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悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?  作者:   *  ゆるゆ


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3/8

あまやかし?




 心配した僕の頭も、おじいちゃん医士は、ちゃんと診てくれた。


 どこまで見えるか視界の広さや黒いもやや斑点とかめまいの異常がないか、耳の聞こえ、耳鳴りがしないかとか、吐き気はないか、気もちわるくないか、色々診てくれる。

 お腹ぽんぽんも診察の一環だったみたいだよ。だいじょぶかとか思ってごめんなさいだよ。


「ちょこっと腫れておられますがのう、頭ですからのう、記憶の錯乱が起きることもありますのう。戻ることもありますし、戻らないこともありまする」


 重々しく告げる医士に、飛んできてくれた両親も、兄ふたりも、カイも悲壮な顔になった。


「だ、だいじょうぶなのですか! 1週間も昏睡したゆりちゃんが、やっと目覚めてくれたと思ったら記憶の錯乱だなんて……!」


 泣きそうな、おかあさんに、僕も、もらい泣きしそうだよ。


 ユィリのちっちゃいィの発音が、めんどくちゃいからなのか、家族からは、ゆりちゃんと呼ばれています。


 おひげのダンディな、おかあちゃんも『ゆりちゃん』

 筋肉むきむきの、サザおにいちゃんも『ゆりちゃん』


 ちょっと楽しい。


 男性同士でも魔法で子どもができるんだけど魔力の高い人がおかあさんになるから、おひげのかっこいー、たくましいロドア家の当主が、おかあさんなんだよ!


 自慢のおかあさん!



 しかし僕、1週間も寝てたの!? 点滴もなしだと、はかなくなっちゃわない?? よく生きてるな、僕!


 そこは魔法の世界で何とかなったらしいよ。

 世界に魔素が満ちているから、息をしてるだけで、ちょこっとエネルギー補給みたいになるらしい。

 さすがファンタジー。


「大丈夫といえば、ふうむ、身体は大丈夫でしょうと言えなくもないですが、頭ですからのう、ささいな打撲に見えても頭の中が出血していて、息絶えてしまうこともありますのう。それは外から解らぬことで、どうしようもありませんのう」


 こわい……!


 思った僕より、家族の反応のほうが早かった。


「ゆりちゃんがぁああ──!」


「王太子殿下が、ゆりちゃんを殺したぁあ──!」


 家族皆(カイ含む)が大号泣だよ!


 おじいちゃん先生、最悪の事態のお話は、確率とともにお願いします!



「あ、あんまり、今すぐに、はかなくなりそうな感じはないけど、記憶はちょっとおかしいかも」


 たぶん、即行、終わらないよね……!? お願いしますよ、異世界転生……!


 でもたぶん僕の記憶は、錯乱してる。


 前世の記憶が膨大すぎて、今世の僕ユィリが押し流されたっぽい。ちょっとずつ行動や言動を思いだしてくる感じだけれど、性格は……まあ、悪役令息っぽいね。いじわるで、高飛車で、自分が世界でいちばんえらいと思ってる、あれね。自分が世界でいちばん可愛いとは思ってなかったみたい。鏡をよく見ていた。えらい。



「ごちんと頭を打って、別人になられる方もいらっしゃいますからの。よいですか、ご家族にできることは、受けいれることです。どんなに変化があろうと、ユィリ殿はユィリ殿ですからの。受けとめてさしあげるのが、愛というものです」


 おじいちゃん、いいこと言う!


「あ、ありがとうございます!」


 涙目でお礼を言いました。


「ふむふむ。お代金は奮発でお願いしますよ」


 現実的でした。なるほど。







「頭が痛くなったり、体調がわるくなったりしたら、すぐに言うんだよ」


 おかあさんがやさしく心配してくれるのに、こっくり僕はうなずいた。


「僕、ちょっと記憶がおかしくて、色々忘れてるかもしれない。急に変なこと言いだしたりして、皆に迷惑かけちゃうかもだけど、せっかくだから、心を入れかえてがんばるよ!」


 悪役令息じゃ、なくなるために!

 だから皆も協力してね!


 目力をこめてみました。


「ああ、ゆりちゃん!」


「王太子に酷いことを言われて、衝撃だったんだよね、かわいそうに!」


 かっこいー兄ふたり、筋肉もりもりで、短く刈りあげた髪がかっこいー第2子の兄サザも、頭をなでて心配してくれる、すらりと背の高い第1子の兄ロドも、やさしい。


 僕は3番目、末っ子だよ。


「王太子殿下には正式に抗議文をだしたけれど、さらに追加しておくよ。向こうから是非にと望んだから結んだ伴侶(予定)契約を、浮気して一方的に破棄したうえ、ゆりちゃんに大怪我を負わせて昏睡させ、記憶の混濁まで引き起こすなんて、あんまりだ!」


 おかあさんが、激おこです。


「……え、いや、たんこぶにもなってない……」


「1週間も昏睡させたうえ、ゆりちゃんの大事な記憶を、ぐちゃぐちゃにしたんだぞ! ゆりちゃんに与えた多大なる衝撃と暴行に抗議する!」


 激おこが、さらに烈しくなっちゃった!


「あ、あの、暴行は、されてないよ。僕が、びっくりして、勝手に倒れただけで……」


「なんてこと! 倒れるほど辛かったんだね、ゆりちゃん、かわいそうに……!」


 おとうさんが抱っこしてくれました。やさしい。



 なるほど、こうして末っ子な僕は、あまやかしに甘やかされて、立派な悪役令息になってしまったのだね!


 うん、僕もよくないけど、家族もちょっとあまやかしすぎじゃないかな。


 ちょっとね!


 







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