14.
「ハーツさん、では早速だけど、この商品の市場を広げるためにはどうすればいい?」
「その商品は何ですか?」
「若返りのサプリメントだよ。」
「それはまた、女性が飛びつきそうな商品ですね。」
「そうだろ。なのに、なぜか売れ行きが悪いんだ。」
「そうですね。この包み紙だと、女性受けしないでしょうね。」
「カトリーヌを探さなくては」と気は焦るが、まずは、シュディング公爵の信頼を得る事からはじめる事にした。
ここで追い出されては、何もつかめないまま撤退しなければならなくなる。
シュディング公爵家には、すでに数日出入りしているが、カトリーヌと思われる人物とは遭遇していない。
『屋敷に入ったらすぐに見つかってラッキー。という様にはならなかったか。。』
「ティアラ。こっちに来て、この商品をモチーフに可愛い絵を描いてくれないか?」
やる事がなくて、暇そうにしているティアラを呼ぶ。
「はい! いいですわよ! 任せてください!!」
「シュティング公爵、こちらで、女性受けする包み紙を思考してみます。少しお時間をください。」
「そんなことができるのか? では、頼む。 私は他の用事があるので失礼するよ。用があればシャルロットに伝えてくれ。」
「かしこまりました。今日中に素案は準備いたしましょう。」
リデルは軽くうなづく。
実は、ハーツ商会のロゴや商品のパッケージのデザインはティアラのお絵かきを元にしている。
可愛いもの好きが高じて、かわいいイラストを描くようになっていた。
普段は勘違いも多いティアラだが、この手のデザインは意外に得意だ。
適切に商品をとらえて、時として大人可愛いいデザインに仕上げたりもする。
シュディング公爵が部屋から出ていくと、ティアラがお絵かきセットを取り出して、机に並べる。
そして、少し黄色がかった白色の厚めの用紙に鉛筆でデッサンをはじめた。
『久しぶりに見る、ティアラの表情だな! おー。賢そうに見えるぞ! 少し悩んでるのか?眉間にしわがよったぞ!! かわいいぞ! 』
いつもとは違う、集中したクールな表情のティアラに、レアだ!!と少し、興奮気味のリデルが見守る。
ふふん、ふふん、ふふん、
ふふん、ふふん、ふふん、
ふふん、ふふん、、、、
ティアラが鼻歌を歌いながらペンを走りさせ始めた。
ふふん、ふふん、ふふん、
ふふん、ふふん、ふふん、
ふふん、ふふん、、、、
リデルはさらにトランス状態に入る。
「、、、、リデルさま? 、リデルさま、どうなされました?」
『。。。』
「ティアラさま、リデルさまのご様子が。。」
「まあ! 兄さま、また、熟考されてますのね。 トルネード!!!」
「うぐっ! うぐっ! うぐっ! あっ! ティアラ、ありがとう。 でも、なぜ3発も。。」
「兄さま、なんとなく、多くした方がよい気がしましたの!」
リデルは正気を取り戻した。
ティーポットなどが乗ったワゴンを押したシャルロットが目の前にいる。
「はっ! シャルロットさん!! 何かご用でもございましたか?」
「リデルさま、休憩をとられますか? お茶の準備をしてもよろしいでしょうか?」
「ああ、ありがとうございます。お願いいたします。」
二枚目の顔をつくって、少し低めの渋めの声で返事をする。
シャルロットがお茶の準備をしてくれる。
「シャルロットさん、この屋敷には、何人ぐらいの侍女がいるのですか?」
シャルロットに目付きがキッとリデルを警戒するように向けられた。
『ああ、その目で見つめ続けられたい。。』
「なぜ、そのような質問を?」
あー、警戒されちゃったな。 当たりかな。
「あー、シャルロットさん侍女長って、おっしゃっていたので、何人もの侍女を統括しながら、われわれのお世話まで、申し訳ないと思いまして。。」
なるべく柔らかい表情で、穏やかに、答える。
「そうでしたか。私を気づかってくださったのですね。」
にこっと、肯定して見せる。
「お気遣いにはおよびませんわ。統括といっても、従えてるのも5名ほどですから。」
5人か、少ないな。ひとまず、その5人の中にカトリーヌがいるか調べるか。
「広いお屋敷なのに、5名ですか。皆さま優秀なのでしょうね。」
「そうですね。私は、助けられてばかりです。」
シャルロットが少しはにかむ。
『うをぉぉ!! マジ! かわいい!!』
「、、お茶のご用意ありがとうございます。ティアラ頂こう。」
リデルは、上気する顔を隠すようにお茶の席についた。




