悔いはない
買い物とは一期一会。
その出会いこそ運命。
だから、これは衝動買いではない。
って思いながら、オレは帰路につく。
結局、欲しかったコスプレ本は売ってなかったし。後悔もない。
それより、取引を終えたオレにマミコが言ってた内容を思い出す。
ある意味ではオレの予想通りだったが、やっぱり人類側に救済措置がとられた。
その計画の一端こそ、オレが引っかかり死んだ罠だった。要するに、廃墟全体に大量の罠を仕掛け、オンナを巡回出来なくさせる、らしい。
その後、計画は第二段階へ移行するって感じだ。
そんな重要なことをオレにベラベラ喋って良いのか疑問だが、この情報が事実か分からない。
欺瞞情報の可能性も十分ある。
そもそも、オンナじゃなくオレが罠にかかってるし。あの罠がオンナにどれだけ有効なのかも未知数だ。
なにせ相手は人間じゃない。
『特殊能力』なんてヤバいものまで持ってる連中だ。
ぶっちゃけ、廃墟全体に罠を仕掛けられて困るのは、オレくらいなのでは?
オレにはそう思えてくる。
ゲーム的いうなら、オレの探索を妨害してきてる感じだ。
実際、今も帰りながら、いつもより若干慎重になってる。若干で済んでるのは、来た道を戻ってるからだ。これが、その辺の廃墟もついでに探索しようとしたら、いつも以上に慎重にならざる得ない。
せっかく『隠れんぼは得意です』を習得したのに、その力を半減された気分だ。
少し見慣れてしまった廃墟を通る。
これが戦争なら確かに悲惨な光景だ。
ゆえに、人類がその種の存亡を賭け、オンナに挑もうしてるのは理解も出来る。
だが、同時に客観的な事実もある。
人間がどれだけ危機感を覚えても、オンナたちにそれが無いってこと。
むしろ、一部のオンナたちはその危機感が無いことに危機感を覚えてるのだから。
なにより、この戦争には強烈な違和感がある。
それこそ、戦争の代名詞ともいえる兵器が一切存在してないことだ。
空を見上げても、戦闘機も戦闘ヘリも飛んでない。
地上にも戦車や歩兵を輸送する車両も走ってない。
海は知らないが、この調子なら軍艦とかも無いと思われる。
なぜ、人間を絶滅させようとしてるはずのオンナは、兵器を使わないのか。
なぜ、前時代的ともいえる武器で武装してるのか。
この事実こそ重要であり、そこに理由がある気がしてならない。
そんなことを考えながら、オレはホームに戻ってきた。
それにしても、なんて落ち着く道路か。
これ程まで安らぎを与える道路なんて、ここくらいではないだろうか。
オレは『作業台』の前にきた。
軽く深呼吸し、心を落ち着けさせる。
これからすることは、人類の存亡とかオンナの謎とかどうでもいい程重要なことだ。
オレは目を見開き、クラフト出来るアイテムから例の物を探す。
既にかなり膨大になってるクラフトアイテム欄から、たった一つの新入りを探す。
慎重に、見落とさないように、そして見つける。
いつもより増えた列を。
見慣れないアイコンを。
カーソルを合わせ、必要素材を確認。
布……オッケー
シルク……ってなに?
いや、単語は知ってるよ。
あのシルクでしょ。
そうじゃなくて、なんで秘書の服にシルクが必要なんだよ。
叔父さんの中にある秘書像が謎すぎ。
それともあれか、どこかのセレブのお嬢様が社会経験とか言いながら、パパの会社で秘書をしてるって感じの設定なのか。
そんなキャラ、エロ創作物の中なら間違いなく陵辱対象だぞ。
もうね、登場した瞬間から特大の陵辱フラグを抱えてるキャラだから。
むしろ、陵辱される為に生まれてきたって感じだ。
あんなことや、こんなこと、色々されちゃうよ。
ふぅ……。
あとで、ちょっと秘書物を拝見してくるとして、差し当たってはシルクだ。
パッと思いつくシルク製品って、女性用下着なんだが、女性用下着を解体して素材のシルクに変えるとか……出来てもやりたくない。
と、なるとシルクのハンカチとかあるんかな?
少なくともマミコは売ってなかった。
ってか、身近にシルク製品とか無さすぎて全然思いつかない。
ただ、お店の商品を見てたら、そのアイテムを解体した時に入手可能な素材も表示されてたから、それでシルクを探すってのが良さそうではある。
んー。
こうなってくると本格的に交易が必要か。
マミコのお店にある商品も変動する可能性もあるし。
だとしたら、随時チェックしておきたいし。
で、交易ルートを確立するには、当然交易相手が必要なんだが、そうなると必然的に人類系コミュニティとの接触がある。
めんどくせえ……
もう、どうせ溜まりまくったイベントフラグがわんさか出てくるって予想がつくし。
かといって探索しようにも、目立つ『イヴニング』を連れて探索出来ないし。
いや、逆か?
今こそ、『イヴニング』を探索に連れてけるように特訓すべき時か。
なんだが、コスプレ本がドンドン遠ざかってく気もするけど。




