ヤンデレたちにアイドルにされた結果、全人類の記憶を消すことになった
主人公が目を覚ますと、そこは見覚えのある拷問部屋だった。
手足には鎖。周囲には、同じように拘束された男たちがいる。
国王、嫉妬深い青年、恋愛の達人、正義感の強い男、ゲイバーのお兄さん。
そして、もちろん主人公。
彼らの前には、十人のヤンデレたちが並んでいた。
「皆様♡ 本日は、皆様に素晴らしい計画を発表いたしますわ♡」
魔導のヤンデレが、満面の笑みで告げた。
「私たちは、皆様をアイドルにして差し上げますわ♡」
「……は?」
主人公は、思わず聞き返した。
「アイドルですわ♡ 歌って、踊って、世界中の人々を魅了するのです♡ もちろん、センターは主人公様ですわ♡」
「いや、意味がわからないんだが!」
「大丈夫ですわ♡ 皆様には、これから世界最高の美少女になっていただきますもの♡」
魔導のヤンデレが指を鳴らした。
すると、男たちの身体がまばゆい光に包まれた。
光が消えたとき、そこにいたのは、信じられないほど美しい少女たちだった。
長い髪。整った顔立ち。華奢な身体。
誰もが目を奪われるような、究極の美少女たち。
「な、なんだこれはああああああ!」
主人公は自分の身体を見て絶叫した。
「元に戻せ!」
「嫌ですわ♡」
魔導のヤンデレは、即答した。
「これから皆様には、アイドルとして活躍していただきますわ♡」
ほかの男たちも抗議を始めた。
ところが、元国王だけは違った。
彼女は近くにあった鏡を見つけると、言葉を失った。
鏡の中には、絶世の美女が映っていた。
彼女は自分の頬に触れ、角度を変え、髪を整えた。
「……なんということだ」
そして、満面の笑みを浮かべた。
「余は……全人類の至宝ではないか!」
「さっきまで元の身体に戻せって言ってただろ!」
主人公が叫んだ。
「あれは過去の余だ!」
元国王は堂々と言い放った。
「この美貌を世界に披露せずして、何が王というものか! 余はアイドルになるぞ!」
「お前まで何を言ってるんだ!」
こうして、本人たちの意思などお構いなしに、世紀のアイドル育成計画が始まった。
十人のヤンデレたちは、満足げに微笑んだ。
「皆様を、最高のアイドルにして差し上げますわ♡」
主人公たちにとって、長い長い地獄の始まりだった。
## 第二話 休養コマンドのない育成ゲーム♡
翌朝、午前六時。
主人公たちは、拷問部屋から連れ出された。
待ち受けていたのは、地獄のような育成スケジュールだった。
午前六時、体力トレーニング。
午前七時、薬学のヤンデレが用意した朝食。
午前八時、ボイストレーニング。
午前十時、武術のヤンデレによる身体操作訓練。
午後一時、ダンスレッスンとヒップスラストの特訓。
午後三時、性技のヤンデレによる表情、視線、ポージングの指導。
午後五時、ノルマ未達成者への追加訓練。
午後七時、一日の成果の確認。
そして、翌朝六時には再び体力トレーニングが始まる。
「休みは!?」
主人公が叫んだ。
「ありませんわ♡」
魔導のヤンデレは、笑顔で答えた。
「育成ゲームに休養コマンドがないだけですわ♡」
「現実だろうが!」
監視のヤンデレは、主人公たちの動きを逐一記録していた。
「ダンスの精度、リズム感、振り付けの再現率……。すべて数値化して管理していますわ♡」
「人間をゲームのステータスみたいに扱うな!」
薬学のヤンデレは、栄養管理された食事を差し出した。
「こちらを召し上がってくださいませ♡ 身体能力と集中力を高めるための特別な配合ですわ♡」
「何を入れたんだよ!」
「企業秘密ですわ♡」
「企業じゃないだろ!」
武術のヤンデレは、姿勢が崩れた者を容赦なく鍛え直した。
ヒップスラストのヤンデレは、腰の動きだけで衝撃波を発生させるという、アイドル活動に必要なのかまったくわからない訓練を課した。
