30話〜残し残されるもの〜《再始動》
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「いやでもなんか新しいなぁ!?ファミレスなのか?」
しかし、その名に惹かれ入っていくのだった。
「ようこそロトンヌへ、何名様ですか?」
元気にそういう声は、可愛いユニフォームに身を包んでいた。
席に通されメニューを見る真樹夫に水を置くフロアスタッフ。
その胸につけられた名札に目を止める真樹夫。
そして、迷わずハンバーグと生ビールを頼んだ。
届くビールと料理。
「颯太と邦夫の2人分だな!?」
そう言いながら味を楽しむのだった。
レシートを持ちレジへと向かう真樹夫を追うように駆け寄るスタッフ。
先ほどと同じ女性だった。
「1932円になります」
元気にそういうスタッフに、
「はい、ご馳走様でした」
と明るく答える真樹夫の笑顔。
そして真樹夫は去り際に、
「お姉さん、素敵な名前ですね」
と伝えドアから出て行くのだった。
その言葉に女性は顔を赤らめ、にこやかに、
「菫」
という花を咲かすのだった。
店を出て、
「あぁ、美味しかったなぁ……しかし、1932円って!?あれは確か1932年だったよな、あっちの真樹夫が生まれたのはさ」
足取り軽く夜の街を歩くのだった。
翌朝目覚めた真樹夫は、昨日描いた絵を眺めた。
「う〜ん!?コレでよしっと。我ながら傑作傑作っ」
真樹夫の1番の得意技、自画自賛を炸裂させるのだった。
スマホを取る真樹夫は、
「あ、山崎です。もういつでも良いですよ」
「ホントかい?そりゃ良かった。じゃあ迎えをよこすから何時に……」
と待ちかねたように段取りをつける和子に微笑み、電話を切るのだった。
「さーて、持って行くものは……」
約束までまだ4時間ある。
(ならちょっと小腹を)
とスーパーへと出かけるのだった。
「う〜ん!?帰ってから食べるものもストックして……今からだと向こうに着くのは夜中だから食事があるとも思えないし……」
またしてもブツブツと独り言が惣菜コーナーを練り歩いた。
「はいは〜い、出来立てイカフライがお手頃ですよぉ」
いつもの声がかかり振り返る真樹夫の目に映るのは数田1人だった。
「ああ、山崎さん」
よそよそしい数田の声。
(なんだろ?隠し事!?てことは)
「瑠美ちゃんなんかあったんですか?」
陳列する数田の背後から声をかける真樹夫。
「え!?いや特には……今日はたまたまお休みで」
慌てないふりを慌ててする数田に、
「ふーん、瑠美ちゃんには彼氏ができたと」
カマをかける真樹夫の声にビクつく数田。
「図星かぁ!?ああ、もうこのスーパーに来る意味なくなったなぁ」
わざとらしい真樹夫の声に、
「あ!?彼氏というか……瑠美ちゃんが一方的にというか」
事情を深く知る数田に真樹夫の追求が始まった。
「誰?誰なのその男は?まさか女性?」
「いや男性ですけど……確かぁ北山さんとか!?」
はっきり知っているのに濁す数田。
「きた……嘘でしょ!?」
驚きカゴを棚にぶつける真樹夫。
「ああ、ごめんなさい。ホントに公彦と?」
下の名前まで知っているのなら?と、
「ええ、何でも小さい頃から気になっていたとかで、それで思い切って旅行に誘ったとか」
不安さを残しながらも喋り倒す数田。
噂好きなのが手にとれた。
「いきなり旅行にっ!?そんな……て」
何やら思い出す真樹夫が頭の中に映像を作り上げた。
それは、自分の部屋から公彦の部屋が見えると、瑠美が以前言っていたのを思い出した。
「ああ、なんか言ってたなぁ?」
「はい、何となく見ていたらその公彦さんて人の背中が見えた時、ビッビッと来たとかで……」
言っていて恥ずかしくなるが、瑠美の言葉をそのまま伝える数田がいた。
「しかし、公彦と瑠美の母親は昔、付き合っていたのに……」
大きく口を開けたまま静止する数田。
「お〜い、数田さ〜ん起きろよぉ」
手を振り立ち去る真樹夫だった。




