだあれ!?」
ガラスの靴はひとりでに動き、主人公の足にぴったり合う大きさへと変化した。
「まさか、これも試練なのか!?」
時計の針が進む。
十一時五十九分五十九秒。
ガラスの靴が主人公の足にはまった。
『第二・一ステージ、クリアです♡』
主人公はその場にへたり込んだ。
「……SASUKEって、こんなんだったか……?」
## 第三ステージ マッチ売りの少女
第三ステージの会場に到着すると、勇者、国王、お兄さんの三人は解放された。
「えっ、俺たちはもう終わりなのか?」
勇者が尋ねた。
慈愛のヤンデレが微笑んだ。
「皆様は十分に頑張りましたわ♡ これ以上続けたら可哀想ですもの♡」
「じゃあ、俺は!?」
主人公が叫んだ。
「主人公さんは、まだまだ鍛える必要がありますわ♡」
「なんでだよ!!」
こうして、主人公だけが第三ステージに残された。
今回の競技は、マッチ売りの少女。
一日ですべてのマッチを売り切ればクリアである。
主人公はマッチの入った袋を抱え、街へと向かった。
「よし……。今度こそ普通の競技だな」
しかし、その考えは甘かった。
街に入った瞬間、銃声が響いた。
ダダダダダダダダッ!!
「うおおおおお!?」
科学特化のヤンデレが、機関銃を構えていた。
「主人公さん♡ 実戦的な回避訓練も兼ねておりますわ♡」
「兼ねるな!!」
主人公は銃弾を避けながら走った。
今度はロケットランチャーが飛んできた。
ドゴォォォン!!
「街中で撃つなあああああ!!」
さらに上空から爆撃が降り注いだ。
主人公は必死に逃げ回ったが、街の住民たちは恐怖に駆られて逃げ出してしまった。
そして、主人公が抱えていたマッチの袋も爆風に巻き込まれ、跡形もなく吹き飛んだ。
「……あ」
主人公は空っぽになった手を見つめた。
『第三ステージ、クリアです♡』
「売れてねえええええ!!」
『在庫がゼロになりましたので、完売ですわ♡』
「破壊しただけだろ!!」
こうして、主人公は第三ステージを突破した。
しかし、試練はまだ終わらなかった。
## 特別訓練 極限環境への適応
『続いて、主人公さんには特別訓練を受けていただきます♡』
「まだあるのかよ!!」
主人公の周囲の景色が変わった。
最初は、極寒の世界だった。
吹雪が吹き荒れ、身体が凍りつくほどの寒さが襲いかかる。
「寒いいいいいい!!」
主人公は耐えきれず、その場に倒れた。
すると、慈愛のヤンデレが駆け寄ってきた。
「大丈夫ですわ♡ すぐに治して差し上げます♡」
彼女は主人公を完全に回復させ、優しく抱きしめてキスをした。
「……何してんだ?」
「愛情を込めて治療しておりますわ♡」
「治療とキスを一緒にするな!!」
次の瞬間、主人公は灼熱の世界へ転送された。
「熱いいいいいい!!」
今度は燃え盛る炎に包まれ、主人公は再び倒れた。
慈愛のヤンデレが回復させ、またキスをした。
「だから、回復とキスをセットにするな!!」
さらに次は、空気のない真空空間。
続いて、通常の一万倍の重力がかかる空間。
主人公は何度も倒れ、そのたびに完全回復させられた。
「お前ら、俺を何回倒す気だ!!」
「何度でもですわ♡ 倒れるたびに、私が治して差し上げますもの♡」
「回復魔法をコンティニュー回数みたいに使うなあああああ!!」
こうして、主人公は極限環境への適応訓練を終えた。
本人の意思とは無関係に。
## 最終ステージ かぐや姫
ついに、最終ステージが始まった。
主人公の目の前には、巨大な竹がそびえ立っていた。
『最終ステージのテーマは、かぐや姫です♡』
「……嫌な予感しかしない」
『まずは竹の中に入っていただきます♡』
「どうやってだよ!?」
主人公が叫んだ瞬間、ヤンデレたちが一斉に斧を構えた。
「さあ、竹を切りましょう♡」
「おい待て!! 俺が中にいるんだぞ!!」
斧が振り下ろされる。
主人公は瞬間移動で脱出した。
しかし、森羅万象のヤンデレが魔法を発動させた。
「逃がしませんわ♡」
主人公は再び竹の中へ引き戻された。
