初期スポーン地点
目覚めたらまずPCの電源を入れる奴とは友達になれる気がする。
そんな他愛ない事を考えながら、ログインPWを入力した。
そして秘密の検索ワードで叔父さんのゲームを見つけ、ゲームを再開する。
いつものマイホームからスタートだ。見晴らしが良く、風通しの良い、一般的に道路と呼ばれる場所。
そして、その直ぐ横にはゴミ捨て場がある。
オレの初期スポーン地点だ。
くくくっ
なんでこんな簡単な事を見逃していたのか。
このマップはおそらく自動生成だ。
だとするなら、開発者にはプレイヤーがどんなマップでゲームしてるのか分からないはず。
その状況でヒントを残すなら、確実にプレイヤーが立ち寄る場所に残すに決まってる。
ああ、それこそこの初期スポーン地点だ。
そして、オレの予想が合ってるなら、この場所には『寝袋』を置く事が出来ない訳で、どこかしらのコミュニティに属してることになる。
ならば、マミコが言ってたコミュニティを思い出してみる。
『人類共同体』
『人類解放戦線』
『リフリーダム』
『母神教団』
『ギルド』
この5つを言ってた。
では、このゴミ捨て場はそのどれかに属してるのだろうか?
オレの勘が言ってる。
違う。と言ってる。
もう1つコミュニティがあるじゃないか、と。
ああ、それがオンナだ。
この初期スポーン地点こそ、オンナのコミュニティに属してる場所なんじゃないか、と。
そう閃めくと、色々とパズルのピースがハマる。
主人公がどんなキャラクリをしようが関係ない。
レベルでステータスを上げることが出来ても問題ない。
なにより、『特殊能力』が人間をやめてるようにみえるのも当然だ。
だって、主人公は人間じゃないのだから。
そんな主人公に思い出なんてある訳ない。
適当に作られ、そして廃棄された。
それが人間だと思い込んで目覚めただけだ。
ってことは、主人公は本来人類の敵側であり、オンナからは廃棄処分した出来損ないって認識になる。
ドラマ的にはなかなかハードな立ち位置だ。
だが、オレには関係ない。
オレにとって大切なことは、ここがオンナのコミュニティに属してるなら、テイムする為のヒントも必ずここにあるはずってことだ。
さあ、よく探せ。
なにか違和感を見つけろ。
オレはカーソルをゆっくり動かしながら、入念に表示されたアイテム名を確認していく。
だが、どれも解体すれば素材になるものばかり。ヒントらしきものが見つからない。
なんだ、何を見逃してるんだ。
オレのシナプスを伝わる電気信号がショートしてるのか。
どっから見ても普通のゴミ捨て場にしか見えない。
普通の…………!?
それはおかしい。
ここがオンナのコミュニティに属してるなら、近未来的でなければ変じゃないのか。
とっさにそう思うが即否定する、まだそう決めつけるのは早い、と。
なぜなら、オンナたちが使ってた武器は、お世辞にも近未来的とはいえない。
むしろ、前時代的とすら思える。
なら、変じゃないのか……
そのはずなんだが、何か引っかかる。
さっきからずっと、漠然と違和感を感じてる。なんて言うのか、目の前にあるのに霧で見えない状態みたいな……そんな感じだ。
ふぅ……。
一度気持ちをリセットする。
画面に映されるのは、ゴミ捨て場と全裸の7歳児。今日も今日とて元気に全裸だ。
こんなオレなら廃棄処分されても当然とも思えてくる。
ってか、実際オレしか廃棄処分されてないなら、よほどの理由があるんだろう。
オンナにはオンナの都合ってやつが。
ってそうなると、やはり違和感の正体はオレってことになる。
かといって、『特殊能力』を調べてもヒントらしきものが見つからない。
もう一度、付近に散乱してるオブジェにカーソルを合わせていく。
やっぱり、解体しか表示されない。
解体…………
くくくっ
これじゃん。
間違いなくこれじゃん。
わざわざ解体出来るオブジェをここまで大量に用意してるとか、明らかにおかしいじゃん。
よく考えてみれば、初心者救済ってレベルじゃないし。
意気揚々として、オレは手当たり次第解体を始めた。
大して持てないから、何度も外に設置したチェストと往復しながら、ゴミ捨て場で解体出来るものを全て解体していく。
そして、大量の素材を手に入れる。もはやゴミ捨て場とは思えないほどスッキリさせると、それは現れた。
地面には場違いなほど近未来的なハッチ。メッキ処理でもしてるかのように、ピッカピカのハッチだ。
カーソルをハッチに合わせると『開ける』と表示された。
おっけぇー。
ここは慌てず、目の前のホーム(道路)で軽く寝てセーブ。
所持アイテムは全て置いて、なんでも持ち帰れるようにしたら準備完了。
さあ、さあ、ここまでしたんだ。期待に応えてくれるよな。
オレはハッチを開けて、中へと入っていく。