性技のヤンデレは、観客を魅了する視線や表情、身体の見せ方を徹底的に指導した。
「その角度ですわ♡ もっと観客の心をつかむのです♡」
「俺たちは何をさせられてるんだ……」
主人公は絶望した。
さらに、魔導のヤンデレは、訓練の手を緩めようとする者に電撃を浴びせた。
「もう無理だ!」
「まだまだですわ♡」
「死ぬ!」
「慈愛のヤンデレが治してくださいますわ♡」
慈愛のヤンデレは、疲労や負傷を瞬時に回復させた。
「これでまた頑張れますわね♡」
「回復したからって、限界がなくなるわけじゃないだろ!」
その通りだった。
体力は無限ではない。
疲れもたまる。
しかし、回復させられるため、訓練を終わらせてもらえない。
しかも、ノルマを達成できなければ、拷問と具現化のヤンデレによる追加訓練が待っていた。
まさに、休養コマンドのない育成ゲームだった。
そんな中、元国王だけは別の意味で充実していた。
「見よ、この顔を! この表情を! この完璧な美貌を!」
彼女は鏡を見ながら、うっとりとしていた。
「主人公の隣に余が立てば、主人公の人気は十倍、いや百倍になるだろう!」
「お前、アイドル活動を完全に楽しんでるじゃないか!」
「当然だ! 全人類の至宝なのだからな!」
こうして、主人公たちのアイドルとしての能力は、着実に鍛え上げられていった。
本人たちの意思とは、無関係に。
## 第三話 新アイドルユニット、世界同時発表♡
ある日、世界中の巨大スクリーンが一斉に切り替わった。
東京。
ニューヨーク。
ロンドン。
パリ。
ソウル。
世界各地の人々が、突然始まった映像に足を止めた。
画面に映し出されたのは、十人のヤンデレたちだった。
「皆様、ごきげんよう♡」
魔導のヤンデレが、優雅に微笑んだ。
「本日は、世界に新たなアイドルユニットをご紹介いたしますわ♡」
画面が切り替わった。
そこに並んでいたのは、信じられないほど美しい少女たちだった。
完璧な顔立ち。
美しく整えられた髪。
華やかな衣装。
そして、中央に立つ主人公。
「こちらが、私たちのプロデュースした新アイドルユニットですわ♡」
世界中の人々が息をのんだ。
「なんて美しいんだ……」
「本当に人間なのか?」
「センターの子、すごすぎる!」
「右側のピンクの衣装の子も、とんでもない美人だぞ!」
ピンクの衣装を着た元国王は、画面の中で優雅に微笑んでいた。
彼女は自分が世界中から注目されていることを理解すると、さらに自信を深めた。
「ふふふ……。やはり余の美しさは、世界共通なのだな!」
一方、主人公は画面の中で引きつった笑みを浮かべていた。
「助けてくれ……」
しかし、その声が世界に届くことはなかった。
巨大スクリーンの不正な占拠。
許可のない世界同時発表。
そのような問題は、アイドルたちの美しさに圧倒された人々の関心から、あっという間に消えていった。
監視のヤンデレは、世界中の反応を確認していた。
「大成功ですわ♡ すでに世界中で話題になっていますわ♡」
「当然ですわ♡ 私たちがプロデュースしたのですもの♡」
魔導のヤンデレは満足げにうなずいた。
「主人公様を世界一のアイドルにして差し上げますわ♡」
元国王も胸を張った。
「そして、その隣には全人類の至宝である余が立つ! これで主人公の人気は十倍、いや百倍だ!」
「自分の人気も欲しいんだろ!」
主人公が突っ込んだ。
「当然だ! 余の美貌を独占するなど、人類に対する損失だからな!」
「誰もそんなことを頼んでない!」
こうして、新アイドルユニットは世界的な注目を集めることになった。
そして、主人公たちには、さらなる過酷な活動が待ち受けていた。
## 第四話 ピンクの靴と終わらないライブ♡
ライブ本番が近づいていた。