竹が巨大化していく。
「大きくすればいいという問題じゃねえだろ!!」
主人公は何度も脱出を試みたが、そのたびに竹の中へ戻された。
やがて、ようやく竹から解放された。
しかし、休む間もなく次の訓練が始まった。
### ビリーズブートキャンプ
主人公は、広大な訓練場へ連れてこられた。
そこに待っていたのは、終わりのない筋力トレーニングだった。
スクワット。
腹筋。
腕立て伏せ。
「まだまだですわ♡ あと一万回です♡」
「一万回!?」
主人公が倒れようとすると、格闘特化のヤンデレが重力を操作した。
身体が床に押しつけられ、姿勢を維持するだけでも苦しくなる。
「さあ、続けてくださいませ♡」
「これ以上は無理だあああああ!!」
倒れれば、慈愛のヤンデレが完全回復させる。
そして、再びトレーニングが始まる。
そんな生活が何日も続いた。
主人公の身体は、いつしか筋骨隆々の肉体へと変貌していた。
ついには、ボディビル大会にも出場。
鍛え上げられた筋肉を披露し、見事に優勝した。
「やった……。俺はついに、ここまで鍛え上げたんだ……!」
主人公は感動に震えた。
しかし、ヤンデレたちは満足していなかった。
「まだ終わりではありませんわ♡」
「……え?」
### 第一の試練 自分自身の彫刻
主人公の前に、巨大な石材が運ばれてきた。
『三日以内に、自分自身の等身大の彫刻を十体完成させてください♡』
「十体!?」
主人公は必死に石を削り始めた。
顔の輪郭、筋肉の形、指先の細部に至るまで、すべてを正確に再現しなければならない。
三日後。
主人公は十体の彫刻を完成させた。
「……どうだ!」
「素晴らしいですわ♡ ご自身のことをよく理解していらっしゃいますのね♡」
「もう石を見るのも嫌だ……」
### 第二の試練 ヤンデレたちの彫刻
次に運ばれてきたのは、十人分の石材だった。
『今度は、私たち十人の等身大の彫刻を制作してくださいませ♡』
「……は?」
『髪の毛一本、指先の形、衣服のしわまで、正確に再現してくださいね♡』
「無理だろ!! 十人分だぞ!?」
「愛があればできますわ♡」
「その理屈で何でも押し通すな!!」
主人公は再び彫刻に取りかかった。
それぞれの顔立ち、体格、表情。
十人全員の特徴を細かく観察し、ひたすら石を削り続けた。
ようやく完成した彫刻を見て、ヤンデレたちは感動した。
「まあ♡ 私、こんなに美しかったのですね♡」
「主人公さん、私のことを隅々まで理解してくださっているのですね♡」
「……もう二度と彫刻はやりたくない」
### 第三の試練 火鼠の衣
次の試練は、かぐや姫が求めた宝物、火鼠の衣だった。
「火鼠の衣を持ってくればいいんだな?」
「はい♡ ただし、本物でなければなりませんわ♡」
主人公は衣を手に入れるため、火鼠の試練に挑むことになった。
用意されたのは、巨大なファラリスの雄牛。
「……なぜ、これがあるんだ?」
「火に耐える訓練ですわ♡」
主人公は雄牛の中に入れられ、火をつけられた。
「熱いいいいいい!!」
主人公は耐えきれずに倒れた。
すぐさま慈愛のヤンデレが回復させる。
そして、再び火に包まれる。
何度も繰り返された末、主人公はついに火鼠の衣を手に入れた。
「……これでいいんだな?」
「はい♡ 見事な火鼠の衣ですわ♡ クリアです♡」
「最初からそれを渡してくれよ!!」
### 第四の試練 阿修羅との決闘
次の試練の相手は、神話に登場する阿修羅だった。
「阿修羅と一対一で戦い、勝利してくださいませ♡」
「神話の存在と戦えって!?」
主人公は覚悟を決め、阿修羅に立ち向かった。
しかし、阿修羅の力は圧倒的だった。
拳が飛ぶ。
蹴りが炸裂する。
主人公は何度も地面に叩きつけられた。
「くそっ……! これでもか!!」
鍛え上げた筋肉を駆使し、主人公は必死に食らいついた。
だが、阿修羅の猛攻を止めることはできなかった。
やがて、阿修羅を召喚していた魔法の効果時間が終了した。
阿修羅は消滅した。
