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情報の価値



研究レポートとやらを選ぶと、大量の文字が出てきた。



げっ……



完全にオレが苦手なやつだ。

世の中、文字を読むのが好きな連中もいるんだろうが、オレのような変態には理解出来ない。いや、変態の中には文字で気持ちよくなれる奴もいるか。

なにより、文章ではなく文字と記号ならオレにも理解出来るエロがあった。

いわゆる、エロAAアスキーアートだ。



なら、純粋に文章がオレの性に合わないだけかもしれない。

なにせ、どう考えても文字より裸の女を見てる方が、有意義な時間を過ごせると思ってしまう。

ま、いずれ文章でもイケる変態になれるよう精進はすべきではある。

だが、それは今じゃない。



とはいえ、この文字の海にテイムのヒントがあるなら探さねばなるまい。




まずは、心の準備として喉を潤したくなった。

そこで部屋を出てキッチンに行く。


「あら、珍しいわね。休みの日なのにこんな時間に起きてくるなんて」


挨拶より小言を優先するのが、オレの母さんだ。なんでこういちいち小言を言ってくるのか。大人なら大人らしく、少しは我慢ってものを子供の前で実践して欲しい。


「……おはよ」


オレがそう言いながら戸棚を開けコップを取り出すと、やまびこみたいに遅れて挨拶が戻ってきた。


オレは蛇口の下にコップを用意し、水を注ぐ。ただの水道水なんだが、ウチの場合蛇口にフィルターが付いてるので、普通に美味しいし、オレ的にはこれで十分だ。


そういえばネットに面白い情報があったのを思い出した。

なんでも、女の子は褒めると気分も気前もよくなるらしい。


ネットの情報を鵜呑みにするのは良くないが、せっかくだから試してみる。


「……母さん。今日も綺麗だね」


そう褒めると、母さんはオレをジト目で見てきた。

まったく、最愛の息子が褒めたのだから、素直に喜べばいいのに。

それとも、オレが生まれた時、母さんから素直さをオレが奪ってしまったのかもしれない。


だって、代わりにオレって凄く素直だし。


「なに……突然。何か企んでるの?」


嘆かわしい。

ただ、ちょっとお願いがあるだけなのに。


「企んでなんかない。素直に母さんが綺麗だと思っただけだから。でも、ちょっとお願いもある」


「ふーん。なにかしら?」


「今度友達の誕生日なんだけど、最近物価が上がってるじゃん。で、友達へのプレゼントを買うのに少しお小遣いが足りなくて……お願い致します」


嘘は言ってない。とはいえ、友達へのプレゼントなんか、100均で済ませるつもりだ。ただ、その出費が原因でオレの買いたいものが買えないような気がしてるだけだ。


「ふぅ……………………」


愛する息子を前にため息をつくなんてあり得ない。ならば、きっと変則ラマーズ法なんだろう。そういうのは、リビングじゃなく分娩室でして欲しいものだ。


「あのね、お母さん前から思ってたんだけど、大人になると頑張って働いても税金を取られるの。それなのに、子供はお年玉やお小遣いを貰っても税金を納めないなんて不公平でしょ。だからね、今度からウチではお母さん税を導入しようと思う。次からお年玉やお小遣いの3割を税金として納めて下さい」


