虚無魔法で股間を消して逃げようとしたら、ヤンデレ10人に銀河級の大作にされていた
主人公は、ヤンデレたちとの夜の生活から逃れるため、虚無魔法の習得を決意した。
しかし、ヤンデレたちに知られれば何をされるかわからない。彼は彼女たちの目を盗み、度重なる訓練を重ねた。見つかれば命に関わる、文字どおり命懸けの修行だった。
そして、ついにその日が来た。
主人公は虚無魔法を発動した。
次の瞬間、股間が消滅した。
「……消えた」
何度も確認する。やはり、完全に消えていた。
「やったああああああああああああああああああ!!!!!」
主人公は天高く拳を突き上げ、勝利のガッツポーズを決めた。
「これで……俺は自由だ……!」
主人公が誰にも見つからない場所で虚無魔法の訓練を重ねていた頃。
遠く離れた山の頂上では、監視特化型ヤンデレが望遠カメラを構えていた。
「主人公様、今日も命懸けの修行ですわね♡」
彼女は撮影画面を確認しながら、感動に震えた。
「愛する私たちから逃れるために、ここまで努力なさるなんて……! なんという情熱……!」
カメラは、主人公が虚無魔法を習得し、歓喜のガッツポーズを決める瞬間まで完璧に記録していた。
「この場面は、作品のクライマックスに使えますわね♡」
彼女は映像データを保存すると、潜入特化型ヤンデレに送信した。
その頃、潜入特化型ヤンデレは、出版社の編集者に変装して喫茶店に座っていた。
「ええ、壮大な冒険譚ですわ。主人公が自由を求め、数々の試練を乗り越える物語……」
ノートパソコンには、すでに企画書が完成していた。
タイトルは――
『銀河級逃亡劇――愛から逃げた男の物語』
「ふふふ♡ これは世界中で大ヒット間違いなしですわ♡」
もちろん、主人公本人は、自分の修行が映像作品の素材になっているなど夢にも思っていなかった。
主人公が勝利のガッツポーズを決めていると、森羅万象のヤンデレが現れた。
「主人公様、成功おめでとうございます♡」
「……え?」
森羅万象のヤンデレは、にっこりと微笑んだ。
そして、指をパチンと鳴らした。
すると、主人公の股間だけ時間が巻き戻り、消滅する前の状態に戻った。
「…………は?」
主人公は自分の股間を見下ろした。
元通りだった。
「な、なんでだああああああああああああああ!!!!!」
森羅万象のヤンデレは、満面の笑みで答えた。
「だって、主人公様の身体ですもの♡ 私に直せないわけがありませんわ♡」
そこへ、魔導のヤンデレが現れた。
「そんなのあんまりですわ!」
魔導のヤンデレは、森羅万象のヤンデレに詰め寄った。
「主人公様は、あんなに必死に修行していたのですよ! ヤンデレたちの目を盗んで、命懸けの訓練を何度も繰り返して……。それなのに、せっかくの成果を元に戻してしまうなんて、可哀想すぎますわ!」
主人公は目を見開いた。
(こいつ……俺の努力を理解してくれていたのか……!)
