リリム みんなで海に行きましょう3
## 第一種目――規格外ビーチバレー
【海水浴場・砂浜】
「それじゃあ、チーム分けをするぞ!」
格闘特化がボールを掲げた。
「全員参加だ! 男女混合で本気でやるぞ!」
男性陣と女性陣が入り混じってコートに立った。
エンジェルが審判役を買って出る。
「それでは、ルールを確認します♡ 各人の特技の使用を一部許可します。ただし、危険行為は私の判断で止めますね♡」
(内心:試合中の視線移動も、自然な状況で観察できそうです♡)
監視特化はコートサイドで端末を構え、潜入特化も周囲の状況を確認できる位置についた。
試合が始まると、砂浜は一気に騒がしくなった。
格闘特化の強烈なサーブを魔導が魔法で軌道修正し、森羅万象が空間を歪ませてボールを拾う。科学が弾道を計算し、薬学がスタミナを補助。慈愛が味方を癒やし、嫉妬が声援を飛ばす。
腰振りスペシャリストが豪快なスパイクを放ち、拷問特化が予測不能な動きでボールを拾う。主人公も反応速度を生かして応戦した。
もはや普通のビーチバレーとは呼べない攻防が続く。
その一方、監視特化と潜入特化は、男性陣の視線の動きも記録していた。
試合終了後、エンジェルが端末を確認する。
「競技中の記録は、格闘特化さんが7回、拷問特化さんが4回、腰振りスペシャリストさんが9回、主人公様が5回です♡」
「……何の数字だ?」
主人公が嫌な予感を覚えた。
「一般女性客への視線の回数です♡」
「試合中にまで数えてたのかよ!」
「競技中は視線が動く場面も多いですからね。数字だけで何かを判断することはありませんわ」
魔導が涼しい顔で補足した。
「なら、何のために数えたんだ……」
「記録することと、評価することは別ですから」
科学が淡々と答える。
「まずは事実を集めている段階です」
「その事実が、夕方に俺たちを苦しめるんだろ!」
「主人公様、先のことまで心配なさるのですね♡」
魔導は楽しそうに笑った。
「まだ何も決まっていませんわ」
「その言い方が一番信用できないんだよ!」
試合は引き分けに近い形で終了した。
「いやあ、面白かったな!」
主人公が笑う。
「次は負けねえぞ!」
格闘特化も満足そうに拳を握った。
リリムは砂を払いながら、呆れたように呟いた。
「……特技を使いすぎて、もはや別の競技だったわね」
## 第二種目――規格外ビーチフラッグ
【海水浴場・砂浜】
「次はビーチフラッグだ! 全員参加でいくぞ!」
今度はフラッグを取る競争だ。
森羅万象が砂の抵抗を軽減し、魔導が風を操る。科学が最適ルートを算出し、薬学が瞬発力を補助。慈愛が転びそうな仲間を支え、嫉妬が声援を送る。
男性陣も負けじと特技を発揮した。
格闘特化の瞬発力、拷問特化の予測不能な動き、腰振りスペシャリストの推進力、そして主人公の反応速度。全員が砂煙を上げて走り出す。
その間も、監視特化と潜入特化の記録は続いていた。
競技終了後、エンジェルが集計結果を端末に保存する。
「追加分は、格闘特化さんが3回、拷問特化さんが2回、腰振りスペシャリストさんが5回、主人公様が3回です♡」
「またかよ!」
「これで競技中の記録は以上です。最終的な確認は、必要な場面を含めて後ほど行いますね♡」
「後ほどって何だ!」
主人公の叫びをよそに、格闘特化がフラッグを高く掲げた。
「よっしゃあ! 俺の勝ちだ!」
「次は勝つからな!」
主人公も笑いながら応じる。
全員が砂まみれになりながら笑い合っていた。
少なくとも、この時点では。
## 最終幕――男性陣の反省会
【海水浴場・夕方】
「いやー、今日は楽しかったな!」
格闘特化が満足そうにタオルを肩にかけた。
「ビーチフラッグ、もう一回やりたかったぜ!」
「次は競技規則を整備したうえで実施しましょう」
科学が冷静に答える。
「それはもう、普通のビーチフラッグじゃなくなるんじゃないか?」
主人公が苦笑した。
ビーチバレーに、ビーチフラッグ。海の家での昼食。ナンパしてきた男たちを追い返したときには、男性陣が自然に女性陣の前に立った。
今日は本当に、いい一日だった。
「なんだかんだ、楽しかったわね」
リリムも満足そうに笑った。
「だろ? またみんなで来たいな」
「……うん。次も普通に楽しめるといいわね」
リリムは、少しだけ魔導たちの方を見た。
そのときだった。
「男性陣の皆様♡」
エンジェルが、いつものバインダーを抱えて現れた。
「本日の行動について、少々確認したいことがございます♡」
「帰っていいか?」
主人公が即座に答える。
「まだ議題を説明しておりません♡」
「説明される前から帰りたいんだよ!」
リリムは額を押さえた。
「やっぱり来た……」




