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どこかの世界線  作者: マメ


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14線~記憶のプイスト(公園)~ 《瞋目》


同じところで立ち止まる2人。


「抜け出したついでに下いって何か買おうか?」


嬉しそうにうなずく佳苗の笑みに、視線を奪われる真樹夫。


「お前らどこ行くつもりだっ?」


飛んでくる北山の声に思わず佳苗の手を取り、エレベーターに乗り込む真樹夫だった。


1階で降りても手をつないだままの2人。


「アイスにする?」


指さす真樹夫に、頷く佳苗。


エレベーターに戻り、アイスを眺め真樹夫は、


「それさー、ちょこっとちょうだい。さっきのコーヒーに入れてのみたいなー?」


「いいですね?私も飲みたいっ!」


「仲良く分けっこしようね?」


「はいっ!」


元気な笑顔で答える佳苗だった。



帰り際の給湯室で、真樹夫のカップを洗う佳苗に付き添う三澄。


「じゃあ、本気で押すわよ。次は居酒屋作戦ね?」


本人以上に意気込む三澄だった。



「課長~」


「なんだ真樹夫~」


「マネしなくていいですよぉ?」


「そおなんですねぇ?」


「まいーや、三澄さんたちに飲み誘われてんすけど行っていいすよね?」


「あー、いいんじゃねえか」


「なんすかそれ、監視なんだからもうちっと」


「ああ、とっくにお前を返してよかったんだがな?」


「手当がおいしいと?奥さんが俺を逃がすなと?」


「そーなんだよぉ冴えてんなお前、でいつ帰る?」


「もーちょいいようかな?飯旨いし」


「そーかウチの喜ぶぞー、一生置いとけっつーから」


「じゃ、俺はもうちょい昼寝するんで」


デスクにうずくまる真樹夫。


「なんだお前っ!?」


そう言って同じくデスクに顔を埋める北山。



けだるい午後の始まりがやってくるのだった。


「まっきおー、今日空いてんだろ?」


真樹夫の生活スタイルを知らない三澄は突然、予定を投げて来るのだった。


密かに北山の顔を見る真樹夫に、頷く北山だった。


仕事も終わり小ジャレた居酒屋を見つけておいた三澄。


「どーよ?いいでしょココ」


「はーい、カレンさん素敵です~」


「ははっ、真樹夫も佳苗を見習いなさいっ」


「まっいいけど、佳苗ちゃんクラスならココ知ってたんじゃない?」


「え”っ、そーなの?」


「え、いやーぁどうでしょう?来たの初めてですよ」


「何でもかんでも初めてていう女は信用されないらしいよ?」


と、生半可なことを言う真樹夫だった。


「ちょっと待ってぇ、クラスってな~に、私は低いてこと?」


「うーん......多分そうなんじ?」


「てーめー、サッサと言えよ。言い出したのもお前だろ」


こんなほろ酔いの時を止めるきっかけを、三澄は作ることとなってしまった。


「あー美味しかったなー?私はお金置いて帰るから、アンタたちはもう少しいなよ?」


財布を開けながらそう言う三澄に、


「何で、三澄さんが帰るならみんな帰るっしょ?」


と、真樹夫が素直にそういった。


「何で!?いなさい?」


「カレンさんもういいですっ。ありがとうございます」


「そんなぁ......」


「あ、主任これは私が頼んだことで......すみませんでした」


「いいよ、俺には好きな人がいるけど、やっぱ嬉しいもんはうれしいよ」


「じゃあアンタ佳苗と?」


「だからそれは」


「まだ瑠美さんを?二股かけてんのに?」


あきれ顔でそういう三澄。


「はぁ、何でそれを?」


「みんな知ってんよ。知らないオッサンの車で来るし、崎口ともベッタリだし」


「いや、あれは......」


「つーか、それ見てもまだ瑠美さんなんだ?アンタ相手にされてないのに」


「カレンさん、さすがにそれはっ!?」


「言い過ぎかゴメンね」


それでも笑顔を崩さない三澄。


「煩いよ、煩いんだよっ!何があってもあの人を守るって決めたんだ。何も知らないくせに!」


言い捨てて走って出ていく真樹夫だった。


呆然と真樹夫を見送る2人。


「ごめんね佳苗」


「いいんです。でもあきらめませんっ」


と、赤い目で瞬きをしながら必死に涙をこらえる佳苗だった。



1人、駅へと向かう真樹夫、


「何だよみんなで瑠美さんを——まさかこれも狙いなのか?」



——あの野郎っ



白い光を体験してから、時折オオカミのような眼をする真樹夫が月を見上げた。




翌朝、会社に出勤した真樹夫の目には、待ち望んだ姿が写り込むのだった。


「瑠美さん無事だったんですね?」


真樹夫の言葉に違和感を覚えた人間は、ここにもいたのだった。


(ぶ......じ......って?)


そして佳苗はまたしても湯呑を取り違えそうになるのだった。


「真樹夫嬉しいのは分かるが、そこは平気だったじゃないか?」


間を逃がした言い訳ほど間抜けなものはない。


それを百も承知の北山があえてやったのだ。


——俺への警笛か



警笛ならもう——



北山にすら恐れを抱かない真樹夫がいるのだった。



昼を待ち、表で佐藤に連絡する北山。


「おーキミぃ、どうだった?」


「セル!」


どうしてもプライベートモードでいけない北山。


緊張を共有する佐藤は、


「お前をそうまでさせたのは何だ?」


「分かりません。ただ胸騒ぎが......」


「俺の身を案じたのか?」


何も言えない北山は大きく息を吸った。


「そうか......早い方がいい。どっちにしてもな?」


「それは?」


「結局......アイツに言われたことをシカとして、アイツを見下した報いなんだろな」


「今感情的になることは——セルっ」


「ふっ分かってるさ」


「瑠美にも伝えてくれ。それとこれが最後の利用になるかもしれないな」


「どんな意味で?」


「崎口のニュースを流させる。社内でも通達してくれ、真樹夫の気が触れるほどにな」


「アイツをこれ以上狂わせてわっ」


「いいさ、ケリをつけよう」



ヤるのは明日だ——



オフィスに戻る北山。


心配から出た種とはいえ、やはり気持ちのいいもんではなかった。


結局身内でも、一人の女で争うものなのかとも思った。


戻った北山は仕方なくTVをつけ音量を上げるのだった。


北山を不思議に見つめる一同は、TVへと視線を移さざるを得ないのだった。


『緊急ニュースをお伝えします。本日正午ごろ自宅マンションで、(株)ジヒルの部長、崎口 颯太さん(51)の遺体が見つかったとのことです。発見当時、足元には遺書が置かれていたことから自殺とみられています。発見に至った経緯については、連絡が取れなくなったと心配した夫人がマンションを......』


プンっ。


「まあ、よくもこんなでっち上げを作っておいたものね?高根くんも奥永くんも」


「でもこれで千田くんも数田さんも少しは......ね依子」


ハンカチで目を押さえる紗代子だった。




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