胸が熱くなった。
自分の自由を願ってくれるヤンデレが、ついに現れたのだ。
主人公は魔導のヤンデレを見つめた。魔導のヤンデレは、そんな彼に優しく微笑み返した。
そして、森羅万象のヤンデレにそっと耳打ちした。
「…………」
森羅万象のヤンデレは、にっこりと微笑んだ。
「わかりました♡ 股間は消し去った状態に戻しましょう♡」
次の瞬間、主人公の股間が再び消滅した。
「や、やった……! ありがとう……!」
主人公は感動のあまり、魔導のヤンデレに涙を浮かべて感謝した。
魔導のヤンデレも、満足そうに微笑んでいた。
「よかったですわね、主人公様♡」
彼女が森羅万象のヤンデレに耳打ちした内容は、誰にも聞こえていなかった。
次の日、主人公が目を覚ますと、体がやけに重かった。
いや、正確には体のある一点だけが重い。
股間だった。
「……おかしい」
主人公は布団の中で固まった。
股間は、昨日、確かに消滅したはずだ。
恐る恐るシーツをめくる。
そこには、自動式の未来型の股間が鎮座していた。
「なんじゃこりゃああああああああああああ!!!!!」
そこへ、魔導のヤンデレと森羅万象のヤンデレが現れた。
魔導のヤンデレは、誇らしげに告げた。
「科学特化のヤンデレが一日でやってくれました♡」
「それでは、性能を試しましょうか♡」
魔導のヤンデレが言った。
そして、召喚魔法を唱えた。
魔法陣が輝き、その中から現れたのは、阿修羅、八岐大蛇、ルシファー、ミカエル、キュベレー――。
かつて主人公が死闘を繰り広げた、歴戦の猛者たちだった。
猛者たちは周囲を見渡し、深いため息をついた。
「……お前たちの都合で呼び出すの、もうやめてくれ」
「こっちはこっちで、いろいろあるんだぞ」
「毎回毎回、たまったもんじゃない」
どうやら彼らも、ヤンデレたちに振り回されているらしい。
魔導のヤンデレは、主人公に向かって満面の笑みを浮かべた。
「さあ、主人公様! 頑張ってください♡」
十人のヤンデレたちが、一斉に応援を始めた。
「主人公様、ファイトですわ♡」
「頑張ってください♡」
「勝ったらご褒美を差し上げますわ♡」
「…………え?」
主人公は理解できなかった。
なぜ自分が戦うことになっているのか。
そもそも、なぜ股間を消したはずなのに、こんなことになっているのか。
考えがまとまる前に、戦いが始まった。
自動操縦式未来型股間が、動いた。
主人公は何もしていない。
ただ、呆然と立っていた。
次の瞬間、猛烈な勢いで繰り出された攻撃が、阿修羅を吹き飛ばした。
八岐大蛇が反撃しようとする。
しかし、それよりも速く攻撃が命中した。
ルシファーが魔力を解放する。
ミカエルが聖剣を構える。
キュベレーが神性を発揮する。
だが、すべて無駄だった。
かつて世界を揺るがした猛者たちは、次々と撃破されていった。
そして、数分後。
戦場には、倒れた猛者たちだけが残されていた。
「……もう二度と呼ぶなよ」
ルシファーが地面に倒れたまま、力なく呟いた。
「本当に、もう勘弁してくれ……」
魔導のヤンデレは、満足そうに頷いた。
「素晴らしい性能ですわね♡」
十人のヤンデレたちは、拍手喝采した。
「さすが主人公様ですわ♡」
「圧倒的でしたわね♡」
「惚れ直しましたわ♡」
主人公は、微動だにしなかった。
自分は何もしていない。
一歩も動いていない。
それなのに、かつて死闘を繰り広げた強敵たちが、全滅している。
主人公は、ゆっくりと自分の股間を見下ろした。
「…………俺、何もしてないんだけど」
「まあ♡ 謙遜なさらないでください♡」
阿修羅、八岐大蛇、ルシファー、ミカエル、キュベレー。
歴戦の猛者たちが次々と撃破されていく様子を、監視特化型ヤンデレは複数のカメラで撮影していた。
「素晴らしい戦闘映像ですわ♡ 正面、側面、上空からの撮影も完璧……!」
彼女は戦闘の決定的瞬間を逃さない。
一方、潜入特化型ヤンデレは、映像を確認しながら脚本を書き進めていた。
「ここは主人公様が無言で立っている場面……。そして、強敵たちが敗北する場面……。主人公様の圧倒的な強さを象徴する名シーンですわ♡」
「いや、本人は何もしていませんけど……」
編集担当のヤンデレが、ぽつりとつぶやいた。
「そこがいいのですわ♡」
潜入特化型ヤンデレは即答した。
「本人の意思とは無関係に伝説が生まれる……。これこそ、壮大な物語の醍醐味ですわ♡」