主人公たちが拷問部屋へ連れ戻されると、そこには十人のヤンデレたちが待ち構えていた。
魔導のヤンデレが、可愛らしい靴を取り出した。
ピンク色の靴。
大きなリボン。
きらきらと輝く装飾。
一見すると、どこにでもある可愛らしいアイドルシューズだった。
「皆様に、特別な靴を用意いたしましたわ♡」
「嫌な予感しかしない……」
主人公が後ずさった。
魔導のヤンデレは、笑顔で説明した。
「この靴には、ある童話に登場する赤い靴と同じ効果を持つ魔法がかかっていますの♡」
「……まさか」
「一度踊り始めたら、ご自分の意思では止まれませんわ♡」
「ふざけるなあああああ!」
主人公たちは抗議したが、靴は容赦なく履かされた。
魔導のヤンデレが指を鳴らす。
その瞬間、主人公たちの足が勝手に動き始めた。
一歩。
二歩。
くるりと回転。
さらにステップ。
「止まれ! 止まってくれ!」
足は止まらなかった。
音楽が流れていなくても、身体は踊り続けた。
「こんなの人権侵害だろ!」
「素晴らしいですわ♡ 音楽がなくても練習できますのね♡」
「そういう問題じゃない!」
慈愛のヤンデレは、疲労した主人公たちを回復させた。
薬学のヤンデレは、靴が壊れないように補強した。
監視のヤンデレは、踊りの精度を記録した。
そして、魔導のヤンデレは、満足げに微笑んだ。
「これで、ライブ中に踊りを止めてしまう心配もありませんわ♡」
「止めさせてくれ!」
元国王だけは、足元のピンクの靴を見て喜んでいた。
「なんと可愛らしい靴だ! しかも、余の足取りを美しく見せてくれる!」
彼女は踊りながら、鏡に映る自分の姿を確認した。
「やはり余には、アイドルの才能がある!」
「才能じゃなくて魔法だろ!」
「細かいことを気にするな!」
こうして、主人公たちは、本人の意思では止められないピンクの靴を履かされたまま、ライブ会場へと連れていかれることになった。
## 第五話 ドレスもドーピングアイテムですわ♡
ライブを目前に控えたある日。
薬学のヤンデレが、大きな衣装ケースを運んできた。
「皆様♡ 新しい衣装をご用意いたしましたわ♡」
ケースが開かれる。
中には、ピンク、白、青、ラベンダーなど、色とりどりの美しいドレスが並んでいた。
「おお……!」
元国王が目を輝かせた。
「ピンクと白のドレス! これは余にこそふさわしい!」
「勝手に決めるな!」
主人公が抗議したが、薬学のヤンデレは気にしなかった。
「こちらの衣装には、特別な技術と魔法が組み込まれていますの♡」
「技術と魔法?」
「ええ♡ ダンス、リズム感、振り付けの再現率、身体の制御能力。アイドル活動に必要な能力を最大限まで高めるのですわ♡」
「衣装にそんな機能をつけるな!」
薬学のヤンデレは、誇らしげに胸を張った。
「もちろん、体力そのものが無限になるわけではありませんわ♡ そこは慈愛のヤンデレが回復させてくださいますもの♡」
「最初から回復ありきじゃないか!」
主人公は頭を抱えた。
衣装を身につけると、確かに動きは滑らかになった。
複雑な振り付けも、正確に再現できる。
身体の動きも、音楽にぴたりと合う。
しかし、それは本人たちの努力だけで得た能力ではなかった。
魔法と技術によって、衣装そのものがパフォーマンスを補助していたのである。
元国王は、ピンクと白のドレスを身にまとい、鏡の前で何度もポーズを取った。
「素晴らしい……! 余の美貌が、さらに引き立っている!」
「自分で言うな!」
「主人公の隣に立てば、人気は十倍、いや百倍だ!」
そこへ嫉妬のヤンデレがやってきた。
「お嬢様♡ 主人公様より目立つようなことは、なさらないでくださいませ♡」
「案ずるな! 余は主人公を引き立てるために輝くのだ!」
