第三話 青緑色の流れ星
落下地点と思しき場所にたどり着いたのは、どうやら俺ひとりだった。
乗り物でも使われないかぎり、この惑星で俺より足の速い奴はいない。
だが、だからって安心はできない。
あの流れ星の光は、ほかの連中も見ていたはずだ。時間の問題でここへ嗅ぎつけてくる。
あたりには白い煙が薄く立ちこめていた。熱のある煙が肌にまとわりつく。なのに落下音は一度も聞こえていない。
あれだけの光と速度で落ちてきたのに、地響きひとつ起きてねぇって、どういう理屈だよ。
足元の感触を確かめながら、煙の中へ慎重に踏み進む。
しばらくして、霧のような煙が薄れはじめ、前方の景色の輪郭がゆっくりと浮かび上がってきた。
そしてそいつが現れた。
「……なんだ、これ……」
俺の身長の、ざっと五倍はある。
天頂が少し凹んだ、真っ白な球体。ピカピカと光沢を帯び、異常なほど滑らかな金属の表面。
その表面には先ほどの青緑色の光が、淡く、うっすらと残っているように見えた。
今まで散々スクラップの山を見てきたが、こんな素材はスラグのどこにも存在しない。
これは、この惑星のものじゃない。
そう確信しかけた時、球体の表面が脈打つように揺らぎ、そこに細い裂け目が走った。
次の瞬間、その裂け目から白い蒸気のようなものが静かに噴き出してくる。
「おいおい、マジで何だよ、これ」
思わず一歩後ずさった。
直後、煙の向こうで扉のようなものがゆっくりと開いた。
無音だ。
静かすぎて、自分の心臓の鼓動だけが耳の中で響く。
その巨大な球体の中から、さらに別の何かがコロンと転がり出てきた。
「おっと!?」
そいつはまっすぐ俺のほうへ転がってきて、ブーツにコツンとぶつかった。
「いってててっ」
反射的に見下ろす。
そこで目に飛び込んできたのは――
「あれぇ? ここって、どこ?」
十歳前後に見える、淡い緑色の髪をたたえた少女だった。




