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まほうばいぞうたいしつです。

本日2話更新。

1話目。次は12時に更新します。

「む、ムムムムム~。」


 目の前の種。ソレに≪グロウ≫を掛けます。

 目の前の種はみるみるうちに芽吹き、成長し、蕾になり…


 ぽんっ

「……あ。」


 しまった。また魔力(ちから)を入れすぎてしまいました…。

 小さな蕾は瞬く間に膨らみ、綻び、キレイな青いお花(あの豚肉バーガーのお花でした。)が咲いてしまいました…。


『はい。やり直しですわ。』

「うう~。難しいです…。」


 そう。お花を咲かせてはいけないのです。

 僕の課題、それは“種を成長させ、蕾で止める事”なのです。


 なんでこんな事をしているかというと、その…、実は僕、魔力の使い方が下手っぴだったんです…。

 2週間前、彼女から言われたのは次のような事でした。


◆◆◆


①スキルのレベルが高過ぎる。

 ≪スキル≫はレベルが高い程、高い威力を出したり細かな調整といった自由がききやすくなるようです。

 だから、まだ産まれてから半年も過ぎていない僕がいくら進化しているとはいえ、この森有数の実力者であるライゴウさんですら色付かせられなかった実を色付かせたのはおかしい。余程高レベルの≪スキル≫を持っていないと不可能な筈だ。と言われました。

 …ついでにですが、僕の歳を聞いたリンちゃんにも驚かれました。「オレより下だったノか!?」と。リンちゃんは今年で3歳になるそうです。(ゴブリンは2歳で一人前の大人として認められるそうです。)


②1回に使う魔力が多すぎる。

 本来、魔力を使う≪スキル≫は一定量の魔力で発動するそうです 。一定量以上の魔力を注いでも普通(・・)なら無駄な事。コップに溢れた水のようにぼたぼたぼたぼた零れ落ちて使い物にならない筈だそうです。

 だからあの時、その零れる筈の魔力が全て≪クローシェン≫に入ったのはおかしい。あり得ない事だったんだそうです。


③≪スキル≫の威力が高過ぎる。

 ②でも話した通り、≪スキル≫一定量の魔力で発動させる事が出来ます。そして、それに見合った効力しか発揮出来ないそうです。

 けど、僕が発動させた≪クローシェン≫は本来の威力を遥かに上回るだけではなく、過剰な魔力分を足しても明らかにおかしいと判断出来る恐ろしい威力だったそうです。


 それら事で不信に思ったカトレアさんは僕達がリンちゃんを探しに行っている間にこの森の最長老、主の樹であるラオヤークさんに相談していたそうです。


 その結果、大変恐ろしい事が判りました…。


 ラオヤークさん曰く、それは≪魔法倍増体質≫ではないか?との事。

 昔、それこそラオヤークさんがまだ苗木の頃(一体それは何千年前の話なのでしょうか…)に風の噂で聞いた程度らしいのですが、≪魔法倍増体質≫とはその名の通り魔法系の≪スキル≫を通常より数倍強化するabilityらしいのです。

 魔法系スキルを1.5~2倍の威力にするというabilityなのですが、過剰分が有ると更に威力を倍にするabilityだったのです。

 例に出しますと1回の≪スキル≫発動に2回分の魔力を注ぐとしましょう。すると通常分+過剰分で4倍に、3回分だと8倍に、4回分だと…16倍になるそうです…。


 解りましたか…?この≪魔法倍増体質≫の規格外(おそろし)さが……。


 なんで風の噂なのに≪魔法倍増体質(こんなもの)≫の事をラオヤークが詳しく知っているかと言うと、実は昔持っていたという方が大魔王様(この世界には魔王様とかいるらしいです。大魔王様はその中でも一番偉い方らしいです。)で、勇者様(やはりいるようです。ここ200年程産まれていないそうですが。)に倒される間際に≪魔法倍増体質≫にありったけの魔力を注ぎ込み、道連れ自爆したそうです。爆発に耐えられなかった勇者様は死亡、大魔王様は相討ちながらも勇者を倒したのです。……ただ、その代償は凄まじく、爆発範囲はその大魔王様の国が全て入った程大きい上に数千年経った今でも草1つ生えない不毛の地にする程の威力だったのです…。

 当事、その大魔王様はまだまだ子供の160歳(種族でそれぞれ違うようですが、大魔王様の種族は500歳で大人だそうです。)で、当然魔力も発展途上だったらしく……


『もし、その大魔王が大人で、魔力も強大だったらこの世界は終わっていたらしいですわ。』


 声を震えさせ、両腕を擦りながら語るカトレアさん。顔は青ざめていました…。


「「……。」」


 僕とリンちゃんは無言で顔を見合わせます。


 ――持ってるのか?

 と、目線で語るリンちゃんに、


 ――持ってます。

 と、同じく目線で答えます。


 次の瞬間、僕達がカトレアさんに泣きついて弟子入りを懇願したのは言うまででもありません。

 ……なんというか、本当になんという恐ろしいモノ持っていたんですか僕。迂闊に検証しなくてよかった。……本当によかった!


◆◆◆


「む、むむ~……」


 再び種に≪グロウ≫を掛け、調整の練習です。

 カトレアさんから習い初めて判ったのですが、実はこの≪魔法倍増体質≫というabilityは“枠”を無くしちゃうのです。

 そうですね、解りやすく説明すると≪スキル≫を車とします。車に魔力のガソリンを目安まで入れ、コントロールのアクセルを踏む事で≪スキル≫を発動させる事が出来るのです。

 スキルレベルが上がるとドンドン性能が良くなっていき、ハイブリット車やスポーツカーみたいに燃費がいい車だったりスピードが凄くでる車にランクアップするのだと思ってください。


 けど、≪魔法倍増体質≫はそれを無視させてしまうのです……。

 簡単に言うと、≪魔法倍増体質≫は改造屋さんなんです。≪スキル≫という車を改造して、ガソリンを入れれば入れただけスピードが出るように改造してしまうのです。おまけにガソリンメーターを壊し、アクセルの感度も(いじ)り、更にはガソリンタンクも規格外の容量のモノに取り換えて操縦者が今どれくらいガソリンが入っているのか分からなくしてしまう困ったさんなんです…。


 なので、こうして結果が分かりやすい≪グロウ≫でひたすら調整の練習です。少しずつ魔力を足したり引いたりして、どれくらいの量が適量なのか?どれくらいでどれだけの効果を出すのか?ちびちびとですが、そうして体に感覚を叩き込みます。

 今まで凄い沢山の魔力を注ぐか凄く少ししか注がないかの両極端でしか魔力を使っていなかった分、とても難しく感じます…。


ぽんっ

「……あ。」


 しまった。またやってしまいました。


『はい。やり直しですわ。』

「うう…。むずかしすぎます…。」


 再び…もとい、本日53本目の豚肉バーガーのお花の前に崩れ落ちます…。

 ううう、調整、むずかし~です。

なんか説明が多くなった…。


≪魔法倍増体質≫の説明に車の表現を使いましたが、分かりにくかったらすみません。


とりあえず≪魔法倍増体質≫はチートだとわかってくださればOK。

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