3.
そして、現在
「この配置は、鉄板だからな。優勢は当然だな。」
俺は戦場を俯瞰している。
後方に控えている俺のところにも攻撃してくる魔物もいるにはいるが、数十匹程度だ。
防御シードに突っ込んで自爆する程の弱い奴ばかりで、相手をする必要すらない。
戦闘を開始して10分ほどたった。
魔物200といっても、ゴブリンのような雑魚ばかりだ。
ラピスを中心にりゅうとティアラがサイドを攻めれば、一掃するのにさほどの時間はかからない。
瞬殺だ。
「その程度の攻撃で、ラピスに隙など生まれるハズがないだろ。俺の育て方に抜かりは無いよ。はははっ。」
雑魚は、おのれの力も分からないのか、バカの一つ覚えか、自らラピスに切られに向かうようなものだ。元々、ゴブリンは弱い、集団で襲うことで、数に任せて隙を見て攻撃する方法しか考えが及ばないのかもしれない。
一方、少し知能の高そうな魔物は、1、2発食らったあと、圧倒的な力の差を早々に見極め、躊躇なく退散しているようだ。
忠誠心も弱いか、寄せ集めだな。あちらも、雇われなのだろう。命あっての物種だからな、逃げるが懸命だ。
ハーツ商会だって、命を捨ててまで仕事を遂行するつもりはない。家族が生きるために仕事してるのに、死んだら本末転倒だ。
高い賠償金を払おうが、死にそうになったら全力で逃げろ!を社訓としている。
「この寄せ集め感丸出しの魔物にわか軍隊って、敵国は、魔の国 デッドか。ドースも嫌な国に目をつけられたな。あまり深入りはしたくないな。」
魔の国デッドは何かと他国にちょっかいを出す厄介な国だ。相手の国から力を奪たり、土地事態を荒らしたり、和平協定を軽んじた振る舞いが多い。できれば関わりたくない国だ。
ドス、ドス、ドス、ドス、
ドス、ドス、ドス、ドス、
ドス、ドス、、、、
戦闘はすでにルーチンワーク化している。
魔物はもう、一定のリズムで効率的に倒されていく。こうなれば、もう終わりは近い。
「おおむね、片付いたかな。」
「残りは腕に自信がありげな上級魔族7匹か。」
「ラピス、聞こえるか? 目の前の金棒もってるデカい奴2匹いけるか?」
ラピスが雑魚を蹴散らしながら頷くのが見える。
「りゅうは空中から、その細いの3匹仕留めれる? 距離はとってね。無理はしないくていいよ。」
「きゅううう!」
OKとサインを書くかのように、りゅうが一回旋する。
「ティアラはラピス、りゅうの守りに回って。特にりゅうのこと頼む!」
俺も戦闘姿勢に入ろうと臨戦態勢に入る。
「こっちに向かってる2匹は俺がやるね。」
「母さん、親父、シールドは残すね。中で大人しくしててね。」
と、これで指示は完璧。
あっ、しまった!
「えっ、もう終わり? ママ、何もしてないわ、見ているだけなんて嫌!!」
母が手を組み祝詞を唱えてる。
「母さん、ちょっと待って、必要ないから!」
ザバーーーーー!!!
直後、3人と1匹の頭上に加護の光が降り注ぐ。
注がれる、
浴びせられる、
滝のようにザバーと。
「母さん、ストップ!加護多すぎ。みんな余裕ジャン。かすり傷ひとつついてないジャン。いつものことジャン。加護も上限あるからね。多けりゃいいってもんでもないから、適量超えると酔うから。うぇ、気持ちわる!」
妹たちをみると、二人とも青い顔をしている。りゅうに至っては、飛んでる軌道がやばい。
つやのある金髪すこし釣りぎみの金色の目の母エリザベスは、どこぞのお嬢様なところが大人になっても抜けず、子供たちを溺愛し、愛情を垂れ流す天然記念物。
魔力は強いが使える魔法が治癒や加護のような回復魔法でで攻撃力はほぼ0だ。
厄介なのが感情の起伏で魔力の量が調節できない。
戦場での愛情の暴走が時として、子供たちを危険にさらしている。
俺がこんなに焦ってるのに、父はうっとりした目つきで愛おしそうに母を眺めている。
「エリーは優しいね。」
「子供たちが働いているのに、ママが働かないなんて出来ないわ!」
「母さん、気持ちはうれしいけど、戦闘中だから。親父、母さん頼む!」
おっと、もう魔物2匹が戦闘範囲に入ってきている。
俺は、もう一度、臨戦態勢に入る。
戦闘姿勢を取り、腰にさした剣を抜く。
剣をもつ右手に魔力を注ぐ、腕と剣の周りに蜃気楼のようなモワモワと揺らめく魔力が纏われる。
次の瞬間右足で強く地面をけりつけ、向かってくる魔物の真上に飛んだ。
上から下へ一挙に剣を振り下ろし、半分の肉片にする。
そのまま剣を水平に振りもう一匹の腹を切り裂いた。
あっという間に、向かってくる敵はなくなった。
そうしてる間に、ラピス、りゅうも予定調和で敵を倒し終えてたようだ。
「ふぅ~。終わったなぁ~。」
リデルは少し乱れた呼吸を整え、防御シールドを解いた。