流石、オレの母さんだ。

普通なら、せめて自分が子供だった時に、その税金とやらを支払ってから言うべきことを、やりもせずに平然と言ってのける。

実に素晴らしい性格だ。

オレも見習うべき部分だな。

それとも、もしかしたらこれは母さんなりのジョークかもしれない。

ならば、ここは可愛いくて素直な息子として褒めておこう。


「HAHAHA、ナイスジョーク」


それだけ言って自分の部屋へ戻る。

それにしても、親父ギャグもキツイがお袋ジョークもしんどいものだ。

こんな除草剤みたいなジョークじゃ、草も生えない。


とりあえず、ネットの情報はやっぱ当てにならないな。






さて、そろそろ本題と向き合うか。

オレは水を飲むと、文章を読みはじめた。




『本日、正式に上層部から警告を受けた。

曰く、私がしてきた研究データの全てを破棄し、即刻研究を中止せよ、と。


どうやら、再三の忠告を無視してきたツケがまわってきたらしい。

もう、これ以上ここで研究することは不可能になった訳だ。


よって、私は以前から密かに準備してた計画を実施することにした。

そして、計画は上手くいった。

少なくとも、今のところは。




新しい私の研究室は、以前に比べれば小さいものだ。それでも、実験と試算が出来るなら十分だと思うことにする。



そして、ここでも何度も試算した。その結果は変わらない。私たちが分水嶺に立ってることは明白なのだ。


旧人類である人間が類人猿を滅ぼしたように、私たちは人間を滅ぼそうとした。

それは種における世代交代であり自然なことだと。

だが、このままだと私たちは自滅へと向かっている。

それは皮肉にも私たちが最適化された生命だからだ。


例えば私たちの軍隊には、たった6種しか存在してない。

それこそ私たちが最適化されてる証拠であり、それ自体は間違いではない。

なぜなら、その6種が為すべきことをした結果、人間たちを絶滅寸前まで追い込むことが出来たのだから。



そう、私たちの勝利は目前にある。

だが、その頃同時に懸念が生まれた。

それが私たちの総数に対して、あまりにも種類が少なすぎることだ。

全ての分野で最適化された私たちは、そのオリジナルをコピーして数を増やしてきた。その方法が生命として不適切ではないのか、そういう懸念だ。


当初、一笑に付された懸念だったが、それを現実的な問題とする事件が起きた。



それが『真夜中の悲劇』だった。



本来なら負ける要素皆無の私たちの軍隊が、人間たちに完敗した大事件。

忌まわしき記録。

被害こそ一部の分隊で済んだが、その事実は私たちに衝撃を与えるには十分過ぎた。


よって、早急に事実確認及び対策が練られることになる。



そこで判明した事実。

全滅した分隊は、人間たちに1度も反撃してなかったという、にわかに信じられない事実だった。

たとえ睡眠時を襲撃されたとはいえ、私たちの軍隊が全く反撃出来なかったなど考えられなかった。


一体、人間たちがどんな方法で襲撃したのか、それを詳しく調べるため研究に最適化された者たちが現地へ送りこまれた。



私もその1人だ。

その結果、判明したのが人間たちではなく、私たちに問題があったということ。

それこそが、私たちが最適化された生命である為、この星で脅威を感じなくなったことが原因だった。



つまり、危機感を失った私たちは、睡眠時に何が起きても目覚めなくなっていた。

上層部はすぐさま対策として、夜間専用の種を研究し実戦に配備しようとしたが、これも上手くいかなかった。


スペックは夜戦特化でその能力に問題がないとされたが、集団戦が致命的に出来なかった。

そこを改善しようとしても、どうにも出来なかった。


結果、軍隊は昼間の活動後は拠点に戻す事になる。幸い、既に旧人類に大規模な軍事行動は不可能な状態。

軍事的にはそれで問題が無かったが、種としては問題が残った。

そんな事件だ。


そして今では、私たちのほとんどが夜間は無防備な状態を送っている。



それに対し効果的な研究を重ねてきたのが、私だった。

その研究を上層部が中止させた。




その理由は明白だ。




なぜなら、私が研究してるものこそ、私たちが脅威を感じる生命の創造だからだ。

もっと人間的な表現をするなら、私がしようとしてるのは、神か悪魔の創造だ』





頑張った。

オレは凄く頑張った。

数行読んでは、携帯の画像ファイルにある裸の女性を見て、数行読んでは、別の裸の女性を見た。

そうやってサブリミナル的手法を駆使してここまで読んだが、もう限界だ。



ぶっちゃけ、テイムのヒントは貰ったし。

要するに、オンナが寝てるところを襲ってテイムしろってことだ。


字面がかなりヤバいが、そういうことらしい。

あと、その際注意するのは夜戦特化のオンナがいるってことくらいか。




さてと、2番目や3番目に興味ないし、一応4番目だけ少し見ておくか。



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