12.
翌日、リデルは、シュタング公爵について調査を開始した。
ハーツ商会として、「滞在中の期間限定で店を出店したい」と、役所に申請に行き、それとなく、シュタング公爵の情報を探る。
「お役人さん、ここって何書くの? 取引先てあるけど、誰を書けばいいのかな? ところで、この町で、力のあるお貴族様と言ったら誰になるの?」
どうかな?
シュディング公爵、あがるかな?
「そうだな、今は、シュタング公爵かな。少し前までは、ロデリオ公爵だったんだが。ここ数年、なにかと、表に出ているのシュタング公爵だな。」
「へー、それは。 何か? 武功でもおあげになったのですか?」
よし!シュタング公爵の名が出た。
すかさず、深堀だな。
「嫌、そうではないよ。 ここ一年、他国からの攻撃によって、騎士団の出番も増えているが、もともとは、この地の国ドースは、いたって平和で、戦いなんてほとんど無い国なんだ。」
「へー、そうなんですか? では、ご商売当たりのご成功で?」
「ああ、そうなんだ。貿易でひと山当てたみたいだな。このところ、シュタング公爵の出資の大型施設の建設とか多いな。詳しくは、俺たち下のものにはわからんが。」
役人の言い回しに、少し棘がある。
シュタング公爵をあまりよく思っていないのだろうな。
「商談持ちかけるには、勝機のありそうな相手ですね。へへ。」
「だろうな、、 まー、上手くやれよ。」
少し強面の役人が、店舗設置許可証を差し出しだす。
特に不信とは思われなかったようだ。
銭ゲバの商人とでも思ってくれたのだろう。
「ははっ。 ありがとうございます。」
俺は、商人らしく、営業スマイルで役人にお礼を述べて、許可証を受け取けとり窓口を離れた。
役所を出ながら考える。
2番手、3番手だったシュティング公爵は、金と他国の力で上に上がろうとしてるってところかな? 意識高い系かな? 商談は、持ちかけ易そうな相手ではあるな。
「次は、町人からも聞いとこうかな。」
俺は、商業地域に向かうことにした。
役所街と雰囲気がガラッと関わり、賑やかで活気がある雰囲気の商業街まで来た。
店舗が並ぶ商業地域へは歩いて10分程度だった。
王都という所ではよく目にする、宝飾店、服飾店、靴店といった店が他国の王都と引けを取らない店舗数で並んでいる、地の国ドースが決して、国勢がない国ではないことを示している。
現在の荒れた土地や、他国からの進軍などが、ここ1年の変化だという役人の言葉は真実だろう。
店を回り、仕事中ではあるが、妹達に似合いそうな髪留めや衣装を物色しつつ、それとなく、シュタング公爵に関係しそうなこの国の情報を得ていく。
次々と店舗を回り進んで行くとと、胃袋を刺激する美味しそうな匂いがしてきた。
食べ物街だ。ますます、人通りが多くなり、賑わっている。
「そこのお兄さん、ドース名物、お芋の甘辛揚げよ! 美味しいわよ!!」
肉付きがしっかりした、いかにも看板娘という感じの女の子が、出来立ての甘辛揚げを1つ、「食べてみて! どうっ?」 と進めてくる。
「もぐっ。。! ありがとう!! 。。 美味しいよ!!」
差し出された試食は、お世辞ではなく、美味しい。
転生前に食べた大学イモの様な懐かしくほろ苦い味だ。
「ドースは、お芋が名物なの?」
「そうよ! お芋、栗、柿やリンゴ。 大地からとれる野菜や果物がドースの名物よ!」
「それはいいね! 本当に美味しいよ! 俺、芋も栗も大好きだ! 」
リデルが好意的な返事を返すと、看板娘は、嬉しそうに、うんうんと頷いたと思ったら、少し曇った顔にになった。
「でもね、、来年は食べられるか分からないわ。。。」
「?? なんで?」
「それがね。収穫量が落ちているの。畑が減ってきてしまっているようなの。」
看板娘の話を聞きながら、指を2本立て、うなづく。
芋の甘辛揚げをテイクアウトで2パック注文だ。
お芋はティアラの好物だからな!! 多めに買って行こう。
「俺、この町に来る途中、荒れ果てた森を通ったけど。畑が減った原因って、それ?」
「そうよ! 地の国ドースは、大地の恵みから力をえて、国を維持しているのよ! もーうっ! 今まであんなに土地が荒れたことなんて、無かったんだから! どうして、枯れていくのかわかんないののよ!」
「え~。それって、ドース、ヤバくないか?」
「そうよ。 でもね、シュタング公爵が対策を打ってくださるそうなの。 なんか、少ない原料で外貨がたくさん獲得できるから、少しぐらい土地が荒れても、大丈夫とか、なんとか。。 そういことじゃないんだけどね。。」
シュタング公爵という人物は、政治家なんだろうな。国力、土地を切り捨ててでも、国民を生かす方向で対策は打つんだろう。。。どちらが正しいとも言い切れないけど、、民の気持ちはついていかないだろうな。。。
なんとなく、シュタング公爵という人物についての情報が見えてきた。
これなら、ハーツ商会の商談力をちらつかせて、なんらかの理由をつけて、雇われざる状況だともってけば、屋敷ぐらいには入り込めそうだな。
「はい! でも、今年のお芋の出来は保証するわよ! 美味しく食べてね!!」
看板娘が頼んだ2パックに、「おまけよ!」ともう1パック袋にいれて渡してくれる。
「ありがとう!! 残さず食べるよ!!」
リデルは、お代を払いながら、笑顔で受けとり、手を振りながら店先からを離れた。
「シュタング公爵邸に入り込む切り口になりそうな情報もつかめたし、まー、あとは状況次第で何とかするか。 これぐらい情報も集まればいいかな。 お芋が冷める前に、宿に戻ろう。」
リデルは、おいしそうにお芋を頬張る妹達を想像しながら宿に帰った。