こうして、主人公が困惑しているだけの映像は、壮絶なバトルシーンへと編集されていった。
魔導のヤンデレが微笑んだ。
「主人公様のために、科学特化のヤンデレが一日でやってくれました♡」
森羅万象のヤンデレが、ふと何かに気づいた。
「あら? ちょっと待ってくださいませ」
主人公の股間をじっと見つめる。
「これ、機械式ですわよね?」
「……そうだけど」
「あれ? 機械式だと、私たちとの夜の生活に支障が出ますわよね♡」
十人のヤンデレたちが、一斉に頷いた。
「確かにそうですわね♡」
「それは困りますわ♡」
「せっかくの主人公様ですもの♡」
主人公の顔から血の気が引いた。
「お、おい……待て。まさか……」
森羅万象のヤンデレは、にっこりと微笑んだ。
「では、元に戻しましょう♡」
パチン。
次の瞬間、自動操縦式未来型股間は跡形もなく消滅した。
主人公は、呆然と立ち尽くした。
「……俺の勝利は、いったい何だったんだ」
森羅万象のヤンデレは、満足そうに微笑んだ。
「これで一件落着ですわね♡」
主人公は、その場で土下座した。
「ごめんなさい! 本当にごめんなさい!」
額を床にこすりつけ、必死に懇願する。
「今までの行動を反省します! もう悪いことはしません! 虚無魔法も使いません! だから、お願いです! 助けてください!」
十人のヤンデレたちを前に、主人公は必死に命乞いをした。
しかし、森羅万象のヤンデレは、にっこりと微笑んだ。
「だめです♡」
「そんなああああああああああああああ!!!!!」
主人公は床にしがみついた。
だが、ヤンデレたちは主人公の両腕と両脚をつかみ、そのまま引きずっていった。
「いやだああああああああああ!! 誰か助けてくれえええええええ!!!!!」
抵抗もむなしく、主人公の姿は廊下の向こうへと消えていった。
その場には、主人公が必死にしがみついた床の跡だけが残されていた。
次の日、主人公が目を覚ますと、股間は元通りになっていた。
しかも、何やら様子がおかしい。
「……なんか、嫌な予感がする」
そこへ、魔導のヤンデレが現れた。
「薬物特化のヤンデレが一晩でやってくれました♡」
「……は?」
「しかも、以前の百倍のパワーですわ♡」
「…………は?」
主人公は、何を言われているのか理解できなかった。
股間を消したはずだった。
機械式にされたと思ったら、森羅万象のヤンデレに消されてしまった。
そして今度は、薬物特化のヤンデレによって元通りになったうえ、百倍のパワーになっているという。
「いや……何を言ってるんだ、お前……」
魔導のヤンデレは、満面の笑みを浮かべた。
「素晴らしい進化ですわね♡」
主人公は考えた。
(そうだ……ヤンデレたちを別のことで満足させればいいんだ!)
股間を消しても駄目。機械式にしても駄目。百倍のパワーにされても駄目。
ならば、今度は正攻法で勝負する。
まずは手料理・おもてなし作戦だ。
主人公は朝から厨房に立ち、十人分の完璧なディナーを用意した。前菜、スープ、メインディッシュ、デザート。手作りスイーツまで抜かりなく仕上げる。
主人公が十人分のディナーを作り、ヤンデレたちを満足させようとしていた頃。
監視特化型ヤンデレは、厨房の隅に小型カメラを設置していた。
「主人公様が一生懸命お料理を作っていらっしゃる……。なんと健気なお姿でしょう♡」
主人公が料理を盛り付ける場面。
ヤンデレたちが料理を食べて感動する場面。
そして、「今夜は私たちが主人公様を『完食』して差し上げますわね♡」と告げられ、絶叫する場面。
すべてが記録されていた。
潜入特化型ヤンデレは、その映像を見ながら脚本に書き加えた。
「愛する者のために料理を作る主人公。しかし、彼の献身は予想外の結末を迎える……。タイトルは『究極のおもてなし』ですわね♡」
「それ、恋愛映画ですか?」
「いいえ。壮大な銀河級逃亡劇の中盤に挿入される、重要な心理描写ですわ♡」
「心理描写というより、主人公様の悲鳴が九割では……」
「そこが見どころですわ♡」
夕食の時間。
ヤンデレたちは、料理を一口食べた。
「まあ♡」
「なんておいしいのでしょう♡」
「主人公様の愛の味がしますわ♡」
主人公は期待に胸を膨らませた。
(よし……喜んでいる! これなら今夜は料理だけで満足してくれるはずだ!)
