15.
「シュディング公爵、パッケージの素案ですが、4つほど用意いたしました。」
リデルが4枚のイメージボードを見せながら、それぞれの特徴を話してゆく。
「どれも女性が好みそうに見えるけど、違いが分からないな。」
「そうですね。男性にはこの違いは分かりづらいかと思われます。」
シュディング公爵がいぶかしげな表情になる。
「女性には違うものに見えるのか? シャルロット、どうなんだ?」
「そうですね。かなり違いますね。わたくしの好みですとC案でしょうか。」
「じゃあ、C案でいいだろう。4つとも作れば費用がかかる。C案だけでいいだろう。」
シュディング公爵がそれでいいと決定しようとする。
「お待ちください、シュディング公爵。 シャルロットさんの好みで他の3案を切り捨ててしまうのはもったいないと思われます。」
「では、どう決めればいいんだ。 私には同じに見えるがな。」
「そうですね。シャルロットさんだけではなく、他の女性にも好みをお聞きしましょう。その中で票の多いものが、比較的多くの女性に受け入れられる案だと思われます。」
「あ~、なるほどね。 それなら、問題なさそうだ。」
シュディング公爵は納得したようだ。
「なるべくたくさんの女性に聞くのが良いでしょう。 この屋敷に勤めている女性にご協力いただくことは可能でしょうか?」
。。頼む。首を縦に振ってくれ!
「そうだな。仕事の支障にならない程度なら、協力させても構わんだろう。」
よし! これで、屋敷内の女性たちの顔を確認できるぞ!
「では、仕事に支障のない時間に、この執務室に来ていただき、投票していただくように手配いただけますか?」
「シャルロット、リデルさんの要望をお聞きして、手配するように。」
「はい。 旦那様、承知いたしました。」
「はい! 次の方、こちらへどうぞ!!」
ティアラが下働きの女性を案内する。
「ここに4枚の絵があります。好みのを1枚だけ選んで、この用紙に番号を書いてください。」
リデルは、不自然にならないように、凝視しない程度に女性の顔を見ながら説明をする。
「まあっ。 どれも可愛らしいわ! 迷ってしまうわ。」
「そんなに悩まなくて結構ですよ。 最初に見た時に、これが一番!と思ったものを選んでいただければ結構ですよ。」
身長も158cm程度だし、顔つきも姿絵と違う。 ハズレだな。
「では、これにしようかしら。このパッケージになったら思わず買っちゃうわね。」
下働きの女性は、用紙に番号を書きながらパッケージのイメージボードを見て、うっとりしている。
『ティアラ、良かったな。 さすが、俺の妹。 ただ、かわいいだけじゃく、絵を描く才能まであるなんて!! 天使だな!!。。。』
「リデルさま、次は侍女をつれてまいりました。」
リデルがトランス状態に入りかけたところ、シャルロットがノックをして扉を開けた。
おっ! 侍女か。 あー、カトリーヌであってくれ!
「失礼いたします。」
カトリーヌとは違うな。
『あ~。身長は近いけどな。ムキムキかよ。またハズレだ。』
シャルロットに連れられて入ってきた侍女は、身長は165ぐらいだが、髪の色は黒色、かなり筋肉質でがっちりしている。
「ティアラ。案内を頼む。」
「はい! こちらへどうぞ。」
「リデルさま、次を連れてまいりました。」
「失礼いたします。」
『また、ハズレか!!』
「ティアラ。案内を頼む。」
「はい! こちらへどうぞ。」
「リデルさま、次を連れてまいりました。」
「失礼いたします。」
『また、また、ハズレか!!!』
「ティアラ。案内を頼む。」
「はい! こちらへどうぞ。」
。。。
。。。
。。。
朝から始めた、女性による投票も終盤に差し掛かっている。
もう、夕日が沈みかかり外は薄暗くなって来ている。
「リデルさま、最後の一人を連れてまいりました。」
「失礼いたします。」
リデルは期待を込めてドアを見る。
『あーーーーーー! ハズレだーーーーー!』
最後の一人は身長が153cmほどの可愛らしい女性だ、年はティアラと同じぐらいだろうか。
「ティアラ。 案内をたのむ。。。」
「はい! こちらへどうぞ。」
ティアラは、最後の投票まで案内を終え、やり切った満足感に浸っている。
一方、リデルは、女性達への作り笑いにつかれたせいもあるが、疲労の表情で考え込む。
『該当者無しか。 カトリーヌは屋敷にいない。 もしくは、監禁状態か? 悪い方の予想が当たっているか? この案件、危機レベル揚げた方がいいな。』
「シャルロットさん、ご協力ありがとうございました。もう、日暮れですし、集計は明日行いましょう。今日は少し疲れたので、宿に戻って、温泉にでも浸かってきますね。」
「いえ、一日ご苦労さまでした。 ご帰宅の旨、旦那様にはお伝えしておきます。 温泉でゆっくりなさってください。 」
シャルロットがにこっと微笑む。
『シャルロットさん、本当は、温泉などではなく。あなたの笑顔で癒されたい。』
「兄さま。 今日は宿に帰りますのね! 温泉いいですわね! 早く帰りましょう。」
リデルとティアラは、ささっと執務室を片付け、急ぎぎみで宿に帰った。




