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虐殺



本日は晴天、ところにより銃弾が降り注ぎます。



そんな感じでオンナたちからバンバン撃たれてる。それを『イヴニング』の性能だけでゴリ押してる。

むしろ、『イヴニング』の性能をオレが活かしきれてないというべきだ。



巡回中のオンナに遭遇しても、『イヴニング』が速すぎて見つからないように回避する間も無く、敵に突っ込んで発見されまくってる状態だ。

一応、ジグザグに走り、角があれば曲がったりしてるが、目的地に近づくほど攻撃が激しくなってる。


かと言って、ノンビリ足を止める訳にもいかない。


ここまで来たら強引に行けるところまで行こう、その気持ちだけで移動した。

時折、ダッシュも混ぜ、見知らぬ廃墟をドンドンと進んでいた。



結果、辿りつけた。

マジか……。

『イヴニング』が凄すぎる。

いや、弾丸が一発でもオレに当たってたら死んでたし、オレの運が良すぎるのかもしれない。


なにせ、唯一『イヴニング』に勝ってる部分だからな。

ま、『幸運』5の効果がどの程度か知らんけど。




さてと、目的地はどうやら目の前にある、かつて駅だった場所みたいだ。

もっとも駅ビル部分は破壊され、そこに人がいるとは思えない。


とりあえず、オレのプレイスキルじゃもう一度ここまで来るのが大変なので、まずは『寝袋』を設置出来る場所を探す。その時、操縦モードの欠点を見つけた。

この命令で騎乗しててもアイテムを拾えるし、その場合『イヴニング』のインベントリに自動で入る。ただし、設置は出来ない。もっと言うと、アイテムを拾えるが、操作が難しい。ぶっちゃけ移動が速すぎて操作が繊細なんだよな。


仕方ないから、一旦『イヴニング』から降りて設置。そしていつもの1時間睡眠でセーブした。



で、ここで普通ならオンナである『イヴニング』を待機させるんだが、正直、『リフリーダム』にその配慮が必要だと思えない。しかも、現状武器は『イヴニング』しか持ってない。

その理由は、オレが武器を持ったところで、まともに撃ちあったら死ぬだけだからだ。

なにより、オレは殺しに来てる。

それこそ手段を選ばずに。




だが、懸念もある。

それこそ、レイドの基本はオフラインだってこと。相手が居ないところを狙って襲撃するのが基本中の基本だ。

それだけオンライン状態でのレイドが困難といえる。むしろ、よほどの物量で押し潰すくらいじゃないと出来ない。


その理由が色々ある。


一つは応援だ。

これは声援ではなく、文字通り援軍が来る。つまり、今インしてるのが少ない人数だったとしても、救援の連絡によって続々とインしてくる訳だ。これにより、お互い消耗戦に突入することになる。

それを愚かと呼ぶのは、人の心が分からない奴だけだろう。


一つは修復だ。

ゲームだとバランス調整の為、壊すより直すほうが簡単だったりする。これにより、せっかく弾薬や爆弾などを消費して破壊しても、そのそばから修復されるというドロ沼を味わう羽目になる。


一つは嫌がらせだ。

これはある意味敵としても最終手段と言える方法。要するに、敵に物資をくれてやるくらいなら、処分したほうがマシって考えだ。

基本的なレイドの考えは、物資の強奪である。故に貴重な物資が欲しくてレイドしてる訳だ。それを無意味にする方法になる。当然、その拠点の放棄を覚悟の上でしてる捨て身の方法になるが。ただ、例外として嫌がらせでレイドする場合もあるけど。


