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━凱旋━春風に乗って━





朝日がアーサーを照らす。

その背後には、最後の地へ向かうメンバーが集まる。


「昨日の、本気なのね?」


オイフェがアーサーを真剣に見つめる。

疑いでもなく、不安でもない。アーサーの覚悟を確認するような、そんな問いかけだ。


「貴女は、どうして信じてくれるんですか?」


「…クー・フーリンが貴方と約束を交わした。理由はそれだけで十分なのよ」


ヘラクレスは重たい口を開く。


「俺ですら、、ネメア一人が精一杯だった。人はなかなか変わらないぞ」


その言葉の重みは十分に理解している。


しているからこそ、アーサーは微笑んだ。



「じゃあ、変えてみせようかな」



と、爽やかに笑いながら話すアーサー。


無理だと思っていたヘラクレスも、その瞬間、ふっと笑った。


「なら、その時は俺も便乗しよう」


その約束のような誓いを、トゥルムとネメアの二人は…、視線を外すことは出来なかった。





国を出るアーサー達を、、遥か後方の王宮のバルコニーからクー・フーリンは見つめていた。


「素直じゃない人」


視力10を軽く超えるオイフェの瞳には、その姿はしっかりうつっていて……。

そして、クー・フーリンの瞳にも……。


「え?」


「いいえ、さあ、この門の先はティベリア領よ」


ティベリアへの門が開いた、その直後。



反対側の国境の門が開いた。



門をくぐる大男の足は……、残念な事に既に千鳥足だった。


上機嫌に鼻歌混じりで、しかし、あっという間に王城門へと辿り着いた大男。



「…ギル様だ!!」

「え!ギル様かえってきたの!?」

「おみやげ、なんだろうね!?」

「あの甘いの、またあるかな??」



その左胸のクリスタルの証には、【ギルリー・メルシエ】の名前と、世界では唯一、4つのダイヤモンドが輝く。


「あの男は少しも静かに出来ないのか」


子供達は嬉しそうに門の外へとかけていく。



「酔った、最悪だ、今回は本当に酔ってる。あの船絶対わざと大揺れしたな…」



そして、、あっという間に子供に囲まれて連れ去られ。


「ずいぶんと楽しかったようで何よりだ」


とっぷりと日も暮れた頃、冷える城に帰宅したギルリーをチラッと見つめるクー・フーリン。

ギルリーが買ってきた薪を新たに暖炉へと追加しながら、土産だと大量の金が入った袋を机にドンと置いた。


「国境の辺りで魔法馬車の残骸があったが、、なんか知らんか?余りの惨状に、エリシオン兵が吐いてたぞ」


「さぁ、何の事だか」


「…………あまり、ゲイボルグを使うな。もう、見た目程、若く…」


クー・フーリンがその言葉を遮る。


「アーサーに“聖剣”を渡したのは貴方ですね」


「アーサーが来てたのか!?いやー、よく聖剣だと……」


「…ギルリー。いや、ギルガメッシュ王」


その真剣なトーンに、ギルリーも……


いや、ルンビニの守護者の一人であるギルガメッシュもすっと真顔になった。


「今回も、貴方の行動には賛同しかねる」


雷霆(ケラウノス)を手にしたうら若きゼウスを忘れたのか、その一言は実に重たい一言だった。


「彼等の心は贖罪で費やされる。私は、アーサーに同じ目にあって欲しくない」


若いゼウスはあの大戦以来、戦場に現れる事はなかった


「…アーサーは、違う。この混沌を晴らすべく、アナザーが遣わせた」


「アナザーの意思は、、アーサーを地上へ送るまでだ!!」



アーサーの存在は…、“現状の打開策”の一つにしか過ぎない。



「…………そうだ。全て乗せるのは、間違っている」


「なら、せめて成人するまで…」


それでも、運命に立ち向かうという意思があるのならば……。


「エクスカリバーがアーサーを選んだ。雷霆がゼウスを選び、ゲイボルグがお前を選んだように」


今までなんの反応も見せなかった剣が、、アーサーに反応した。


「俺の役割(いのち)は、正統な持ち主に神器を渡し続けることだ」



良かったな、アーサー。

この世に、一人でも本気で心配してくれる大人がいる。

幸せなことだぞ、、そう呟くと、再び陽気に鼻歌まじりで酒を飲み始める。



「それでも、私は、私だけは…認める訳にはいない」


その声からは、偉大な王はなりを潜めた。


「ああ~、いつか、誰か変わってくれないかなぁ~」


良いことをしたのに小言を言われるなんて~と呟く。


「今すぐにでも変わってやろうか?」


そうして、アーサーから聖剣ごと取り上げ石盤を叩き割り、国に送り返してやる。

そんな無言の圧力からすっと目を反らした。


「やっぱり変わらなくて良いや~」


「…………」


「しっかし、会わないうちにすっかり孫持つおじいちゃんだな~」


バン!と背後で扉が豪快に開く音と、ドタドタっと子供が雪崩れ込む音と。


「こんな夕方に何をしている。早く家に…」


「…芽が」


「芽が出たよ!!」


その言葉の意味が、、クー・フーリンには理解出来なかった。


「お花のね、芽が出てるよ!!」


「王様と、みんなで植えたやつだよ!!」


クー・フーリンの肩をポンと叩いて、よし、見に行こう!と立ち上がるギルガメッシュ。



扉の奥から流れ込む夜風は、何故だろう、とても暖かかった





━━第三章・王への目覚め━━


━━完━━




4章で終わりです。

エピローグは書き終わっていて、番外編を除き、残りは10話程を予定しております。


4月26日くらいから最終章スタート予定です。

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