きゅうしゅつだいさくせん!!です。
間違えて昨日に1話更新していた件…。ご免なさい間違えてました。
続きの2話目。3話目は13時に更新します。
一方その頃、
ライゴウはリンが拐われた事を告げるとそのまま気絶。現在カトレアが必至の看病をしていた。
ニコはというと、リンが拐われた事を知った途端、今まで自分を拘束していた蔓を≪クローシェン≫で腐らし脱出。パラシュート無しのフリーダイブだったが、そこは蜘蛛。途中から近くの木に糸を発射し、そのままライゴウが来た方向へ飛ぶ。
ニコは、高所に宙吊りされた恐怖もカトレア受けた敵意も全てを忘れ、ただただリンの下へ。体は舞い、心は焦燥し、頭にはあの日、リンが丸と棒で作られたと見間違う程痩せこけた、ニコが知る中で最も死に近かったあの姿が浮かぶ。
カトレアが気づいた時には、もはや姿の片鱗すら見えなかった。
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不思議な事に、ニコはリンの姿をすぐに見つけた。
それはニコが持つ称号≪ゴブリン(特異種)の絆≫の効果の1つで、よほど距離が開いていない限り相手が今どの位置にいるか分かるというものであった。当然この事をニコは知らないし、リンはニコがそんな称号を持っている事すら知らない。完全ストーカー的称号である。…後に、コレがトンでもない騒動を巻き起こすのだが、それはまたいつかの話。閑話。
ニコが見て、先ず始めに感じたことは、“リンが生きている”という安堵だった。ライゴウに比べ、大した傷も無い。それだけでニコは泣き崩れる思いだった。微かに上下する背中が、リンが生きていると告げる。
ニコにとって、リンは初めて自分から作れた友達だ。
前世でも勿論友達と呼べる人間は居た。彼等は全て、向こうからニコに近づいてきてくれた者達だった。勿論それは嬉しかったし、友達に飢えていたニコには彼等が聖君のように感じる程であった。
だが逆は、ニコから近づいて友達になってくれる人間はいなかった。
前にも語ったが、ニコの前世の顔は本当に怖い。それに加え病弱な体からくる青い顔色はまだ幼い子供達にとって、正に銀幕世界のUngeheuerのごとき存在だった。
近づけど近づけど離れてゆく自分と同じ筈の子供達。
結果、ニコは諦めた。
友達も、健康な体も諦めた。
家族が愛してくれる。本やテレビ、様々な娯楽が自分を楽しませてくれる。
ニコは、それで充分だった。それで充分だと、ニコは諦めた。遠く異国の地、欲したモノを全て諦めた後に只でさえ弱かった体が更に弱ったあと、望んでいたモノが出来たのはとんだ皮肉である。
だから、ニコにとってリンは本当に大切な存在である。
その存在は前世の最愛の家族…程では無いが、月見里や一ノ瀬、後藤や宙達と肩を並べる程…いや、既に天秤が傾く程大きな存在になっていた。
だから、次にニコが感じたのは、腸を煮千切らせるような憤怒。全身の毛を逆立て、慟哭を、叫びを、目の前に映る全てを破壊してしまいたい程強烈な衝動。
ニコは諦めてきた。
だからこそ知らない。諦めたくない執着を。手離したくない独占を。手からすり抜ける…拙く脆く、淡雪よりなお儚い愛を。
全身に駆け巡る、感じた事のない衝動。もしそれに色が在るとしたら、きっと黒であろう。赤も青も黄色も緑も、全部を混ぜて、呑み込んだ獄炎かのように揺らめく黒。
全てをその衝動に委ねようとするニコを留ませたのは、以外にも前世の記憶であった。
ニコがまだ祖国に居た頃の話である。
ニコは一度だけ、母の実家に誘拐された事があった。その後その門を叩くことは無かった。が、その時の記憶は今でもハッキリ刻まれている。
“歯を向けられたなら牙で砕け。血は池に、身体は焔に!!”
母の家は、軍人の家系であった。
旧くから続く、生粋の名家であった。
その中でも最も緋を纏い、残虐と云われる人物。曾祖父に、ニコは似ていた。 ニコは、曾祖父の代わりと成るべく、其所に連れられた。
その曾祖父が遺した言葉、それをニコは血が繋がった者達から、血族達から延々と、延々と、呪言のように綴れられた。
なんとかニコを奪還した後、彼等は故郷を棄て日本に来た。
ニコはその時の事をよく覚えていない。気がつけば日本に来ていたぐらいにしか覚えていない。だが、それでも刻まれた傷は覚えている。
(さて、どうしましょうかね?)
ニコはリンを見ながら考える。相手は自分の倍。人数的、体格的、全てが上回っている。
だからこそニコは考える。考えて、考えて、どうすればリンを助けられるのか?どうすればリンを安全に救えるのか?
どうすれば“大切な存在に歯を向けたら奴等を噛み千切れるのか?”
