赤ちゃんきゅうしゅつげきです。②
大変遅れました……
~視点:C級冒険者 レラ~
あたしは少し……いや、かなり混乱している…。
「だ~だ、だうだ~♪」
ソフィが嬉々として“アル”を弄っている。その隣には(何故か)腹をひっくり返して顔を脚で隠したホーンスパイダーと「******」と人間には解らない言葉で話すお義姉ちゃん。時々「キュピーーーー!!」とヤツが叫ぶ声が部屋に木霊する。
………うん。訳が解んない。どうして何がどうなってんの?
◆◆◆
少し前
「ソフィから離れろーー!!」
「キュピヒュ!?」
あたしはソフィからアイツを離すため、近くに有った戸締まり用のつっかえ棒を手に取り振り下ろす!
だけどアイツは即座にソフィに糸を絡め、その場から跳躍しあたしの一撃を避けた。そのまま壁に張り付いたアイツは次々に糸を発射。あたしはお義姉ちゃんの前に移動し、棒を廻して糸を弾く!
「キュピ、キュキュピッ!!」
「え?ええ?」
アイツが何かを叫ぶ。お義姉ちゃんは突然過ぎる出来事にまだ混乱してるみたいね。あたしがしっかりしないと!!
「食らえ!!≪ストライク≫!!」
あたしはヤツめがけ、≪ランスマスタリー≫の≪技≫、≪ストライク≫を放つ。≪ストライク≫は槍で相手を突き刺す≪技≫だ。今持っているのは棒だから突くだけだけど、威力が低い分ソフィが人質に取られている今に最適だ。
「キュビッ!!」
ボッ
ヤツはあたしを迎え撃つかのように角から火の玉出した。爛々と揺れる緋の玉。ワンズバーの言っていた通り、アイツ≪炎≫を操るのね。あの色は≪火魔法≫の色じゃないもの…。
「キュビッ!!キュビビーーー!!」
ボンッ、ボボボッ!!
ヤツが焔と化した玉を発射する。あたしは≪ストライク≫を中断。棒を振り、薙ぎ消そうと焔に障った。
―――――ボグァッ
瞬間、焔が破裂した。
「なっ!?」
「キャッ!?」
「…!?」
「だう!?」
突然の爆発。
あたしの手に強い衝撃が走り、棒が弾け飛んだ。
カァーーーーーーンーーー…
弾け飛んだ棒が壁にぶつかり、何度か跳ねた後床に転がる。アイツに突き刺そうと思っていた棒の尖端は焼け焦げ、破裂したかのように刺々しい凹凸を生んでいた。
…まさか、今のは≪ブレイクフレイム≫!?嘘でしょ!?≪炎魔法≫の中でも、爆発する魔法はかなり上位の≪スキル≫な筈!?アイツ、まさかワンズバーが言っていた通り、本当は≪変異種≫以上なの!?
「キュ~ビ~~!キュビッ!!キュキュキュキュビッ!!」
ヤツがあたし達を見下し、何かを叫ぶ。何言ってんのか解らないけど、何がなんでもソフィだけはたすk「はぁ!?奴隷!?ちょっ、どう云うことなの!!レラ、あんた達……この子を奴隷にするつもりなの!?」
「はぁ?」
突然声を挙げたのは今まで傍観していたお義姉ちゃんだった。そして、その腕にはいつの間にか居たお義姉ちゃんの使役獣の1体、ジャイアントアントの“アル”アルン。
「はぁ?お義姉ちゃん何言ってんの!?あたし達がそんな事するわけ無いでしょ!!」
「でも、あの子が『あんた達がイケナイ事仕込む前に僕が赤ちゃんを守るんだーー!!』って言ってるわよ?アルも『赤ちゃんを変態にさせないッス!!』って言ってるし…。」
「はぁ?変態!?なんであたし達がソフィを変態にするのよ!?それに『あの子』?『あの子』って誰よ!?」
「えっ?“あの子”よ。」
そう言ってお義姉ちゃんが指差したのは――――
「………きゅぴ?」
あの≪変異種≫のホーンスパイダーだった。
そしてあたしは思い出した。そうだ、リリーフィアお義姉ちゃんは≪使役者≫。それも虫と話す事ができ、虫を使役する≪職≫、≪蟲使い≫だったことを……。
◆◆◆
~視点:ニコ~
え~…こほん。おはようございますです…。それともこんにちは?まぁどっちでもいいです…。そんな事より速報です。
【速報】 商人さんは奴隷商人ではありませんでした。
………ええ。僕の勘違いだったようです。確かにあの犬の少年は奴隷らしかったのですが、商人さんは商人さんでも奴隷商人ではなく、塩商人の人だったようです…。あの犬の少年を殴り蹴りしたのだって、僕に奇襲された腹いせとかではなく、犬の少年が赤ちゃんと冒険者のご夫婦に大変失礼且つ教育に悪い発言をした自業自得だったようです…。うん。赤ちゃんの教育に悪い事を言ったんならしょうがないです。
『え、え~と…間違いって、よくあるわよね~…。』
『そ、そうッスね~…。』
そう言うのはアルアルンさんとアルアルンさんのご主人様のリリーフィアさんです。1人と1匹共何処か遠くに泳がせながら話さないでください…。