他にもゲームだとハイエナも湧くから、色々とカオスになりやすいが、このゲームでどうなるかは未知数だ。



で、今回のオレはある意味でオンラインレイドをしようとしてる訳だ。

もちろん、先に情報収集するつもりだけど。

だからこそ、これらの手段を『リフリーダム』の連中にやられると、めんどうになるって懸念は正直ある。



ま、それらを承知の上でここまで来てる。



だからこそ、まだここに犯人がいるか不明だけど、このまま『リフリーダム』の拠点へ潜入、じゃなかった堂々と乱入する。



中に入ってみると、廃墟となった駅ビルはやっぱ無人だった。人が生活してる感じも無い。

スティクを倒す角度を微調整しながら、なるべくしっかり確認する。

結局、ちょい移動したら立ち止まって周囲を見渡し、またちょい移動を繰り返した。



んー。

操縦は探索用の命令じゃないな。

そんな風に感じてると、地下への階段を見つける。

やたらと落書きがあり、明らかに他の場所より自己主張の激しい階段だ。


オレはそこを降りていく。


するとそこはネオン街だった。

とにかく派手な電飾で飾ってあり、統一感が無いところが逆に統一してる。

そんな自己主張だらけの地下街だ。


どの店も怪しいし、誰もが胡散臭い。


「おい、マジか。かなりの上玉じゃねーか。共同落ちのコブ付きだが、悪くねーな」


外見も言動もクソそのものみたいな汚物が話しかけてきた。

ってか『パルスのファルシのルシがコクーンでパージ』という有名な教材を知らないのか。

要は『共同落ちのコブ付き』とか意味わからん言葉を使うなってことだ。


不快だ。

これから、こんな連中と会話して情報収集しなければならないって考えると、不愉快だ。


しかも、騎乗してると会話も出来ないことが判明した。


憂鬱ですらあるが、オレは『イヴニング』から降りた。


「はっ……いい子だ坊や。たっぷり可愛がってくれる奴に会わせてやるからな。それにしても、オンナみたいな顔もたまんねーな。相当高値が付くぜ」


はぁ……

キモい

それでも会話するため、相手に近づきカーソルを合わせる。


「おっと、それ以上勝手に動くと殺すぞ。ガキはガキらしく大人の言う事を聞かないと長生き出来ないぜ」


男はそう言いながらオレに銃口を向けた。


そして銃声が響く。


毎度お馴染みすぎて、また死んだと思ってたら、死んだのは相手の男の方だった。

殺したのは『イヴニング』だ。




ナイスー。

良くやった。




つい本音が出る。

が、その銃声が合図となり、ここは戦場に変わった。次から次へと人が現れ、オレや『イヴニング』へ発泡してきた。

オレはすぐ『イヴニング』に騎乗し、ここにいる連中を殺してく。


驚くことに、『リフリーダム』の連中にAIMを合わせると、スローモーションになる。

これはオレの感覚ではなく、ゲームとしてスローモーションになってる。


その状態で攻撃する訳で、外すほうが難しい。



移動の繊細さを差し引いても、オレは蹂躙していた。




オレはここまでずっとオンナに殺されてきた。

人間と戦ってなかった。

だから知らなかった。

本当の人間の脆さを。

こうしてスローモーションになるくらい、オンナと人間には差があるってことを。

それはステータス以上に、実感させてくる。



マジで完全なヌルゲーだ。

もちろん、油断すればオレに当たるかもしれないが、『イヴニング』の移動速度と、このスローモーションのコンボがエグい。実際、敵の銃口が向く前に殺せてるぐらい、ヤバい。



ああ、これが人類が立たされている現状だ。

そこに一切の希望を与えない事実。

非情とも言える格差。

なにより、人類を絶滅寸前まで追い込んだ力がこれだ。


例のオンナがレポートで、分隊が壊滅したことに驚くのも納得だ。

これで負ける方がおかしい。

だって、この虐殺……『イヴニング』を操縦してるオレだけでやってることだ。



一応、頭を抱え震える様にうずくまってる奴。

必死に逃げようとしてる奴。

そんな連中に誤射しないように気をつけても、それでも楽勝だった。



こういう時、ボス的な存在が現れて何かイベントが始まると思ってたが、そんな認識が出来なかったくらいだ。

結果、対して時間もかからずにオレは『リフリーダム』を壊滅させた。

実のところ、オレが築きあげた死体の山に、ボス的な奴がいたのかマジで分からん。




ふぅ……。

オレは、『イヴニング』から降りて命令を警護に変更する。



先ほどまでの銃声が嘘みたいに静まり、頭が吹っ飛んでる死体と、壊れた電飾がパチパチしてる中を歩いた。



そして見つけたのは、膨大な資源、大量の武器や弾薬、無数の防具、そして壁に貼られた複数の写真だった。赤いマジックみたいなものでバツが付けられた写真の中に、マミコの写真もあった。




さらに探索すると、厳重に守られた扉があった。で、その近くにある死体のインベントリを確認すると鍵を持ってた。



オレはその鍵で扉を開ける。




その先にあったのは……

大量の『白い有機結晶』だった。



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