自由の果てに
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### 大天使トーテムポールの召喚
やがて、壊滅したはずの秘密結社「地底に潜む者」の残党が現れた。
彼らは主人公に、一つの情報をもたらす。
「お前の不死を解く方法がある」
主人公は思わず顔を上げた。
「……本当か」
残党たちは頷く。
「伝説の存在、『大天使トーテムポール』だ」
その存在は、生と死の境界を司る古代の天使。
世界の理を超えた呪いであっても、その力なら断ち切れるという。
召喚には、主人公の特殊な力が必要だった。
以前よりも超絶強化された股間の力が、儀式の鍵となる。
主人公の胸に、久しぶりに希望が灯った。
終われる。
自由になれる。
ようやく。
しかし当然ながら、ヤンデレたちは猛反対した。
「却下ですわ♡」
魔導が即答する。
「危険ですわ♡」
慈愛も首を振った。
「ご主人様の安全が最優先ですもの♡」
森羅万象も賛同する。
格闘特化は腕を組む。
「こんなに鍛えた命だぞ」
「鍛えてねえ」
主人公は即座に突っ込んだ。
だが誰も聞いていなかった。
### 守る者たち
残党たちは儀式の準備を進める。
それを阻止するため、十人のヤンデレたちも動く。
監視特化が敵の拠点を発見する。
「発見ですわ♡ 座標を共有します」
潜入特化が内部へ侵入する。
「潜入成功ですわ♡ 計画の全容を把握しました」
科学特化が敵設備を解析する。
「構造把握完了ですわ♡ 弱点はここです」
そして。
「ご主人様を利用するなど許しませんわ♡」
魔導の魔法が炸裂し、残党の結界を粉砕する。
「地形を整えましたわ♡」
森羅万象が敵の退路を地形ごと崩壊させる。
格闘特化は敵陣へ突撃する。
「俺の拳で、全部叩き潰す!」
腰振り特化は衝撃波で要塞を吹き飛ばす。
「必殺・召雷弾腰振り衝撃波!!」
拷問特化は捕虜から情報を引き出す。
「この拘束具で、全部吐き出させよう」
嫉妬は最後尾から全力で応援していた。
「みんな頑張ってー♡ 主人公様を守ってあげてね! 私も応援してるから!」
いつもの光景だった。
ただ一人、主人公だけを除いて。
彼は祈っていた。
どうか失敗してくれ。
成功しないでくれ。
初めてヤンデレたちの敗北を願った。
戦闘は激化した。
残党は必死に儀式を進めようとし、ヤンデレたちは全力で妨害する。
主人公は両者の間で、時間を稼ぐために奔走した。
「もう少し……もう少しだけ時間を……!」
息を切らし、傷を負いながらも、彼は残党の注意を引きつけ、ヤンデレたちの攻撃をかろうじてかわしつつ、儀式の準備が整うのを待った。
切実さと必死さが、彼の全身から溢れ出ていた。
「自由に……なりたいだけなんだ……!」
### 最後の決断
しかし。
ヤンデレたちが知らないところで、主人公は独自に動いていた。
誰にも告げず。
誰にも見つからず。
大天使トーテムポールが眠るという古代神殿へ向かう。
長い旅だった。
その途中でも、何度も心が揺れた。
逃げたいだけだった。
自由が欲しかっただけだった。
なのに。
いつの間にか、たくさんの仲間がいた。
たくさんの思い出ができた。
だが。
それでも。
主人公は決断する。
「終わらせる」
神殿の最奥。
そこには巨大な光の翼を持つ存在が眠っていた。
大天使トーテムポール。
伝説そのものだった。
主人公は膝をつく。
声が震える。
「頼む。この呪いを解いてくれ」
天使は静かに目を開いた。
そして、主人公の願いを受け入れた。
眩い光が降り注ぐ。
身体を縛っていた永遠の呪いが崩れていく。
老いも。
疲労も。
死なない身体も。
すべてが消えていった。
主人公は静かに笑った。
久しぶりだった。
心から笑えたのは。
「ありがとう」
そう呟いた直後。
長く不自然な形で繋ぎ止められていた命が限界を迎えた。
