7.閑話
リデルとりゅうとの出会い
閑話です。
りゅうとの出会いはリデルが4才の時だ。
道端に傷を負った子竜が震えて うずくまっていた。
竜は群れをなして過ごしている、大抵は大人の竜に守られ、子竜が人の目に触れることなど滅多にない。
「見捨てられたか、はぐれたか、、」
リデルは、おそるおそる子竜に近づいた。
子竜の首のところには、牛の皮で出来た様な輪っかが着いていた。
「飼われていたのか??」
「子竜など人が飼えるのか?」
よく目を凝らして首輪を見てみると、傷をつけたような跡が見える。
『ささき。。ん家。。の。コロ』
!!!
リデルは驚いて口を押えた。
『おまえ、コロなのか!!』
佐々木家は、リデルに転生する前の鈴木幸一が大学時代住んでいるアパートの大家で平屋の立派な門構えのある家だ。
コロはそこん家のじーさんに溺愛されている柴犬だった。コロコロしていたからコロ。という安直に命名された犬で、美味しい物を腹いっぱい食べさせてもらっているのか、大人になったコロも真ん丸の柴犬だった。
佐々木家のじーさんとは、留守の時コロの世話を頼まれる仲で、コロも幸一に懐いていた。自分の可愛いポイントが分かっているのか、上目遣いでおねだりをしてくるコロに、幸一は何度も骨付きもも肉を買わされた。
「おまえ、コロなんだな! 俺だよ、幸一だよ。散歩一緒に行っただろ。佐々木のじーさんに内緒で骨付きもも肉を食わせてやったの覚えているか?」
子竜は、驚いたような顔にも泣いているようにも見える顔で弱々しくこちらを見てる。
「助けてやるからな。大丈夫だ。」
子竜は4才のリデルの一回り小さいぐらいの大きさだった。
リデルは子竜に自身が羽織っていた上着を被せ、必死に抱きかかえ両親の元に急いだ。
「母さん、お願いだ。こいつを助けてやってくれ!」
次の仕事のために移動中、一息ついていた母が、俺のいつもと違う切羽つまった様子に、急いで立ち上がった。
「怪我をしているのね?」
頷く俺を見て、母さんは、馬車のなかからシートと毛布をとりだし、木陰で比較的平らなところに広げた。
「リデル、ここにその子を寝かせてちょうだい。」
リデルは上着でくるんだままの状態の子竜を毛布の上に傷に響かないようにゆっくり置いた。
母は、 怪我をしているだろう生き物の横に膝をつく形でかがみ、くるんでいる上着を外す。
一瞬驚いた表情を見せたが、次の瞬間、子竜の状態はかなり危険と判断したのか、傷を確認しながら治癒の魔力を注ぎ始めた。
「リデル、水を用意して、あとパパを呼んで、湯を用意して欲しいの。」
リデルは急いで馬車から水が入った樽を下ろし、今日の食料の調達に森へ入っている父の元に走った。
『コロだ、俺以外にも、こっちの世界に来てるヤツがいるんだ。。どういうことだ?佐々木のじーさんも来ているのか?コロを何としても助けたい。。』
『何より、コロが苦しがる姿も見たくない!!』
リデルは、漠然と違う世界の記憶を持っている。
そんな自分の状態に不安を覚え無いと言えば嘘になる。
リデルにとってコロの出現は自身のこのおかしな状況の謎を解く糸口かもしれない。
『父さん、大変なんだ。母さんを手伝って!!!』
リデルは父を急かし、急いで母の元に戻ってきた。
薪の用意をしてお湯を沸かす。
後は何も出来ないリデルは、コロの傍に座り込んだ。
「おい、大丈夫か?俺の声が聞こえるか?」
リデルはそっと苦しそうにしている子竜の頭をなでてやる。
「リデル、大丈夫よ。峠は越えたわ。衰弱しすぎて起きれないけど、一晩も眠れば目を開けることぐらいは出来る様になると思うわ。」
「母さん、ありがとう。。」
。。。。。。。。。。。
「。。きゅゅ、、」
「。。気づいたか?」
テントの中で子竜を看病しながら、いつの間にか寝てしまっていたリデルは、子竜の絞り出すような鳴き声で起きた。
「喉乾いてないか?水飲むか?」
「きゅう、、」
リデルは子竜に水を飲ませてあげながら、小声で問いかけた。
「おまえ、コロなんだろ?」
子竜は、すがるようにリデルを見つめ、こくっと首を縦に振った。
「俺は、幸一だ。散歩してやってただろ。覚えてるか?」
子竜は、2回首を縦に振った。
「佐々木のじーさんもこっちに来てるのか?」
子竜が険しい表情になる。
「佐々木のじーさんにこっちで会えたのか?」
子竜が首を横に振った。
「そっか、その首輪、見つけてくれるの期待してだろ。。」
「大丈夫だ、何があったかわからないけど、見つかるまで、俺と一緒にいればいいから。」
今思うと、両親はよく、なんの躊躇いもなく、俺が頼んだ通り子竜を助けてくれたと思う。
その時の俺たちには子竜に攻撃されたら、間違いなく全滅するぐらいの戦力しかなかったと思う。両親の寛容さに感謝だ。
そして、リデルは、子竜のこちらでの呼び名を佐々木のじーさんにならって、
「竜だからりゅう」と名付けた。




