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番外編 誤算とオーディンの予言




「……200年近く残っていた寿命が消えたのは誤算だったな」


混沌の力を使えば使うほど、、頭の中は“もっと”と、この力を使う事を渇望されている気がしていた。


「適度の量など、知ったことか」



━本来あるべき場所を奪って産まれ落ちた気がしてならない━



それは、自分自身へ向けた言葉だったのでは。


「…アホらしい」


自問自答すら、彼には意味のない事だ。


呪いもそう。ままならないのは暇が潰れて良いが…、かといって自分自身の危機に直面するなら話しは別だ。


「……なんだと?」


その時…、長らく閉ざされていた、ルンビニからティベリアへの門が開いた。


「…………??」


アーサー一行が、ティベリア領へ入ったという知らせは、テスカトリポカを一番混乱させたかも知れない。


「意味がわからない」


捕まえて売ってしまうか、もしくはあの国で数十年留まらせて働かせれば大金が手に入るというのに…。

あの国の腹をいったい何年満たせるのか、わからない訳ではあるまい。


「“鷲の目”まで貸し出しただと…?」


平野でシャンバラとの睨みあいを早々に切り上げる、その瞬間だった。



「テスカトリポカ」


「……」


スレイプニルに跨がる黒衣の甲冑を身に纏う、顎ひげを蓄えた男がテスカトリポカに話し掛ける。


「オーディン、今は忙しい」


「暇な男が忙しい、か。珍しいな」


くだらない嫌味に付き合ってやっても良いが…、すっとその言葉を聞き流して踵を返す。


「年長者からのアドバイスだ。“3度の誤算は計画の終焉”だ」


その言葉に、少しだけ止まった。


「……年寄りは頭が固くてかなわんな。誤算があるなら修正すれば良い、それだけだ」


「修正が聞かない事もあるぞ、テスカトリポカ」


深い紫の瞳がテスカトリポカの背中を見つめる。


「…心を理解せねば、誤算は続くぞ」



その言葉は、テスカトリポカの一番嫌いな言葉だ



「説教なら俺ではなく、不甲斐ない息子にすると良い」


その背後で、「なんだと?」と、金色の髪が揺れる。


人の心を理解しろ?ほら、理解している。簡単じゃないか。

理解しているからこそ、人々は私の言葉に一喜一憂するのだ。


「うら若き新参者ですら王を名乗れると言うのに、未だに皇太子か、苦労するな、オーディン」


今にも飛び掛かりそうな男二人をオーディンは制止する。


「……安い挑発に乗るな、ソー、ロキ」


テスカトリポカのその足は、もう王城へと向いていた。





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