視点:リン②
本日3話更新。
1つ目
「うがふふがぎふぁ!!(放せ放せこの犬ッコロ共!!)」
オレはウルフ共に捕まり、何処かへと移動させられていた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
数十分前。
「クケ。」
「オッ!ゴロキノコだ♪」
オレとジジイは修行より先に食いもんを集めていた。腹が減っては動けねーし、先に食いもん探しておけば思いっきり修行出来ると思ったからだ。
「へへへ♪大量だゼ♪」
目の良いジジイが食いもんを見つけ、オレが採る。この方法は当たりだった。オレが産まれるより前からこの森に住んでるだけあって、ジジイはキノコやら木の実やら食えるもんの場所をスゲー知っていた。お蔭で今まで見たこともないような大収穫だ。ジジイ様様だぜ♪
「クケ?クケケー。」
「んギャ?どーしタ?ジジイ?」
ジジイにつつかれ、ジジイの目の先を見る。目を凝らしてよーーーく見ると、先には1匹の……え~とそうだ。確かビラカっつー名前のドデケェネズミがいた。ビラカはニコの10倍くれーデカケェネズミだ。ゴブリンじゃあ3人かかりでやっと仕止める事の出来る魔物だ。
「クケ。」
「なるほどナ。わかったゼ。」
『今までの修行の成果を見せてみろ。』って、言われた気がした。
オレは今まで採った木の実やらをジジイに預け、ゆっくりと、草木の影に隠れながらビラカに近づく。
もっちゃもっちゃもっちゃ
幸い、奴は飯の時間だったようだ。ひたすら口に草を詰めてる。…よっしゃ。気づいてねぇぞ♪
オレはゆっくり近づいていき、奴の後ろにたどり着いた。
ドッグドッグ、胸ん中が痛くなる。息を止め、胸を落ち着かせる。これもニコに教えてもらったモノの1つだ。少し苦しくなってきたくらいに辞めるのがポイントだ。
「……ぷはぁ。」
……うし。だいぶ落ち着いた。
手に魔力を込める。奴に狙いを定め、草むらから勢いよく飛び出した。
「!?」
そこで漸くオレに気づいたのか、奴はおもしれー顔をしていた。逃げようとする奴より早く、オレの右手が奴の頭を掴む。
「≪ブレイクフレイム≫。」
ボンッッ!!
「キュガッ!!」
右手で≪ブレイクフレイム≫を発動させた。≪ブレイクフレイム≫は爆発する炎だ。それを受けた奴は短い断末魔をあげ、草の上に倒れた。
「クケ!」
『見事だ。』そう言われた気がした。
「……おう。」
オレは、強くなってる。≪ステータス≫の数値以外で、漸く実感出来る事が出来た。
◆◆◆
「うしっ!だいぶトレたな。」
「クケ♪」
あれから木の実は勿論ビラカ・ラビットあとキャタスト等々色々な奴を狩った。……うん。やっぱオレ強くなってる!!昔はキャタストでさえ満足に獲れなかったのに、今じゃビラカですら傷1つつけねぇで狩る事が出来てる!!スゲェ。スゲェスゲェスゲーよ!!
「クケ!」
ガッ
「アデ!?」
盛り上がってたらジジイにつつかれた。ジジイの嘴は地味にイテェ。『傲るな!』っつってんのか?ニコかバー様が居れば分かるのに…。何もつつかなくてもいーだろ?
食いもん探しはこれで終わりだ。オレ達は修行に使えそーな拓けたとこを目指し、足を進めた。
「(ぼそっ)……くけ。」
「(ぼそぼそっ)……あぁ。気づいテるっつノ。」
ガサガサガサッ
大体ラビットを仕止めた辺りからかな?ガサガサガサガサ音が聴こえるようになった。ゴテーネーにスゲェ視線と殺気のオマケ付きで。……下手くそだが、間違いねえ。これは尾行だ。
チラリと、気づかれないように辺りを見た。……音の主は、ゴブリンだった。しかも、オレが住んでいた集落の奴等だった。何、しにきやがったんだ?
「クケ。」
『誘い込むぞ。』って言ってる気がする。オレはジジイの案内の下、進んでいった。
「デ?なんノよーだテメーら。」
「「「!?」」」
森の拓けたとこに着いたオレ達はそのまま振り向き、尾行してきた奴等に問いかける。ったく。これだけでガサガサ音立てっとは、……情けねぇ。ニコ相手に鍛えられたオレの“カクレンボ”の勘、嘗めんじゃねぇぞ。
隠れてても無駄だと思ったのか、ぞろぞろ奴等が姿を出す。……えぇと、ひーふーみー…7人か。うん、今のオレとジジイでなんとか出来る数、かな?
出てきた奴等を睨む。今のこの季節、食いもんはこの通りたんまりと在るし、集落の方もそろそろ子立ち(そのまんまの意味だ。んーと、ニコ風に言うと…“ドクリツ”?)の時期だから人にも困ってねぇ筈だ。つまり、集落を出たオレに構う理由はねえ。そもそもオレは集落の厄介者だった。そんなオレに、わざわざこそこそ後付けてくる理由なんざ1つしかない。
「リン。
頼む。戻っテキテくれ!!」
「ケッ!!やっぱリオレを殺しn……ハ?」
手と膝を地面に付け、オレに向かって「モドッテキテくれ!!」だの「頼む!!」とか、何度も何度も頭を地面にガンガン打ちつける。……え?意味が分からん。
「えっ?エッ?はぁ?」
「クケェ?」
“オレに集落に戻ってきてくれ”だぁ?
