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分岐点



世が明け朝日に照らされてく廃墟を眺めながら、考え続けていた。



なぜ、お店が閉まってるのかを。



定休日って可能性はもう無い。

まさかゲーム内で大型連休とか採用してたら、叔父さんに文句を言うつもりだ。

ってか、叔父さんがそんな要素を取り入れるとは、とても思えない。


ならば、何かしらの理由があって営業してないのだろう。



その理由で真っ先に思い浮かぶのは、例の計画ってやつだ。

第二段階ってのが何か知らんけど、マミコが営業しないことと関係があるとしたら?



夜間、マミコがここに居られない理由……

もしくは、お店の営業より優先される作業……



さっぱり分からん。

ふと思ったのが疎開だったが、まさかそんな訳…………ないよな。

高威力の爆弾で都市区画ごとオンナを吹き飛ばす計画だとしても変だし。

だって、それだと廃墟全体に罠を仕掛ける意味が不明だし。

むしろ、敵を可能な限り誘引して一網打尽にするはず。



ヤバっ

マジで分からん。



そもそも、人類側への救済措置ってなんだ。

巡回は今のところ普通にしてるし。

オンナとのパワーバランスを戻せるほどの事が、簡単だとも思えないけど。



考えても分からないことは保留しておこう。

そう思ったオレの耳に足音が聞こえる。そして、その足音は近づき画面に男が映る。


ハイドしてるオレに気づかない男は、紐を引き地下への階段を出した。



プレイヤーに出来ないことを平然とするこのNPCはまず人類側だろう。

この世界、性別でこの重要なところが判断出来る。

だからこそ、キャラクリでの性別で女を選ぶと人類系との関係が悪化する原因なんだろうけど。


それはそれとして、この男……客、なのか?


カーソルを入り口に合わせると、さっきまで入れなかったお店に、今は入れるように変わった。

なら、行くしかない。

流石に人類側からいきなり殺されるほど、ヘイトはまだ稼いでないはず。

オレは地下へ降りた。


「おぃおぃ、到着そうそう来客とはな。少しあいつを見直したな……って、子供かよ」


子供だよ。

なんだ、文句あるのか?

こちとら、新鮮野菜持ちだぞ。

やんのか?

ラ・トマティーナ(スペインのトマト祭り)みたいに全身トマトだらけにすっぞ。


リアルじゃ抵抗あるが、ゲームなら問題ないからな。


「あっ……もしかして、お前がエロイチか?」


選択肢が出た。



上:お前が誰だ?

左:黙る

右:はい

下:いいえ



もちろん、『お前が誰だ?』を選ぶ。

ちなみに名前は知ってる。表示されてるし。

だから、この場合は何者なのかを知りたくて選んでいる。


「ははは、いいね。その歳でも男じゃねーか。悪い悪い、俺はマルイ。これでもちょっとした有名人なんだがな。そんな俺を知らないお前は……誰なんだ?」


マルイは不敵な笑みを浮かべる。

今度は、別の選択肢が出た。少し考え『エロイチ』を選ぶ。


「ははは……やっぱりな。あいつから聞いてる。この辺のガキじゃないんだってな。で、ここには取引か?」


確かに、取引に来た。

だが、今はもっと情報が欲しい。



上:マミコは?

左:武器の改造

右:違う

下:取引



オレは『マミコは?』を選ぶ。


「あいつか……たぶん、あいつとしては心配させたくないって思ってそうだが、別に口止めされてない。むしろ、この件に関しては俺たちも情報が欲しい。だから話すが、あいつは襲われ怪我をしてる。襲った連中はあいつの知らない男たちだったらしい。エロイチに心当たりはあるか?」


マルイは真剣な顔つきで尋ねてきた。

だが、知らない。

でも、犯人が男って時点で人類側だとほぼ確定してる。ま、この世界に法律なんてあるか疑問だから、犯人って呼称は不適切かもしれないけど。


とりあえず『知らない』を選ぶ。


「そうか……ま、どうせ『リフリーダム』の連中だろうが……いや、まだ確定してないのに決めつけるべきじゃないか、忘れてくれ。他の連中ってのも考えられるからな」


そして、それぞれ人類系コミュニティの選択肢が出た。



上:『人類共同体』?

左:『人類解放戦線』?

右:『リフリーダム』?

下:『母神教団』?



さてと、マルイは『リフリーダム』を疑ってるみたいだが、オレとしてはどれを選ぶべきか。

ってか、候補に『ギルド』がないのは、マミコが知らない男って条件で除外されてるのか。だとしたら、全員顔見知りって感じの余程小さな組織か、もしくは強固な情報連携をしてる組織って訳だ。後者だと、ある意味相当怖い組織だけど。



オレは『人類共同体』を選ぶ。


「人類共同体? 連中とは現在、共同歩調であることをしてる。その状況で亀裂の入ることをしでかすほどバカじゃないだろ。だが、連中は大所帯だ。目の届かない部分があっても不思議じゃねえ」


ま、どんな組織にも馴染めない連中はいるって感じか。

マルイが言うと、さっきと同じ選択肢が出た。

ってことで、順番に聞いていく。


「人類解放戦線? 連中とも共同歩調であることをしてる。まして連中は規律の鬼だ。そんなチームで動くことのスペシャリストが襲ったのなら、あいつの命が無いと思うがな。それに理由が分からん」


なるほど。

襲った相手を生かしておくほど甘くないって感じかな。

次はあえて『リフリーダム』を飛ばして『母神教団』を選ぶ。


「母神教団? 連中はそもそも襲うって行為とは無縁だと思うが。連中の狂った教義によると、誰であろうと殺されるべき、らしいからな。殺されることこそ救いっていう、あり得ない連中だ。もっとも、そのくせ自爆はするんだ。理解出来ないな」


つまり、自爆されてないから可能性が低いってことか。

最後に『リフリーダム』を選ぶ。

なんとなく、これを選ぶと会話が進みそうだったし。


「リフリーダム? ああ、連中がやったと睨んでる。自由とやらを愛してる連中には、レイプする自由もあるらしい。つまり、連中は『自由』を愛しても、『人』は愛してないんだろ。そもそも、連中にはルールすら存在しない。文字通り身勝手に生きてるからな」


要はマジで殺される覚悟のある連中が、好き勝手にしてる訳だ。

確かに、射殺や死刑覚悟ならどんな犯罪でも出来る。

ただ、そうなると、なぜ、人類側がそんな危険なコミュニティを放置してるのか謎すぎるけど。

現状、害悪コミュニティにしか思えない。ってことは、それにも何かしら理由があるってことか。


「だからな、エロイチ。どんな些細な情報でもいい。あいつをやった連中の情報を手に入れたら、俺に教えてくれ。もちろん礼はする」


マルイの言葉には明確な意思が宿っていた。

それはマミコを襲った連中に必ず報復するっていう強烈な意思だ。



…………。

選択肢でオレは『いいえ』を選ぶ。


「そうか……いや、間違ってない。子供のエロイチが関わるような件じゃなかった。俺としたことが、つい頭に血がのぼってた。すまん」


その言葉で会話を終えた。

そのままオレは取引もせずに拠点へ戻る。








報復?

するに決まってるだろ。

マミコはオレの恩人だぞ。

他の誰にもさせない。

オレがこの手で報復する。



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