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番外編13「脱獄ごっこ」2日目

## 2日目「魔導の悪知恵VS潜入特化」


二日目。


魔導は、脱獄計画を前に扇子を広げた。


「昨日は少々、看守側に振り回されてしまいましたわね。今日は、私の知略で主人公様を翻弄して差し上げますわ♡」


彼女が用意したのは、偽の通路、幻影の鍵、囮の脱獄ルート、さらには看守の判断を誤らせる巧妙な仕掛けだった。


「これなら、主人公様たちも簡単には見破れませんわ。チャオ♡」


ところが、その計画を横から眺めている者がいた。


潜入特化である。


「…………」


彼女は魔導の仕掛けを一つずつ確認すると、静かに目を細めた。


(魔導さん、ずいぶんと自信満々ですね……♡)


潜入特化は、魔導の知略に対抗意識を燃やしていた。


(そこまで完璧だとおっしゃるなら、私が看守側に脱獄防止ルートを教えて、どこまで通用するか試してみましょう♡)


もちろん、魔導には一切知らせない。


潜入特化は独自に看守側へ向かった。


「主人公様。少々、お耳に入れたい情報がございます」


「どうしたんだ?」


「魔導さんの脱獄計画についてです。まず、偽の通路は囮です。本命の脱獄ルートは、施設の北側にある隠し通路。そして、幻影の鍵は囮の通路に看守を誘導するための仕掛けです」


「……なに?」


主人公の表情が変わった。


「さらに、隠し通路の出口には二重の罠があります。入口を封鎖するだけでは不十分です。出口側にも看守を配置してください」


潜入特化は、魔導の仕掛けを完全に把握したうえで、脱獄防止の手順を説明していく。


「格闘特化さんは北側の出口を押さえてください。拷問特化さんは隠し通路の入口を封鎖。腰振りスペシャリストさんは、囮の通路に看守が引き寄せられないよう、中央の通路を守ってください」


「なるほど……! 最初から逃げ道を全部塞ぐのか!」


主人公は感心した。


「よし、その配置でいこう!」


看守側は潜入特化の情報をもとに、脱獄防止の配置を整えた。


そして、脱獄ごっこが始まった。


「さあ、主人公様。私の知略をご覧くださいませ♡」


魔導は自信満々に作戦を開始した。


まず、偽の通路で看守を誘導する。幻影の鍵で判断を誤らせ、その隙に本命の隠し通路から脱出する。


計画は完璧なはずだった。


しかし。


「北側の出口、確保!」


格闘特化が叫んだ。


「隠し通路の入口も封鎖した!」


拷問特化が続く。


「中央の通路も異常なしだ!」


腰振りスペシャリストも報告した。


魔導の仕掛けは、一つも機能しなかった。


偽の通路に看守は釣られず、幻影の鍵も無視され、本命の隠し通路は入口と出口の両方を押さえられている。


「…………え?」


魔導は扇子を広げたまま固まった。


「な、なぜですの!? どうして本命のルートまで封鎖されているんですの!?」


潜入特化が、少し離れた場所から優雅に微笑んだ。


「魔導さん。素晴らしい作戦でしたね♡」


「あなた……まさか!」


「ええ。私が看守側に脱獄防止ルートを教えて差し上げました」


「なぜですの!?」


「魔導さんがそこまで知略に自信をお持ちなら、私が対抗したらどうなるのか、試してみたくなりまして♡」


「私の作戦を、独断で看守側に漏らしたということですの!?」


「漏らしたのではありません。看守側に、正しい対策を教えただけです♡」


「言い方を変えても同じでしょう!!」


魔導は地団駄を踏んだ。


「私の完璧な脱獄計画が! 仕掛けも、囮も、隠し通路も! 全部、事前に封じられているなんて……!」


潜入特化は涼しい顔で答えた。


「魔導さんの知略は見事でした。でも、相手が対策を知っていれば、完璧な計画でも成功しませんわ♡」


「あなたにだけは言われたくありませんわ!!」


エンジェルが、バインダーを抱えて割って入った。


「ちょっと待ってください! 潜入特化さんも脱獄役でしょう!? なぜ看守側に作戦を教えているんですか!!」


潜入特化は首を傾げた。


「魔導さんに対抗したかったからです♡」


「理由になっていません!!」


「でも、看守側は勝ちましたよ?」


「そういう問題ではありません!!」


主人公は潜入特化に感心した様子で頭を下げた。


「助かった。君のおかげで、魔導の作戦を完全に封じられた」


「まあ……♡ 主人公様のお役に立てて光栄です」


潜入特化は嬉しそうに微笑んだ。


その一方で、魔導は扇子を握りしめて震えていた。


「くぅぅ……! 私が時間をかけて練り上げた完璧な知略が、潜入特化の独断で台無しに……!」


「魔導さん。次はもっと難しい作戦を考えてくださいね♡」


「次は絶対にあなたにだけは情報を渡しませんわ!!」


二日目。


魔導の悪知恵は、対抗意識を燃やした潜入特化の独断によって、完全封殺された。


エンジェルはこの脱獄ごっこがもはやルールを失いかけていることを理解し始めていた。


夜。

森羅万象、魔導に加え、科学と監視が訪れた。


「本日のデータ、非常に有意義でしたわ」

「ご主人様の表情、永久保存しました♡」

「整えたいほどでしたわ♡」

「チャオ♡」


エンジェルが叫ぶ。


「規則違反です! 四人も来ないでください!」


「記録に残しますか?」


「残します! でも違反です!!」


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