『第四の試練、クリアです♡』
「……勝ってねえだろ!!」
「制限時間いっぱいまで戦い抜きましたわ♡ 立派な成果です♡」
「判定が甘すぎる!!」
### 第五の試練 究極の愛の結晶ヤンデレモビルスーツ
ついに、最後の試練が始まった。
主人公の目の前に、巨大な人型兵器が姿を現した。
その名も――
**究極の愛の結晶ヤンデレモビルスーツ。**
全身には最新鋭の兵器が搭載され、圧倒的な火力を誇る。
さらに、破壊されても瞬時に再生し、敵の攻撃を学習して進化する。
「……なんだ、あの化け物は」
ヤンデレたちは、誇らしげに胸を張った。
「私たちの愛の結晶ですわ♡」
「科学と魔法と愛情を融合させた、究極のモビルスーツですの♡」
「主人公さんのために、十人で力を合わせて開発しましたわ♡」
「俺を倒すために作ったんじゃねえか!!」
『最終試練、開始です♡』
究極の愛の結晶ヤンデレモビルスーツが動き出した。
巨大な腕が振り下ろされる。
主人公は瞬間移動で回避した。
続いて、無数のミサイルが発射された。
主人公は鍛え上げた身体能力を駆使し、次々と攻撃をかわしていく。
「これまでの訓練は、すべてこのためだったのか……!」
主人公は拳を握りしめた。
「ならば、見せてやる! 俺の修行の成果を!!」
主人公はスタンドを発現させた。
「スタープラチナ!!」
強烈な拳がモビルスーツの装甲を砕いた。
さらに、主人公は叫んだ。
「時よ、止まれ!!」
時間が停止した。
主人公は止まった世界の中で、モビルスーツの中枢を狙って攻撃を叩き込んだ。
装甲が砕け、内部機構が破壊される。
しかし――。
時間が動き出した瞬間、破壊された装甲が再生し始めた。
「なにっ!?」
モビルスーツは破壊された部分を修復し、さらに複数の機体へと分裂した。
「増殖までできるのかよ!!」
無数のモビルスーツが一斉に襲いかかってきた。
主人公は攻撃をかわしながら、必死に反撃した。
だが、相手は攻撃を受けるたびに進化していく。
スタープラチナの攻撃パターンを学習し、防御を強化する。
主人公の能力に適応し、弱点を克服していく。
「くそっ……! このままじゃ、きりがない!」
そのとき、主人公はある能力を思い出した。
「……そうだ。まだ、あれがある!」
主人公は深く息を吸った。
「メイド・イン・ヘブン!!」
主人公の能力が発動した。
この世界におけるメイド・イン・ヘブンは、夜の生活を加速させる能力である。
そして、その力は主人公の究極技を強化することもできた。
「今までの地獄のような訓練……。筋肉、体力、精神力……。すべてを、この一撃に込める!」
主人公は全身の力を集中させた。
「俺自身が、股間になることだ!!」
「何を言っているんですの!?」
ヤンデレたちが思わず声を上げた。
しかし、主人公は構わなかった。
メイド・イン・ヘブンによって強化された究極技。
鍛え上げられた筋肉。
極限環境を生き抜いた精神力。
すべてが一つになり、凄まじい力が生まれていく。
主人公は再び叫んだ。
「時よ、止まれ!!」
世界が停止した。
主人公はスタープラチナとともに、究極の愛の結晶ヤンデレモビルスーツの中枢へと突進した。
「これで終わりだあああああ!!」
究極の一撃が、中枢を貫いた。
次の瞬間、時間が動き出した。
巨大なモビルスーツの内部で、光が膨れ上がる。
装甲が砕け散り、無数の機体が連鎖的に爆発した。
再生能力も、増殖能力も、進化能力も、もはや意味をなさなかった。
究極の愛の結晶ヤンデレモビルスーツは、完全に破壊された。
主人公は地面に着地し、肩で息をした。
「……やった」
ついに、主人公は自分自身の力で最終試練を突破したのだった。
これまでの地獄のような訓練は、決して無駄ではなかった。
「俺は……俺は、ついに勝ったんだ……!」
ヤンデレたちは、盛大な拍手を送った。
「素晴らしいですわ♡」
「さすが主人公さんですわ♡」
「私たちの愛が、主人公さんをここまで強くしたのですわね♡」