大量の出血と、力の消耗によって、その命は尽きた。
主人公は静かに倒れる。
眠るように。
穏やかに。
終わった。
そう思った。
### めでたし、めでたし
そして。
主人公は目を覚ました。
天井が見える。
見覚えのある天井だった。
嫌な予感しかしない。
ゆっくり首を動かす。
十人いた。
全員泣いていた。
全員笑っていた。
「お目覚めですわ♡」
主人公は固まる。
「……なんで生きてる」
部屋が静まり返る。
そして。
科学特化が眼鏡を押し上げた。
「予備の蘇生措置を取っておりましたので♡ ご主人様の股間に宿る力が、以前よりも超絶強化されていたのです。一本を失っても、残りが神を呼び出しましたわ」
「予備って何だ」
「保険ですわ♡」
「何の保険だ」
「ご主人様が無茶をした時のための保険ですわ♡」
主人公は頭を抱えた。
魔導も頷く。
「契約も整えてありましたわ♡ ご主人様が戻ってきてくださるよう、魔法で繋ぎ止めておきましたの」
(ご主人様が自ら命を絶とうとするなんて……許せませんわ。永遠に私の結界の中で、夜の生活を繰り返しましょう♡)
慈愛も微笑む。
「無事で良かったですわ♡ 傷はすべて癒やしました。ご主人様の体は、私が永遠に守りますわ」
(死なせてしまうなんて……絶対にありません。私が回復させ、満たし、永遠にそばにいますもの♡)
森羅万象も涙ぐんでいる。
「本当に心配したのですわ♡ 重力でご主人様を世界に繋ぎ止めましたわ」
(逃げても、死んでも、私が引き寄せます。自然のように、永遠に包み込みましょう♡)
監視がカメラを回しながら呟く。
「蘇生の瞬間、すべて録画しましたわ♡ 永久保存です」
(ご主人様が戻ってくる姿……何度でも見返します。この映像は私だけのもの♡)
潜入が影から現れて、静かに微笑む。
「先回りして、蘇生の環境を整えておきましたわ♡」
(どこへ行っても、私が影にいます。ご主人様を失うことなど、絶対に許しません♡)
嫉妬に至っては号泣だった。
「よかったぁぁぁ……♡ 主人公様が戻ってきてくれて……本当によかったわ! みんなで一緒にいられる!」
(永遠に応援し続けられる……最高だわ♡ 主人公様のすべてを、私が見守るからね)
薬学が小瓶を抱えて、熱を込めて言う。
「強化された力に合わせて、新しい調合を用意しましたわ♡ 次の夜の生活が楽しみです」
(ご主人様の体を、私の薬で永遠に満たします……♡)
一方、男性陣は拳を握りしめ、喜びに満ちた表情を浮かべていた。
格闘特化が力強く頷く。
「生き返ったか……! これでまた、ご主人様と一緒に鍛えられる! 俺の拳も、もっと高め合っていけるぜ!」
腰振りのスペシャリストが笑う。
「衝撃波の研究も再開だ。ご主人様の強化された力と、俺の技術で、さらに上を目指そう!」
拷問担当が拘束具を弄びながら満足げに言う。
「新しい器具のテストがまたできる。ご主人様と共に、限界を超えていこう」
主人公は天井を見上げた。
自由のために旅をした。
戦った。
逃げた。
呪いを解いた。
ついに終われると思った。
それなのに。
結局。
戻ってきてしまった。
十人のもとへ。
そして十人は。
それが世界で一番幸せなことだと信じていた。
「これでまた一緒ですわ♡」
主人公はしばらく黙り込む。
そして、深く深くため息を吐いた。
「……次はどこへ逃げようかな」
逃げることはできる。
だが。
きっとまた見つかる。
世界の果てまで逃げても。
きっと追いかけてくる。
それが彼女たちだからだ。
こうして、
世界最強の英雄と、
彼を愛してやまない十人のヤンデレたちの物語は幕を閉じる。
ヤンデレたちにとっては、
誰も傷つかず、
全員が笑顔になった、
最高のハッピーエンドだった。
そして主人公だけが、
「俺の人生、マジで終わらねえ……」
と小さく呟いていたのである。




