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視点:リン

     キュピーー!!

  クケー!!

バジィッ ドゴゥ……


 ニコがオレを勘違いしてた事が分かってから、5日くれー経った。

 まさか、ニコがオレを雄だと思ってるとは思わなかったぜ…。あんあと、突然泳げねーのに川に飛び込んだりして大変だった。暴れるアイツの頭に1発拳骨落としてなんとか大人しくしたが…。確かにオレは言葉ワリーしガサツだとはいえ、そんなに雄に見えっかな…?ちーとばかし傷ついたぞ?


シュシュン…ドゴッ!!

      バチチッ…ドオーー…ン…


『さて、それでは次にこの枝に灯してみてください。』

「……ホーイ。」


 カトレアのバー様が5本枝を生やし、1番遠くの枝を指す。距離があっても炎を生む訓練だ。“こんとろーる”?ってのを養う訓練らしいが……オレはけっこー苦手だ。1本だけとか無理……全部一気に灯した方がカッコイイしスゴソーだろ?

 …因みに、ニコの奴はたったの一発で出来てた。この間チラッて見た時、バー様が呆れたよーな顔で『…合格ですわ。』って言ってた。……アイツ、なんで出来んだよ…。オレより炎の扱い上手くなってねぇーか?


 えっ?ニコ?アイツは今どうしてるかって?ニコの奴なら…


「キュピーー!!キュピキュピーーキュー!!」

「クケー!!クケケクケーー!!」

ヒュン…ヒュヒュン

バチ…バチチバチッ


ド………ッゴーーーン


 なんか知んねぇけど、オレを雌と知った日から隼のジジィとずっと訓練してる。……はっきし言って、オレはこーチマチマした魔法の訓練より体動かすのが好きだからさっさと代わってほしい。ニコだってどっちかっつーと魔法の訓練のが好きっつってたし…どしたんだアイツ?この新しく作ってくれた“ちぇにっく”っつー服。着心地いーけど、腰布じゃねーから落ち着かねー。「絶対にコレ着てください!!」って言われて着たけど、腰布に戻っちゃ駄目か?


「キュー………ビーー!!」

……バチ。バチバチバチバチ!


 ニコの体から黄色くて鋭い光が(ほとばし)った。最近よく見る色の線と独特の音。……まさか!!


「ゲッ!?アイツ、また(・・)新しい≪スキル≫覚えたノかよ!?」


 よく見るっつか、明らかにそれは隼のジジィの十八番、≪雷魔法:ショック≫だった。ニコはカトレアのバー様に魔法を教えて貰うようになって、ドンドン新しい≪スキル≫を覚えたり作ったりしてる。今新しく覚えた≪ショック≫や教わり始めてすぐに覚えた≪テレパス≫がいい例だ。なんでもジジィと「イシソツー出来ないのが不便ですね~。」って始めにバー様から≪テレパス≫教わって、ものの数分で覚えてた。オレはまだ出来ねーけど、アイツはもうジジィの通訳が出来るくらい≪テレパス≫のレベルが上がってるらしい…。どんだけ覚えんのハエーんだよアイツ!?


『コラ!集中!!』

「お、オウ…じゃなくてハイ!?」


 バー様に叱られ、オレは目の前の枝を見る。集中。


(え…と…。1番奥、火、少しだけ…ぽっ…て点く感じで……)


 オレは目を閉じて、1番奥の枝だけに火が灯る想像をする。このやり方はニコに教えてもらった。目を閉じて、イメージだけでやると割と上手くいく。


「(ぼそっ)……≪ファイア≫。」

ボボッ


 スキルを唱えると、炎の音がした。成功したか?そう思いながら目を開けると…


『ハイ。やり直しですわ。』

「グギャァ…。」


 最後から1番と2番目、2本の枝に火は灯っていた…。くそぅ、また失敗かよ…。いくら上手くいくっつったって、オレではここ止まり。どうしても1本だけ~とか、ここだけ~とか範囲を狭くするのが出来ねぇ…。ニコ、もちっとコツ教えてくれよ…。


『焦る事はありませんわ。あの子がオカシイのであって、貴女も普通の小鬼達と比べれば目を見張る程成長が早いのですよ。……本当に!あの子が!オカシイ!!の、ですからね。』


 肩を落とすオレを励ます為か、『ニコがオカシイ!!』を、態々強調して話すバー様。……うん。ヤッパ、ニコがオカシイのか…。


『少し休憩にしましょうか。その間に、どうすれば出来るかをよく考えてみてください。』


 そー言ってバー様は樹の中に消えてった。

 オレはバー様の言ってた通り、どうすれば1本だけ灯す事が出来るようになるかと考える。


 ……が、どーしてもいい考えが浮かばねー。


「……オレ、強くなってンのか?」


 こうなんかにぶち当たると、どうしてもそこから動けなくなる。エーイ、辞めだ辞め。一旦考えるのちゅ~し~。

 こうなった時は、コレ(・・)を見るに限るぜ!!


