番外編 不毛の大地と不毛の心
この世で一番美しかった国が死んだ。
そして、“かの地”は紛糾した。
「戦争を終わらせろと言ったが……」
25歳の若き守護者は、確かに戦争を終わらせた。
「終わらせ方は言われていない」
アナザーから“轟”は封印され、“雷”へと能力がかわり、雷霆も封印された。
「つまり、俺は言われた通りにした。なのに何故みんなそんなに怒っているんだ」
一番の功労者であるという意識から、一番納得していなかったであろうゼウス。
終わらせ方の乱暴さもさることながら、彼は守護者以外の命をなんとも思ってはいなかった。
沢山の命が失われ、“星の混沌化”が加速したにも関わらず…、戦争を終わらせた事のみを見ていた。
「わからない、か。当たり前だろうな、まだ、子供なのだから」
世代交代が加速していたその当時。
歴代の年長たる守護者は5人程しかいなかった。
「成人を50歳と定めよう」
そう切り出したのは、年長者の一人であり先代のサタンだった。
「……え?何で?」
ゼウスのみ不満を口に出したが、他の守護者の賛成多数により【守護者の成人は50歳】と定められた。
理由として、50歳になってからは見た目の変化が起きない事も要因の一つとしてあげられた。
そして、「人は管理者がいないと大戦を引き起こす」という事から、守護者が国を持つ事が決まった。
「……ルンビニは」
最初にルンビニの守護者を決めることになったが、誰も手をあげようとはしなかった。
「神器を渡したのは俺だ。責任をとるよ」
ギルガメッシュがそう切り出した。
「私も、お供致します」
クー・フーリンも、ルンビニの守護者に。
胸を撫で下ろした他の守護者も、各地にバラけた。
「この会議だけで、20年もかかるのか……。 守護者は時間を与えられ過ぎだと思う」
「クー・フーリン。お前は、時々おっかない事を言うんだな」
20年も経ったのだ、多少は。
二人の守護者のそんな甘い考えは、ルンビニへ踏み込んだ瞬間に粉々に砕け散った。
火山灰に埋もれた国。
王城のような場所に集まり、飢えを凌ぐ亜人たち。
そして、その国の亜人はみな痩せ細り、絶滅した種も出る程だった。
「……今さら守護者がこの国をどうするって?」
その言葉に、ギルガメッシュは答えを出せずに、、小さく「すまない」とだけ答えた。
「諦めるのか?」
若きクー・フーリンの声が木霊する。
64歳という成人を迎えたばかりの若き守護者は、希望を捨ててはいなかった。
「約束しよう。何十何百の月日がかかろうと、この国を私は再び元の姿へ戻す」
亜人たちは、うつむいたまま声をはっさない。
守護者が呑気に20年費やす間、亜人たちの20年は悪化の一途を辿るだけだった。
「私の晩年は、花と緑と子供に囲まれて終わりたい」
だから、
「どうか、皆の力を私に貸してくれ」
遥か離れたオリンポスの地で、石盤が淡く光る
クー・フーリン、ルンビニの皇太子の文字が消えた
━ルンビニの王が誕生した瞬間だった━
━これは、若き王の200年に渡る治世のはじまりの話━




