名前の意味
『エロイチへ
君がこれを読んでいるなら、実験は成功したということ。
転移装置は上手く起動したのだろう。
それでも、転移装置によって君は一部の記憶を失った可能性が高い。
その記憶の補填を兼ねて、ここに簡単な経緯を書いておく。
まず、結論から言うと私は神や悪魔を創造出来なかった。
その理由は、私に創造出来ることは、私に対処可能なことだからだ。ゆえに、それでは脅威足り得ない。
そこで私は君自身が君を創造出来るようにした。
これによって、私では想像もつかない君になってることだろう。
その姿を見ることが出来なかったのは、本当に残念だ。
どうやら、上層部は本気でこの私を排除すると決定したようだ。
とはいえ、私たちは人間とは違う。
同種で殺し合うことなど、基本的に無理だ。
そのため、上層部がしたことは外部への出入り口を塞ぐことだった。これによって、私は外へ出ることが出来なくなった。
もはや、私に残された時間は僅か。
その限られた時間の中で不完全な転移装置を開発した。
ほんの少しの距離しか転移出来ない。
たった1度しか使用出来ない。
たった1人しか転移させれない。
そして、一部の記憶を欠落する可能性が高い不完全な代物だ。
そこで、私は君に全てをたくすことにした。
君こそ、この私が確かにこの世界に存在した証として。
おそらく、ここで生まれた君はある種の本能みたいに、転移装置を起動させることだろう。
そのように仕向けてある。
その後の君が、地上でどう過ごしたのか………
ふふふ。
私には全く想像出来ないな。
それにしても、想像出来ないことがこれほどまで好ましく思えるとは、不思議な気持ちだ。
論理的でも合理的でもない感情。
保存用ポッドを起動するまでの時間、これについて考察してみるつもりだ。
さて、私はもうじき眠りにつく。
だからこそ、ここに来た君が私にとって初めての脅威となってくれることを……切に願う。
その脅威こそ、私たちを救う最期の優しさなのだから。
それと一つ、謝らせて欲しい。
私が君を『エロイチ』と名付けた。
だが、いかんせん名付けることなど初めてのこと。
正直、上手く名付けれたのか自信がない。
もちろん、私なりに色々と考えた末の名前なのだが、気にいってくれてないかもしれない。
その時は、その……すまない』
いーや?
別にそこまで酷い名前じゃないし。
なんなら、エロの世界で一番になるって感じの素晴らしい名前だし。
ってか、ゲーム的にはこのオンナが名付けたことになってるのか。
そう考えると、仮に『123』でも、それはそれで味があるように思えてくる。
さてと、オレがすべきことは何も変わらない。
むしろ、このオンナの願い通り是非ともテイムして、存分にこのオレの脅威的なエロさを味わって貰おうじゃないか。
そうと決まれば、さっそく作業に戻りたいところだが、念のためこの部屋を調べてからにした。
すると、普通に『化学作業台』が置いてあった。
作る手間が省けたが、肝心の『テイム薬』をクラフトするには、素材だけでなくステータスも必要だと判明した。
つまり、最低限『化学作業台』がクラフト出来ないと、『テイム薬』も作れないってことだ。
それでも、手間が省けたことには変わらないが、そうなると気になることがある。
それで一旦ホームに戻り、少しアイテムを持ってきた。
それで試したが、現状この場所に『寝袋』を置くことも出来ないし、チェストを設置することも出来ない。そして、建造物の屋根なんかも設置出来ないし、木の梯子も設置出来なかった。
これが意味することは、この場所が特別ってことだ。
なぜなら、仮に他のコミュニティの建物ってだけなら、侵入に使えそうなアイテムまで設置出来ないのはゲームとして変だからだ。
そして、この特別な部屋の所有者はその機械の中にいるオンナということなんだろう。
ならば、テイムした後はどうなるのか?
もしかしたら、ここを拠点として活用出来るのかもしれない。
道路と地下のどちらが住みやすいかは、その人の感性次第なんだが、オレならこっちに住みたい。
ただ、一つ。
そうなった時、たぶんここの不壊属性が解除され特別ではなくなるってこと。
まあ、流石に不壊のまま拠点として活用出来たら、ゲームとして終わってるし。当然と言えば当然だ。
でも、それってつまり……
くくくっ
テイムするまでは、このシステムに守られた特別な場所を利用出来るって意味なのでは?
とにかく、色々と楽しみが増えたな。
元ゴミ捨て場、現在は空き地。
そんなオレの初期スポーン地点。
いずれここを、オレ専用のエロな楽園にしていこうじゃないか。