「本当ですわね?」
「もちろんだ!」
元国王は胸を張った。
「余の美しさは、主人公の魅力を何倍にも引き上げるのだからな!」
主人公は、もはや何も言えなかった。
魔導のヤンデレが、全員を見渡した。
「さあ、準備は整いましたわ♡ 休む必要がないほど、最高のアイドルにして差し上げますわ♡」
## 第六話 アイドル活動の終了♡ そして、突然の種明かし
ついに、世界中が注目するライブ当日がやってきた。
会場には、世界各地から集まった観客が詰めかけていた。
巨大なステージ。
まばゆい照明。
鳴り響く音楽。
そして、ステージ中央に現れたのは、主人公をセンターとするアイドルユニットだった。
ピンクの靴が軽やかにステップを踏む。
特別な衣装が動きを補助する。
複雑な振り付けも、一糸乱れぬ動きで再現されていく。
疲労すれば、慈愛のヤンデレが瞬時に回復させる。
観客たちは、目の前の光景に夢中になった。
「すごい! 完璧すぎる!」
「なんて美しいんだ!」
「センターの子、最高!」
ピンクと白のドレスを着た元国王も、華麗に踊っていた。
彼女は観客に向かってウインクした。
「余の美しさに、ひれ伏すがよい!」
もちろん、その声は歓声にかき消された。
ライブは大成功だった。
最後の曲が終わると、会場全体が揺れるほどの歓声が響いた。
「アンコール! アンコール!」
観客たちは、さらなるパフォーマンスを求めていた。
そのころ、ステージ脇では、魔導のヤンデレが首をかしげていた。
「……あら?」
彼女はステージを眺め、満足そうに微笑んだ。
「もう、いいですわね♡」
「……は?」
主人公は、嫌な予感を覚えた。
「アイドル活動は十分に楽しめましたもの♡」
魔導のヤンデレは、軽く指を鳴らした。
「では、魔法を解除いたしましょう♡」
その瞬間。
ステージ上の光が一斉に弾けた。
主人公たちの身体を包んでいた魔法が解除され、全員が元の男性の姿に戻った。
もちろん、衣装はそのままだった。
ステージには、ドレスを着た男たちが立っていた。
巨大スクリーンにも、その光景がはっきりと映し出されている。
観客たちは、三秒間、完全に沈黙した。
そして――。
「男おおおおおおおおおおお!?」
「今までの子たち、男だったの!?」
「俺の推しがあああああああああ!」
会場は大混乱に陥った。
主人公はステージ脇の魔導のヤンデレを振り返った。
「お前、何をやってるんだあああああ!」
「魔法を解除しただけですわ♡」
「タイミングを考えろ!」
その横では、元国王が自分の顔を触っていた。
「余の顔が……! 余の完璧な顔があああああああああ!」
世界中の観客が悲鳴を上げ、ステージ上では男たちが呆然と立ち尽くしていた。
魔導のヤンデレは、満足げに微笑んだ。
「これにて、アイドル活動は終了ですわ♡」
## 第七話 全人類の記憶を消去せよ♡ 願いを叶える龍、また呼ばれる
世界は、大混乱に陥っていた。
アイドルの正体が全員男だったという衝撃の事実。
テレビは特番を組み、新聞は号外を出し、SNSでは世界中の人々が議論を繰り広げていた。
『あの美少女たちは何者だったのか』
『なぜ男があんなに美しく踊れたのか』
『ピンクの靴には何か秘密があったのではないか』
『元国王の顔が忘れられない』
最後の投稿には、元国王本人が「余の美しさに気づくとは、なかなか見る目がある」と返信していた。
そんな中、主人公たちはいつもの場所に集まっていた。
監視のヤンデレが端末を確認しながら報告する。
「このままでは、明日からの日常生活に支障が出ますわ♡ 職場でも学校でも、アイドル活動の話題で持ちきりになるでしょうね♡」
「まあ、そうでしょうね……」
主人公は頭を抱えた。
「どうするんだよ。今さら全員に事情を説明するのか?」