森羅万象のヤンデレが、にっこりと微笑んだ。
「ご褒美に、今夜は私たちが主人公様を『完食』して差し上げますわね♡」
「なんでだあああああああああああ!!!!!」
作戦失敗。
しかし、主人公は諦めなかった。
翌日、第二の作戦を開始した。
超神対応・甘やかし作戦。
主人公は一日中、ヤンデレたちの願いを叶え続けた。
頭を撫でてほしいと言われれば撫でる。褒めてほしいと言われれば褒める。買い物に付き合い、相談に乗り、頼まれたことは嫌な顔一つせず引き受けた。
十人全員に笑顔で接し、誰一人として寂しい思いをさせない。
夕方には、主人公は疲労困憊だった。
だが、ヤンデレたちは幸せそうだった。
「主人公様が優しすぎて、幸せ死にしそうですわ♡」
「こんなに満たされた気持ちになったのは初めてですわ♡」
主人公が一日中ヤンデレたちを甘やかし、疲労困憊になった日。
監視特化型ヤンデレは、主人公が十人全員の願いを叶えていく姿を撮影していた。
「頭を撫でる主人公様……。買い物に付き合う主人公様……。相談に乗る主人公様……。どの場面も永久保存ですわ♡」
主人公は期待した。
(よし……これだけ満足してくれたんだ。今夜こそ、何も起こらずに眠れる……!)
森羅万象のヤンデレが、満面の笑みで告げた。
「それでは、幸せの絶頂のまま、夜の第5ラウンドへ参りましょう♡」
「第5ラウンド!?」
主人公は絶句した。
そして、森羅万象のヤンデレが「夜の第5ラウンドへ参りましょう♡」と告げた瞬間。
カメラは主人公の絶望した表情を捉えた。
「ここですわ!」
潜入特化型ヤンデレが、脚本に大きく書き込んだ。
『希望を抱いた主人公。しかし、運命は彼を決して解放しなかった』
「素晴らしいですわ……! この悲劇性、このスケール感……! まさに銀河級ですわ♡」
なお、主人公はその間も、作品の制作が進んでいることを知らなかった。
「待て! 第1から第4ラウンドはいつやったんだ!?」
「主人公様がお昼寝している間ですわ♡」
「いつの間に!?」
十人のヤンデレたちは、仲良く主人公を取り囲んだ。
「今日も楽しい一日でしたわね♡」
主人公は天井を見上げた。
(……違う。俺が求めているのは、こういう満足じゃない)
相手を満足させれば平穏が訪れる。
その仮説は、二日連続で粉砕された。
主人公は、宇宙船の操縦席に座り、窓の外に広がる惑星を見つめていた。
「……そろそろ、この惑星ともお別れだ」
昨夜、主人公は誰にも気づかれないように地面に亀裂を入れた。
そして今日、この星は爆発する予定だった。
「この星の命も、あと数分だ」
主人公は静かに目を閉じた。
「ヤンデレたちよ……お前たちには可哀想だが、この星と共に犠牲になってもらう」
手料理も駄目だった。 甘やかしても駄目だった。 虚無魔法で股間を消しても駄目だった。
もう、逃げ道はなかった。
だから主人公は、惑星そのものを捨てることにしたのだ。
幸い、脱出用の宇宙船は用意してある。
「これで……ようやく自由だ」
主人公はエンジンを始動させた。
主人公が惑星を爆発させて逃げようとした瞬間。
監視特化型ヤンデレは、宇宙空間に設置していた撮影装置を起動させた。
「惑星爆発の瞬間、宇宙船の発進、そして十人のヤンデレたちの登場……! 最終決戦にふさわしい映像ですわ♡」
潜入特化型ヤンデレは、完成間近の脚本を読み上げた。
「主人公は故郷を捨て、銀河の果てへ逃れようとする。しかし、愛する者たちは、どこまでも彼を追いかける……」
「壮大ですわね♡」
「ええ。これはもう、映画三部作にするしかありませんわ♡」
「三部作!?」
監視特化型ヤンデレが驚いた。
「ええ。主人公様の逃亡劇は、一作品では収まりませんもの♡」
こうして、主人公が宇宙船の中で絶望している間にも、映画化計画は着々と進んでいた。
なぜか、宇宙船が狭く感じる。
背後から、聞き覚えのある声がした。
主人公は、ゆっくりと振り返った。
そこには――。