ニコは蜘蛛だ。捩じ伏せる力が無い。踏み潰す足も無い。在るのは無限に生み出せる糸と身軽な身体、小さい角と更に小さな牙すら生えぬ口だけだ。
リンを連れた一行が集落に着く。……ボロい簡易なテントみたいなのが幾つかあるそこが集落らしい。
リンがそこの中央に位置する大きな檻に容れられた。他にもラビットや大きな鼠モドキ。様々な蟲等々…雑多な生き物達が収容されていた。
「……!!……!!」
「!!……!」
檻の中で生き物達が喚く。リンは轡をされたままなのでじっとしていた。
ニコは遠目から観察する。一キロも離れた風下で観察してる上に、最近ずっと木の所で生活していたニコは木の薫りを纏っていた為ウルフ達もゴブリン達も誰も気づかない。……そして、ニコは気づいた。
(あの檻の中は……全て変異種?)
正確には特異種や亜種等が居るのだが、それは正解だった。
その後も続々と火を吹く黄色い小鳥やら水を纏わせ浮く緑色の魚やらが檻に容れられていく。
つまり、策も無しに行けば自分もこうなっていたと云うことだ。
策を考えているニコはあるゴブリンに目が留まった。
そのゴブリンは集落の中にいる時はウルフ共に引き付けられていたが、集落の外れのある一点。そこに足を向けるとウルフ共が足を留めた。そのゴブリンはそのまま足を進め、ある所まで行くとそこに蹲り、暫くすると何事も無かったかのように立ち上がり、集落に戻っていった。……若干、ウルフ達は距離を取っていた。
ニコはそこを注視し、見つけた。
(ああ。イイモノミツケタ。)
ある筈の無い表情が表に出る。
それは駄々を捏ねた子供が念願の玩具を買って貰えたような、大切な人から花束を貰ったかのような満面の笑み。
もし、彼がまだ人間で、この場にあの血族達が居たらこう言っていただろう。
『曾祖父様にそっくりだ。』
と。ニコは、 あまりにもその曾祖父に似ていた。
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夜
視点:リン
(どーすっかなー?コレ?)
檻に容れられてから大分時間が経った。ジジイ、大丈夫かな?翼が折れて無かったっつーだけで、他はけっこー血で汚れていたし、よく自慢してくる胸の羽もズタボロだったし…ちゃんとニコ達の所に着けたかな?
オレの周りには同じようにここに容れられたのがたくさん居た。……その大半が動物とか魔獣だったけどな。オレはコイツラと同類かよ!!
「つけるゾ。」
ボッ
暗くなってきたので、松明に火がつけられる。なんか、前に居たときより集落の連中が暗くなってる気がする。今のこの暗闇みてーな感じに。どよ~~んとして暗ぇ。やっぱあれか?ウルフ共にいいようにされてっからか?
檻に容れられてからずっと集落の奴等を見て思った。やっぱコイツ等、ウルフ達に使われている。
あとも1つ、ウルフ共はなんか待ってるんぽいんだよな~。夜になってからそわそわしてる。……何となくだが、親玉でも待ってんのか?集落の中にソレっぽいの居なかったし、多分合ってる?
「ゴ、ゴーだいすっベ。」
「ぐきゃっ。」
檻を見張ってる奴等が交代するみたいだ。何となく目をもっていく。……なっ!?
「こふささ(ゴブザザ)!?」
「……ひざじブリ。ねーちャん。」
見張りはオレの弟。ゴブザザだった!!なんで…って、今のオレにはカンケーネーか。
「はふしひひた(ナニしにきた)?」
オレは床を転がり、背を向ける。ゴブザザは家族の中で唯一オレに石を投げなかった奴だ。……庇いもしなかったけどな。笑いに来たのか?
「今、出ス。」
そう言って、奴は檻を開けた。……開けたぁ!?
「ねーちャん!早く!!デテ!!」
「えふっ?ふぇっ!?ふぁつ!?」
檻を開け、早くオレに出るように促す。……ちょっと待て。何がどーなってんのかわかんねぇゾ!?
「早く!!早ク出る!!奴が、奴が来ル!!」
必死に出るように促すが、コッチは手足縛られてる上に口にもなんか巻かれてんだぞ!!動けるか!!
しびれを切らしたのか、ゴブザザが檻の中に入ってきてオレを担ぐ。担ぐ前に、コレ外せよ…。
「ねーちャん。頼ム、早くドッカいっテくれ。奴が、奴が来たらオシマイだ…!!」
集落の外れまで来ると、やっと解いてくらた。うわ言みてーに「アイツが…アイツが…。」っつってけど、アイツって誰よ?
「おいゴブザザ。逃がしてクレっのはアリガテーが、アイツって誰だ?」
「いーカラ早く!!」
ドンドン顔を青くするゴブザザ。しゃーねーから逃げる事にする。……なんか、今日は色々在りすぎねーか?
もふっ
「ごふぁっ!?」
「ヒイッ!?」
1歩を踏み出した途端、もふっってした何かが顔に当たった。
割とブラック…もといヴァーミリオンなニコの御実家。母親はこの家が嫌で出ました。
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