ちょっと待て、オメェラ、オレを殺しにきたんじゃねぇのか?つかオメェラ、オレの事疎んでたよな?なんで急に?
「頼む!!こんトーリダ!!(ガンガン!!)」「リン!!タノム!!(ガンガン)」「オネゲーシマスダ!!(ゴン!ゴン!)」
ガンゴンガンゴン…何度も頭を地面にぶつける。……訳わかんねぇ…。
「……なあ、ジジイ。どーすル?」
「……クケェ。」
オレもジジイも戸惑った。……なんせ、攻撃してくっと思っていたから今の状況は考えてもなかった。つか、こんなんするなんて誰も考えらんねぇだろ?付けられてた時、殺気感じたし…………ん?
そこで、違和感を感じた。
あの時感じていた殺気は、オレ達の周りから常に感じられたからだ。だが、コイツ等はオレ達の後ろから出てきた。……ヤベえ!?
「ッ!!ジジイ!!コレわなd「ガウッ!!」……グギャア!?」
「クケーーーー!?」
ジジイに呼び掛けた瞬間。茂みの中から灰色のナニカが飛び出し、背中を鋭いナニカが削る。
幸いな事に、削られた場所はちょーど“ちゅにっく”の背中部分で、布が攻撃を吸収してくれたのか、大したダメージはなかった。だが、衝撃までは吸収してくれなかった。強烈な衝撃に、オレは前に倒れた。
ガサッ…ガサガサガサ
顔をあげると、そこには複数のウルフ。……糞が。コイツ等、ウルフを手懐けてやがったのか!!
オレに頭を下げていた連中はいつの間にか起き上がり、オレの手足を縛り上げる。その目はどす黒い、まるで糞場(ゴブリン達の便所の事)の土みてーな穢ねぇ感情。……へっ。やっぱコイツ等、オレを殺す気だったか。可笑しいと思ったぜ。
「クケーーーーーーーー!!」
甲高い声が響く。……ヤッベ!?ジジイ!!ジジイ無事か!?
声の方を向けば、そこには1匹のウルフに左翼を咬まれ、ブンブンブンブンと玩具のように振り回されるジジイの姿が!
「や、やm「ダマレ!!」ギャ!?」
ガンッ
頭を蹴られ、目の前がチカチカする。頭の中がぐわんぐわんして気持ちわりぃ。蹴ったのは、真っ先に戻ってきてくれと頼んだ奴だった。
眩む視界の中、何回も何回も灰色が黄色を弄ぶ。頭の上でごにょごにょごにょごにょなんか言ってるが、よく聞こえねえ…。
視界に映る黄色に、段々と赤が混ざる。……血、なのか?ジジイ、血を流してるのか?
甲高く響いていた声も、段々と小さくなっていく。……やめろ。ジジイは、ジジイは関係ねぇ。
「や、やm (ガッ)ゴグッ!?」
腹を踏まれ、息が一気に出る。ジリジリと踏まれ、息ができねぇ…。
「く…け…ぇ……。」
今まで聞いた事がねぇ、弱々しい声が聞こえる。
歪む視界には、灰色に踏まれた赤が混ざる黄色。……やめろよ。じじぃは、じじぃはかんけいねぇんだ。ころさないで…。たのむから。たのむからたすけてくれよ!……たすけて。たすけてたすけてたすけてくれ!!
(……ニコ!!)
ズンッ!!
「「がふっ!?」」
「「ギャッ!?」」
「「ケッ!?/ガハッ!?」」
突然襲いくる恐怖。全てがグチャグチャに壊され、混ぜられ、体の真ん中を無理矢理潰すようなこの感じ、……ニコの≪威圧≫か!?
なんでニコが≪威圧≫を使ったのか?あの時より威力が上がっている気がする…。色々うかんだが、奴等が動きを止めた。コレはチャンスだ!!
「≪ブレイクフレイム≫!!」
ボンッ
「ワフッ!?/ギギャ!?」
オレは地面に手をつけ、≪ブレイクフレイム≫で爆破し、反動を使ってジジイに乗っかってるウルフに突撃する。ついでにオレを踏んでいた奴等を驚かせてやった。いい気味だぜ!
「ガッ!?」
ウルフを弾き飛ばし、ジジイを見る。……血が出てるが、翼に折れてる様子はない。
「ジジイ飛べ!!飛んで、ニコ達に知らせてくれ!!」
オレがそう叫ぶと、ジジイは頷いて空に消えてった。少し光っていたから多分≪ライトニング≫を使ったのか?スゲー速かった。
「……この糞ガキ!!」
ガンッ
「ぐきゃッ」
頭を殴られ、闇に沈む。
「追いかけろ!!」だの「がふがふ」聞こえっけど無駄だ。空飛んでるジジイに、テメーらが勝てる訳ねーだろ。
(たのんだ…。ジジイ……。)
オレは、意識を手放した。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
(で、目覚めたらコレだよ。)
目を覚ましたオレは、手足に加え口にも布を咬まされ、狼の背に乗せられていた。
何度か転げ落ちたり背中の上で暴れたりしたが、その度に周りにいるゴブリンに殴られ蹴られしながら進む。
そんで気づいたんだが、
「ガフッ!!」
「ギャ!?ゴ、ゴめんなサイ…。」
さっき、アイツ等がウルフを手懐けてるっつったよな?どうやら違うみてーで、“ゴブリンがウルフに使われてる”みてーだ。
今だって、転けた奴にウルフが一鳴きしてさっさと来るように命令していた…気がする。
正直、どうなってンのかまだわかんねぇ。
オレは疑問を持ちながらも進む。
ああ、見慣れた景色が見えてきた。
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