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超軽量化の命



響いたのは一発の銃声だった。

それだけで、オレの画面は赤く染まり『あなたは殺されました』と表示された。


そして、初期リスポーン地点に戻ってきた。

画面の左上に表示されてる時刻が、ゲーム開始時刻と同じところを見ると、これがこのゲームにおけるデスペナルティーか。


つまり、死ねばセーブポイントに戻る訳で、それまでのプレイ時間が無駄になる。

これによって、ゾンビアタックが出来無いようになってる訳だ。



さてと、このまま闇雲にオンナを求めて出歩いても、この初期スポーン地点を親の顔より見るはめになる。

現状、オンナが強いのかオレが弱いのか分からんが、少なくとも考えなしで徘徊したら即死だ。なにせ敵であるオンナを正確に認識することすら出来ずに殺されたからな。




こうなれば仕方ない。

まずは地道にレベリング(レベル上げ)するか。幸いこのゲームでの経験値はAPアクションポイントを消費する行動で増えることは、さっきの徘徊で分かった。

つまり、走ったりジャンプしたり何かしらの行動をすればいい。ただ、APは時間で回復するが、APを消費すると水分値や食料値も減る。となれば、水や食料の確保が重要だし、せっかく上げたレベルを維持するには、セーブするための『寝袋』も必要となる。



いいね。面白くなってきた。



ゴミ捨て場に転がってるソファーや椅子を拾っては解体して、素材である『布』や『木材』を手に入れ、早速『寝袋』をクラフトした。

すると経験値が入る。どうやらクラフトでも経験値が入ることが分かった。


そうなると気になるのが、クラフトした物を解体したらどうなるのか、というところだ。

試しに石を拾って、『木材』と『石』を使い『石の斧』を作製。それを解体したら素材の半分が戻ってきた。



これにより、建築を使ったレベル上げも可能だ。よくあるのが土台を作っては解体し、また作っては解体を繰り返す方法。これにより例えば本来なら土台10個分の経験値しか入らない素材量で、土台15個分の経験値を稼ぐことが出来る訳だ。しかも、その増えた5個分の土台を解体すれば、更に2台分の素材が戻ってくる。で、その2台を解体して1台分が戻る。結果、トータルで18台分の土台を建築したのと同じ経験値が入る。


普通ならメリットしかない方法なんだが、このゲームの場合クラフトする時もAPを消費しやがる。

ってことは、この方法を使うなら、やっぱり水と食料が大量に必要ってことか。



よし、当面の目標は水と食料の確保だ。まさかサバイバルゲームで、そんなリアルみたいな事になるとは思わなかったな。大抵の場合、何度も死ねるサバイバーの命など、真綿より軽いのが常識だ。

本当に楽しくなってきた。



あと、徘徊して分かったことだが、基本的にこの世界の人工物は2種類ある。やたらと近未来的な建物と、空爆でもされたような廃墟だ。

当然、廃墟に人の気配などなかったから、オレは遠くに見えた近未来的な建物を目指した。そして殺された。


そうなると、近未来的建物を避けたいのだが、問題が1つある。それは川が近未来的建物の方角にあるということだ。


試しに『寝袋』をクラフトして、1つをジャンクヤードを出て直ぐに設置。これは初期スポーン地点に設置出来なかったからだ。そのまま1時間睡眠をとってセーブした。で、しゃがむことでハイド(隠れる)状態になるから、それを駆使して川を目指した。

だが、何度やっても川までたどり着けない。


敵のスナイパーのAIM(狙い)が良すぎる。

リアルでもゲームでもスナイパーが嫌われる理由がこれだ。

姿も見せずに、人を殺しまくりやがって。是非ともオレにも真似させろと言いたい。


とにかく、このまま鴨にジョブチェンジしても未来が見えないので、考えかたを変えた。



たぶん日中だから見えやすいのだ。いっそのこと、夜に行動することにした。

『寝袋』で睡眠時間を指定できるから、深夜0時まで寝た。そしたら、簡単に川までたどり着けた。マジで今までの苦労がなんだったのか。


とにかく、敵は暗視ゴーグルを装備してない可能性が高い。これからも、基本的に行動するなら夜間が良さそうだ。



川に到着したオレだったが、ここで必要なアイテムに気づく。

それが『空き瓶』だ。

なぜ、道中の廃墟に『空き瓶』があるのかについて、ただの素材としか見てなかったが、どうやら水を持ち運ぶにはこの『空き瓶』がないとダメらしい。


考えてみれば当たり前だ。それに今から暗闇の廃墟の中で『空き瓶』を探すこともどうにか可能だ。なにせゲームだから、採取可能なアイテムにカーソルが合わされば、そのアイテム名が表示される。

少し面倒だが、それを使えばいい。




そんなことを考えていた時だ。


「そこにいるのは誰?」


女性の声で言われた。

突然のことでマジでビビった。心臓に悪すぎる。

オレは女性の方へ振り返る。

星明かりで微かに人影が見えた。

そして、その人物がたぶん銃口をこちらに向けてることも。


「うそ!? こども……それもそんな格好で……ううん、いまはそれどころじゃないわね。いい、これからお姉さんについて来て」


女性がそういうと、画面に選択肢が表示された。


上:なんで?

左:黙る

右:はい

下:いいえ


とりあえずこの女性が何者か分からない。が、不審者なのは全裸で夜間に川にいるオレなのは間違いない。

それに何があっても、最悪セーブポイントに戻るだけだ。

このイベントが固定なのかランダムか判断出来ない以上、『はい』を選ぶことにした。


「素直ないい子ね。はぐれないように、お姉さんと手をつなごうか」


また選択肢だ。これも『はい』を選んだら、自分のキャラと女性が手を繋ぐ。そして視点以外の操作が出来なくなった。

女性は川から離れて廃墟だらけの方へと向かう。若干オレが来た道とは違う方角で、倒壊した建物まで来た。


瓦礫と埃まみれの内部に入ると、女性は紐を引っ張る。

すると汚いラグマットの下が開き、地下への階段が現れた。



こんなん、よほど入念に探索しないと気づくこと出来ないだろう。


「さあ、中に入って。降りる時は気をつけてね」


そういうと手を離し、また自分で動けるようになった。

さてさて、どうなるか分からないが降りようか。



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