十人のヤンデレたちが、仲良く並んで立っていた。
「主人公様ぁ♡ 私たちを置いていくなんて、ひどいですわ♡」
「な、なんでここにいるんだああああああああああ!!!!!」
森羅万象のヤンデレが、にっこりと微笑んだ。
「主人公様が宇宙船に乗ることくらい、最初からわかっていましたわ♡」
「じゃあ、星が爆発することも……?」
「もちろんですわ♡」
主人公の顔から血の気が引いた。
「ま、まさか……星の爆発も止められるのか……?」
十人のヤンデレたちは、顔を見合わせた。
そして、声を揃えて答えた。
「もちろんですわ♡」
数日後。
主人公は、いつものように街を歩いていた。
ふと、書店の前で足を止める。
店頭には、巨大なポスターが掲げられていた。
Landscape movie poster and amazon prime key art design | Upwork
upwork.com
「…………ん?」
そこには、見覚えのある人物が描かれていた。
宇宙船に乗り、絶望した表情で振り返る男。
その背後には、十人の美しい女性たち。
タイトルは――
『銀河級逃亡劇――愛から逃げた男の物語』
「…………は?」
主人公は店頭のポスターに近づいた。
「なんじゃこりゃああああああああああ!!!!!」
書店員が笑顔で説明した。
「今、世界中で大人気のスペースオペラですよ! 映画は歴代最高クラスの興行収入を記録し、原作小説もベストセラー。続編も制作決定です!」
「原作小説!?」
主人公は棚を見た。
そこには、分厚い小説がずらりと並んでいた。
さらに、スマートフォンで動画配信サービスを開くと、トップページにも同じ作品が表示されていた。
『銀河級逃亡劇』シリーズ。
映画本編、メイキング映像、監督インタビュー、未公開シーン、特別編集版。
関連コンテンツまで大量に配信されている。
「なんで俺の人生が書店に並んで、動画配信までされてるんだああああああああああ!!!!!」
そこへ、潜入特化型ヤンデレと監視特化型ヤンデレが現れた。
「主人公様♡ ご覧になりましたか?」
「私たちが撮影と脚本を担当いたしましたの♡」
「撮影!?」
「ええ♡ 主人公様の修行も、戦闘も、お料理も、宇宙への逃亡も、すべて記録してありますわ♡」
「脚本も、主人公様の実際の行動をもとに構成いたしましたの♡」
「勝手に撮影するな! 勝手に脚本を書くな! 勝手に世界中に配信するなああああああああああ!!!!!」
二人は嬉しそうに微笑んだ。
「でも、主人公様♡ 世界中の方々が感動していらっしゃいますわ♡」
「続編を望む声もたくさん届いていますわ♡」
「続編!?」
監視特化型ヤンデレは、手元の資料を開いた。
「次回作のタイトルは、すでに決まっていますの♡」
潜入特化型ヤンデレが、満面の笑みで告げた。
『銀河級逃亡劇II――今度こそ自由になりたい男』
「やめろおおおおおおおおおお!!!!!」
その瞬間、背後から森羅万象のヤンデレが現れた。
「まあ♡ 主人公様、続編の撮影が始まりますわよ♡」
「撮影って何だよ! 俺は出演を許可してないぞ!」
「ご安心くださいませ♡ 主演はもちろん、主人公様ですわ♡」
十人のヤンデレたちは、仲良く主人公を取り囲んだ。
そして、監視特化型ヤンデレがカメラを構える。
「それでは、続編の撮影を開始いたしますわ♡」
「カメラ、回りましたわ♡」
「主人公様、笑顔でお願いしますわ♡」
「誰が笑顔になれるかああああああああああ!!!!!」
その悲鳴さえも、世界中に配信される新作の予告映像に採用された。
こうして主人公の逃亡劇は、本人の意思とは無関係に、世界的大ヒットシリーズへと成長していった。
そして今日も、十人のヤンデレたちは仲良く撮影を続ける。
「次は銀河帝国を建国しましょうか♡」
「いいですわね♡」
「主人公様を皇帝にしましょう♡」
「やめろおおおおおおおおおお!!!!!」
もちろん主人公は夜の生活のため、お持ち帰りされる




