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10.

リデル(兄)目線です。



妹達はお休みとしたけど、俺と親父はレオナルド騎士団長から相談を受けた叔父君を訪ねることにした。





「親父、悪いね。休み無しで。」


「構わないさ。エリーも今日は溜まった洗濯をするって言ってたし。」





そして、今は、ストーン伯爵の屋敷前に来ている。



「レオナルド・ザッハ殿からご紹介を預かりました。ハーツ商会のリデル・ ハーツと申します。ストーン伯爵にお取次ぎ願えますか?」


リデルは、お屋敷の門番に書状を渡した。






昨日の内に、リデルはレオナルド騎士団長から預かった書状に宿泊先を添えて、レオナルドの叔父であるリチャード・ストーン伯爵に送った。


3時間も経っていないだろうか? すぐに、ストーン伯爵はハーツ商会が滞在する宿に使者を寄越してきた。


その対応の早さと、使者から受け取った手紙から、レオナルドの話よりも、ストーン伯爵は切羽詰まっている様な印象を受けた。


リデルは、父と相談して、明日には訪ねると記した返信の手紙を使者に渡していた。






「ハーツ商会のリデル様ですね。はい、伺っております。どうぞ、こちらへ」



「ハーツ商会さん、よく来てくれました。私が、この屋敷の当主、レオナルドの叔父、リチャード・ストーンです。」



「こちらこそ、ハーツ商会のリデルです。こっちは、父のセルジュです。」







進められるまま、案内された応接室のソファーに座る。


メイドが、紅茶とお菓子を用意すると、部屋から下がっていった。




「さっそくですが、お困りごとの詳細をお聞きしてもよろしいでしょうか?」




こちらの素性、ハーツ商会の事は手紙で伝えてある。

普段は、営業もかねて、ハーツ商会のプレゼンから入る事が多い。

でも、今回のように、切羽つまったお客様には、まずは心配事を聞いて、具体的な対応をしてからでないと、営業になるどころか、不信を買ってしまうこともある。今回はシンプルに本題から入った。





「こんな事を、本来は依頼するのも、親馬鹿なのかもしれないんだが、、」


ストーン伯爵は、何から話していいものか?と切り出した。



「レオナルドが説明したように。次女が3か月前より家に帰ってこない。こんな長い間、娘の姿を見なかった事は、あの子が生まれてから1度もないのです。それで、動揺してしまって。」



「お嬢様はおいくつですか?」


「17才だ。あと2か月で18才になる。まあ、成人も近いし、親がどうこう言えるのもあと少しなんだが。」


「いえいえ、18才なんて、まだまだ、子供ですよ。保護者が必要です!!」



「リデル、話の主旨が少しずれそうだよ。」


父から、すかさずフォローが入る。




「その、3か月前にお嬢様に変わった事はありました?」



「それが、、普段通りだったんだんだよ。いつも通り、夕食を一緒にして、たわいのない話をして。くだらない私の話題にも微笑んで、楽しそうに笑っていた。。。と思う。。。そうだな、少しだけ違いとしたら、いつもより、きつめの香水をつけていたかな。おしゃれには興味のある子で香水を変える事はよくあってね、さほど気にもしなかったのだが、よく思い出すと、いつもと少し好む匂いが違っていたかな?。。。。。まー、父親だからね。気になる男性でも出来たのかな??とか考えてしまうところもあるんだけど、、、やっぱり、男だろうか?? 男の趣味に合わせて。。。 わーーーーーーーーーー。」




「落ち着いてください。伯爵、他に気づいたところは?」


「無いかな。」


ストーン伯爵は、それでも思い出そうとしているようだが、実際無いのだろう。





「気になる男性が出来たからって、いつも顔を見せていた家族に3か月1度も家族に顔を見せないのは、確かに変ですね。」



「そうなんだ! わかってくれるか? 」


「わかります。わかりますとも、俺だったら妹達から1日だって連絡がなかったら、そんなの、心配で気が狂ってしまいます!!」


「いや、そこまでは、、さすがに1日2日連絡がなくても、」



「リデル、うーん。話を戻そうか!」


リデルとストーン伯爵は仕切り直しとお茶を口に運んだ。







「では、現状の情報からは、お嬢様が帰らないのが、他意的なところにあるのか、自身の意思なのか?判断出来かねます。」


ハーツ伯爵が険しい顔になる。



「ですので、我々の目的を明かさず、お嬢様に接触いたしましょう。その上で、意思を確認して、お嬢様が望むようでしたら、お連れしましょう。ただし、我々は犯罪組織ではありません。嫌がるお嬢様を無理やり攫ってくることはできません。ただ、少なくとも帰りたくない理由まではお聞きしましょう。それでいかがですか?」



「。。はい。 それでも、構いません。 娘の無事を確認できるだけでも、構わないのです。」



リデルは父の顔をチラッと見る。

とくに、止めるような表情もないので、進めてよさそうだ。




「わかりました。では、お引き受けしましょう。」





「では、詳細の契約内容と費用については、父と詰めていただけますか?その間に私はお嬢様について、もう少し詳しいくお聞きしたいのでが。」


「では、娘達を子供のころから見てる侍女がいるから、彼女に対応させよう。」


「ありがとうございます。」






リデルは、依頼対象の娘の情報を集めることにした。



「お嬢様について、教えてください。」




「お嬢様、カトリーヌ様は、とてもお優しくて、控えめで、旦那様が心配しているような、男性のために家族に心配をかけるようなことは決してなさりません。年は17ですが、外見からは、もう少し上に見えます。髪はまっすぐな茶色で長さは腰ほどまで伸ばしていらっしゃいます。背は少し高めで165cmほどございます。こちらが、お嬢様の17の誕生日に伯爵様が描かせたお嬢様の姿絵でございます。この頃より、もう少し大人の様子になっておりますが、大きくは違っておりません。」



「その姿絵、お借りしていってもよろしいですか?」



「ええ、旦那様にそのように伝えておきます。あと、お嬢様は可愛いものがお好きで、ご趣味は、可愛らしい雑貨や髪留め、など小さなものを集めていらっしゃいます。お菓子づくりもお好きで、旦那様や奥様に作って差し上げていました。」





なんだか、聞けば聞くほど、本人の意思ではないところで、帰ってこれなくなっているのではないかな? 嫌な予感がするな。この仕事、危険度合いの見積り、見余ってないよね?






ひと通り、カトリーヌの情報を仕入れると、リデルは応接室に戻ってきた。



「、、では、契約はそのように、後ほど書類を作成して、こちらに送付いたします。」


親父の方も、折り合いをつけたようだな。




「ストーン伯爵、ありがとうございます。お嬢様は侍女の方にも慕われているお優しい方なのですね。」


ストーン伯爵が、誇らしげにも寂しそうに笑った。




「では、これで失礼いたします。」




リデルは、作戦をくちゃくちゃ考えながら宿に帰った。










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