魔導のヤンデレは、にっこりと微笑んだ。
「いいえ♡ 全人類から、今回のアイドル活動に関する記憶を消してしまえばいいのですわ♡」
「またそれかよ!」
「というわけで、今回もお願いしますわね♡」
魔導のヤンデレは、主人公の股間に向かって手をかざした。
「偉大なる龍よ! いつもの場所から、いつものようにおいでくださいませ♡」
主人公の股間が黄金色に輝いた。
次の瞬間、巨大な黄金の龍が姿を現した。
龍は周囲を見渡し、深々とため息をついた。
『……またお前たちか』
「あら、龍さん♡ 今回もよろしくお願いしますわ♡」
『この前は、主人公の股間を修復する願いだったな。あれもなかなか奇妙な依頼だった』
「余計なことを思い出すな!」
主人公が叫んだ。
龍は気にする様子もなく、首をもたげた。
『それで、今回は何を望む?』
魔導のヤンデレは、笑顔で答えた。
「全人類から、昨日のアイドル活動に関する記憶を消去してくださいませ♡ それから、写真や動画、新聞記事、SNSの投稿など、アイドル活動の記録もすべて消去してくださいませ♡」
『記憶だけでなく、記録もか』
「はい♡ もう十分に楽しみましたもの。これ以上、世間に騒がれる必要はありませんわ♡」
ほかのヤンデレたちも、満足げにうなずいた。
「主人公様と一緒にアイドル活動ができましたし、わたくしたちは十分に満足していますわ♡」
「記録を残しておく必要もありませんわね♡」
「次の楽しみを考えたほうが有意義ですわ♡」
「お前たち、満足したからって世界中の記憶と記録を消すなよ!」
主人公の抗議をよそに、龍は静かに答えた。
『承知した。全人類の記憶からアイドル活動を消し去り、その活動を記録した写真、動画、記事、投稿もすべて消去しよう』
龍が目を閉じた。
『願いを叶えよう』
黄金色の光が世界中へと広がっていく。
テレビ局の映像記録から、ライブの映像が消えた。
新聞社のデータベースから、関連記事が消えた。
SNSの投稿も、ファンが撮影した写真も、保存された動画も、すべて跡形もなく消え去った。
スマートフォンに残っていたライブの写真は、いつの間にか存在しなくなっていた。
世界中の人々から、アイドル活動に関する記憶も失われた。
人々は、何事もなかったかのように日常生活へ戻っていった。
誰も騒がない。
誰も調べない。
誰も思い出さない。
そもそも、騒動を振り返るための記録すら残っていないのだから。
『願いは叶えられた』
龍は淡々と告げた。
「ありがとうございますわ♡」
魔導のヤンデレが礼を言うと、龍は主人公を見た。
『では、また何かあれば呼ぶがよい』
「いや、もう呼ばないからな!」
『そうか。では、またな』
龍はあっさりと姿を消した。
主人公は、その場にへたり込んだ。
「……もう二度と、あいつを呼び出すなよ」
「ええ、わかりましたわ♡」
十人のヤンデレたちは、そろって微笑んだ。
主人公は、その笑顔を見て不安になった。
「本当にわかってるんだろうな?」
「もちろんですわ♡ 必要になったら、またお願いしますわね♡」
「話を聞け!」
その横では、元国王が肩を落としていた。
「待て。全人類が余の美しさを忘れたということか?」
「そうですわね♡」
「写真も動画も残っていないのか?」
「すべて消去しましたわ♡」
「余の完璧な顔を記録したものが、この世から消えただと……?」
元国王は膝をついた。
「余の美しさが……歴史から消えてしまった……!」
「また新しい思い出を作ればいいじゃないですか♡」
魔導のヤンデレは、あっさりと言った。
「そうだな! 余の美しさは、記録などなくとも永遠だ!」
元国王は立ち上がった。
「次の活動でも、余は輝いてみせよう!」
「次がある前提で話すな!」
主人公の叫びが響いた。




