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俺は、君に、月城凪として、幸せになってほしいんだ。
月城凪としての幸せ。
凪は部屋の灯りを落とした。
いつも通り、悠真からもらったあのネックレスを身に付けて。
まぶたを閉じる。
⸻お願い、開いて⸻
「凪。来てしまったんだね」
凪は振り返った。
スカートの裾が見えなかった。
「パジャマのまま」
首に手を当てる。
「ネックレスもない」
青年はどかっと座り込み、額に手を当てた。
「君を思っていたのに、俺はなんということを」
凪は駆け寄って膝をついた。
「私、あなたに何か言ったの?」
青年は、はっと顔を上げて、涙を堪えながら凪を見つめる。
「あなたは言った。月城凪としての幸せ。それは⸻」
「だめだ、凪。それを言ってはいけないんだ」
「私、分かったの。あなたが待ってる悠の言葉が何か」
「だめだ、やめてくれ。凪」
「悠は、一度も私に、愛していると言ってない。でも、私は」
「だめだ。凪」
青年は嗚咽をもらす。
「私はあなたを愛している。⸻悠よりも」
凪の服が白いノースリーブのワンピースに変わった。
青年は泣きながら凪に駆け寄る。
凪に触れないように、抱擁した。
「俺は、君を幸せにできない。欲しい物を買ってあげることも、子どもを持たせてあげることも何もできない」
「それでも、私のそばにいてくれる」
青年は、はっと顔を上げた。
「…思い出してない、よね?」
凪は首を振る。
青年は涙を拭った。
「分かった。君が何者なのか教えよう。そして悠真君にも、真実を話す」
「悠にも?なんで?」
「俺なりの、誠意だよ」
「どうやってここに呼ぶの?」
「ちょっと難しいかもな」
青年は笑みを浮かべて、また涙を拭った。