(≪ステータス≫)


 オレはニコに教えてもらった秘密(・・)の呪文を心の中でそっと唱えた。


ポーン

(name リン


Race ゴブリン(炎) (特異種(ユニーク))


ability ギフト


HP 122/156

MP 13/30


Stg 52

Dex 22

Vit 76

Int 29

Agl 77

Mnd 30

Luk 37


Skill

≪炎魔法マスタリー level22≫(▼ファイア・付与:ファイア・ブレイクフレイム・フレイムスピア)

≪直感 level 21≫≪素手格闘 level 18≫≪逃げ足 level 33≫)


 おっ♪また少し強くなってる♪


 オレの密かな楽しみ。それはニコから教わった≪ステータス≫っつー≪スキル≫を使って自分がどれくれー強くなったのかを見る事だ。


 や~。にしても、自分の強さをこうして見る事が出来る≪スキル≫があるなんて知らなかったぜ!!こーして一息ついてる時に見ると、少しずつだが確実に強くなってる事がすぐ分かる。ほんとこの≪ステータス≫っつー≪スキル≫はスゲー♪あと便利♪


 コレのお陰でオレが実はまだゴブリンのままだって事やオレの持つ“トクベツ”を知る事が出来た。


 オレの“トクベツ”は2つ、“ギフト”っつのと≪炎魔法マスタリー≫ってのだ。


 “ギフト”っつのはニコがオレ等、ゴブリンの言葉を喋れるようになった原因らしい。

 バー様に聞いたところ、“ギフト”っつのは術者の持つ≪スキル≫や≪ability≫を体の一部に付与させる事が出来る≪ability≫なんだとさ。主に髪とか無くなっても困んねー体の一部に付与させて≪スキル≫を渡したい相手にソレをやると 渡された相手は付与した≪スキル≫や≪ability≫を使えるようになるんだとさ。

 で、付与させる事が出来るのは種族固有のもんも含まれるらしい。あん時、オレは(この蜘蛛と話出来ればいいな~。)って思いながら角弄ってたから角がとれて、角に“ゴブリン言語”が付与されたんだと。…因みに、ニコが≪ブレイクフレイム≫覚えちまったのも角が原因らしい。オレ達ゴブリンにとって、角は周囲の魔力を集める力があったんだと。で、その角を体に取りこんじまったからニコは≪ブレイクフレイム≫を覚えちまったらしい…。


 2つ目、≪炎魔法マスタリー≫。

 コレはレベルが上がれば上がるだけ≪炎魔法≫を覚えるっつースキルらしい。コレだけなら別に問題無かったんだか、この≪スキル≫をオレ(・・)が持ってる事が問題なんだとさ。


 つーのもこの≪魔法マスタリー≫っつースキル、実は人間(・・)しか持てないらしい……。


 普通の魔物や魔族は≪スキル≫を別々に覚える。例えば≪ファイア≫だったり≪テレパス≫だったり≪ショック≫だったり…兎に角、一個一個覚えるんだとさ。そん中には相性が悪いのも在るらしい。


 例えば≪ライトニング≫っつースキルが在る。コレはジジィの持ってるスキルで雷魔法で体を強化する≪スキル≫なんだとさ。

 オレは≪雷魔法≫よくわかんねーからニコがコレ教えてもらってたんだが、教えてもらってからなんやかんやで3週間近く。未だに覚えられてねぇ…。

 バー様曰く、相性が悪いんだと。

 例え同属性の≪スキル≫を覚えていたとしても、必ず同属性すべての≪スキル≫を覚えられるとは限らないらしい。同じ種族でも覚えられる奴と覚えられねぇ奴とかいるんだとよ。

 一応“魔石を食べて≪スキル≫を習得する”っつー手も在るらしいが、コレは無理をすると拒絶反応で死ぬ場合があるからかなり危険。やらねー方がいいっつてた。(コレ聞いたニコが顔を青くしてた。……やったのかよ、オマェ…。)


 だが、人間は違う。

 人間は≪○○マスタリー≫というスキルを持っており、レベルが上がれば上がるだけ同属性の≪スキル≫を覚えられるんだと。オレ達みたいにコレは覚えられたけどコレは駄目だった。な~んて事がないんだとさ。ふざけてやがる。


 ただ、便利なだけじゃないらしい。


 つーのもこの≪○○マスタリー≫っつー≪スキル≫、あらかじめ才能がないと駄目らしい。例えば≪クローシェン≫を覚えたい奴がいたとする。ソイツは≪クローシェン≫を覚えたいなら≪闇魔法マスタリー≫から習得しなきゃいけないんだとよ。だが、人間≪闇魔法マスタリー≫も≪闇魔法≫の才能が無いと覚えられないんだとさ。オレ等は例えその≪魔法≫の才能がなくても相性が良ければ≪魔法≫を覚える事が出来るらしい。ニコが「イッチョウイッタンですね。」っつってた。ニコ、“イッチョウイッタン”ってなんだ?


 まーともかく、この≪ステータス≫っつースキルは便利だ。長生きのバー様もニコに教えてもらって凄く驚いてた。


『こんな≪スキル≫、聞いたこと無い!!』


ってな♪





 ……そういやニコ、この≪スキル≫、どこで知ったんだろ?

また色々やらかしました(笑)。

この世界には今まで≪ステータス≫の概念が無かったようです。


誤字・脱字を見つけましたらご報告ください。

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