さて、そうなると僕は只の不法侵入者です。部屋を盛大に大きい穴やらベトベトな糸だらけにした建築物・器物損害&部屋荒し魔でもあります。オマケに人に怪我させた犯罪者です。勘違いとはいえ、許されることではありません。もう煮るなり焼くなり好きにしてください…。
そんなわけで、現在まな板の上の鯉ポーズなうです。自分の行き過ぎた被害妄想に顔から火が出る思いです…。あ、ちょっとそこの赤ちゃん、脚どかそうとしないでください…。顔からは何も出ませんから…。
『え、ええっと~…。あ、そうだわ。ちょっと貴方に聞きたいことが在るんだけど、いいかしら…?』
ポンッと手を叩き、リリーフィアさんが僕に問いかけてきました。
『はなし…?なんですか?』
『ええ。この子、ソフィちゃんの事なんだけど…。』
少しばつが悪そうにリリーフィアさんが声を小さくして聞いてきます。……そうか、この子“ソフィ”って名前なんだ…。
リリーフィアさんの話とは、この子の情報についてでした。
リリーフィアさんは≪蟲使い≫と言う蟲を操るご職業で、配下である蟲さん達にソフィちゃんの情報を集めさせたらしいのですが、どうやらこのソフィちゃん、情報が無かったそうです。この辺り一帯、この街(アイノンの街と言うそうです)は勿論の事、僕達が居た森(グレートクリスの森と言うそうです)もその先に在る幾つかの街にも配下の蟲さんを飛ばしたらしかったのですが、収穫はまさかの0。四方八方に足を伸ばさせても駄目だったみたいです。
『唯一の手掛かりはこの服よ。こんな≪スキル≫が4個も5個も付けられた服なんて、着れる人間は大貴族でもそうそう居ないわ。こんなの作れるのは本当に一握りの人間だけ。けど、残念なことにこれも何処の誰が作ったのか解らなかったわ…。この子の情報が本当に無いのよ…。分かったのは“ソフィ”と言う名前だけ…。だからお願い、貴方の知っている情報だけでいいの。知っている事をアタイ達に教えて。』
凛とした瞳で僕を見つめます。う~ん…。そう言われましても、僕だって情報何も持ってませんよ?僕だってこの子の情報知りたいくらいですし…。それ以前に名前だってさっき初めて知ったんですよ?この子の事なんて、精々叢の中に置かれていた事くらいしか分かりません…。ついでに云うと、その服、僕が製作者なんですけど…。あれ?その服、そんなに凄い事になっているんですか?確かに『赤ちゃんが寒くなりませんように~。』とか『着心地よくな~れ~。』みたいな事考えながら製作しましたけど…。え、そんなに凄いんですか?コレ(製作者が僕であること)……話さない方がいいですかねぇ…?
『……そう。やはり、貴方“契約獣”だったのね…。』
「え?」
僕が何を話すべきかをウンウンして考えていたら、リリーフィアさんが顔を伏せ、何かを諦めたように笑いました。…とりあえず、“契約獣”ってなんですか?
『分かっていたわ…。貴方の頭がいい時点で何となく判ってた。“考える”って事は、それなりに知能が在るって事。そして、そのモノサシを教えた人間が居るって事。つまり、貴方は誰かの契約獣で、『この子を護る』事を命令されてるって事よね?アタイも≪蟲使い≫なんだから、それくらいの推測出きるのよ?となると…この子、かなりヤバい所の子なの?3属性も≪魔法≫が使える魔獣を子守にするなんて…そうとう凄い奴ね、貴方のご主人様は……。』
ソフィちゃんのほっぺをフニフニさせながら、もう詮索を諦めたリリーフィアさんが零すように聞いてきます。……すみません、自信満々に言ってますけど、それ外れです。僕にご主人様なんていません…。頭いいのだって、元々人間だったからなんです…。にしても…あれ?“3属性”?何を言っているのでしょうか?僕が使える魔法って地・雷・炎・闇の4つなのに…んん?もしかして、どれかをかん違いしているんですかねぇ?口振りからして、3つの属性が使えるのは珍しい事みたいです。んむ…何やら面倒な事になりそうです…。魔法の属性の数の事は黙っていましょう。そうしましょ。
僕はそう判断し、とりあえず話せる限りのソフィちゃんの事と今は誰の契約獣で無い事を話ました。…頭がいいのは前にご主人様がいたから、と勘違いしてくれた方が色々言い訳出来そうですしね…。嘘は言ってませんよ?
『そうなの…。ねぇ、ちょっと相談が在るんだけど、いいかしら?』
話した後、リリーフィアさんは少し考え込み、口を開きました。
『ねぇ、貴方、
――――アタイと“契約”しない?』
………Boah?
大変遅れて申し訳ありませんでしたーー!!(ジャンピング土下座)
そして、誠に申し訳ながら最近仕事が忙しくて書く時間がありません。ので、コレを最後に12月まで更新を中止します。本当に身勝手ではありますが申し訳ありません!!
誤字、脱字を見つけましたらご報告ください。