「お前らのせいで、どれだけ苦労したと思ってるんだ!!」
主人公は叫んだ。
しかし、ヤンデレたちは満面の笑みを浮かべていた。
「それでは、最後の試練ですわ♡」
「……は?」
主人公の顔から血の気が引いた。
## 真の最終試練 ヤンデレ十人との決戦
主人公の目の前に、十人のヤンデレたちが並んだ。
「最後は、私たち十人と戦っていただきますわ♡」
「今までの試練は何だったんだよ!!」
「もちろん、前座ですわ♡」
「前座で究極のモビルスーツを出すな!!」
主人公は拳を握りしめた。
究極の愛の結晶ヤンデレモビルスーツを倒した今なら、彼女たちにも勝てるかもしれない。
これまでの訓練で得た筋肉。
磨き上げた身体能力。
スタープラチナ。
メイド・イン・ヘブン。
すべてを使えば、勝機はある。
「……今度こそ、俺の修行の成果を見せてやる!」
主人公はスタープラチナを発現させた。
「時よ、止まれ!!」
世界が停止した。
主人公は一気に距離を詰め、ヤンデレたちへ攻撃を仕掛けようとした。
しかし。
「まあ♡ 時間が止まりましたわね♡」
「それで、どうなさるおつもりですの♡」
ヤンデレたちは、停止した時間の中で平然と動いていた。
「はあああああ!?」
魔導のヤンデレが微笑んだ。
「私たちも、時間停止への対策くらいしてありますわ♡」
「そんな対策があってたまるか!!」
主人公はメイド・イン・ヘブンを発動した。
しかし、科学特化のヤンデレが装置を操作した瞬間、主人公の能力が封じられた。
「なっ……!?」
「主人公さんの能力を無効化する装置ですわ♡ 科学の力って素晴らしいですわね♡」
続いて、魔導のヤンデレが魔法を封じた。
森羅万象のヤンデレが逃走経路を消し去った。
格闘特化のヤンデレが主人公の動きを封じ込めた。
薬物特化のヤンデレが主人公の体力を奪っていく。
残りのヤンデレたちも、息の合った連携で主人公を追い詰めた。
「待て! 俺にはまだ、この筋肉がある!!」
主人公は鍛え上げた肉体で抵抗した。
しかし、十人のヤンデレたちは、それぞれの能力を組み合わせて対抗してきた。
力で押さえ込まれ、能力を封じられ、逃げ道を塞がれる。
どれだけ鍛え上げた身体でも、十人の連携を突破することはできなかった。
「くそっ……! 俺は究極の愛の結晶ヤンデレモビルスーツを倒したんだぞ!!」
「ええ♡ 素晴らしい戦いでしたわ♡」
「ですが、私たち十人には勝てませんわ♡」
「そんな馬鹿なあああああ!!」
主人公は、あっという間に敗北した。
ヤンデレたちは満足そうに頷いた。
「さあ、帰りましょう♡」
「帰るって、どこに!?」
「もちろん、私たちのお家ですわ♡」
「いやだあああああ!!」
主人公の叫び声が、会場中に響き渡った。
## エピローグ
その夜。
主人公は十人のヤンデレたちに囲まれていた。
彼女たちは、主人公の健闘を称えながら、たっぷりと甘やかしていた。
「主人公さん♡ 究極の愛の結晶ヤンデレモビルスーツを倒すなんて、本当に素晴らしかったですわ♡」
「鍛え上げられた身体も、とても素敵ですわ♡」
「メイド・イン・ヘブンで究極技を強化するなんて、最高の発想でしたわね♡」
主人公は複雑な表情を浮かべた。
「……俺が苦労して鍛えた成果が、全部お前らに利用されてる気がするんだが」
「もちろんですわ♡」
「即答するな!!」
ヤンデレたちは楽しそうに笑った。
「でも、主人公さんが強くなってくださって、私たちも嬉しいですわ♡」
「これからも、もっともっと鍛えて差し上げますわね♡」
「……もう好きにしてくれ」
主人公は、とうとう抵抗する気力を失った。
ヤンデレたちは、今回のSASUKEを通じて新しい訓練方法をいくつも発見していた。
そして、主人公との夜の生活にも、新たなレパートリーが加わることになった。
主人公は究極の愛の結晶ヤンデレモビルスーツを倒すほど強くなった。
しかし、ヤンデレ十人には勝てなかった。
そして、ヤンデレたちは今日も幸せだった。




