おししょうさまです。
少し時が経ちました。
「ヤアー!≪フレイムスピア≫!!」
ボァッ
赤い小鬼が貫きの火を飛ばした。
『遅いわ赤坊主!!』
ヒュン… バサバサバサ
貫く火を向けられた標的、黄色い羽が美しく輝く隼らしき鳥は急上昇をして火の槍を避ける。
赤い小鬼と黄色い隼が森の中を駆け回る。時に火の玉を、時に雷光を、木々を赤や黄色に照らしながら戦闘を続ける。
『甘いわ赤坊主!!隙だらけぞ!!』
「ンギャ!?」
バチイィッ
急上昇と旋回、そして急降下。
ヒット&ウェイ戦法を巧みに使いこなす隼は小鬼の背後に周り、雷を纏わせた肉体を小鬼に叩きつける。
「ガ…。ん…ぎゃぁ……。」
運悪く麻痺に陥ったのだろう。全身をひくり、ひくりと痙攣させた小鬼の片膝が地に着く。
『立て!!小僧!!この程度、まだまだ序の口であるぞ!!それとも、もう限界か?』
隼が一声クケーと鳴く。
それはまるで、まだできる。まだお前は闘える。そう言っているようであった。
ぐっ
小鬼は固まる膝を叩き、活を入れる。
「ま…だダ……。」
ゆっくりと、体を確かめるように。
体を確め、力が入るのを確認するために。
「まだ……、オレはヤれるゾ!!」
ギン
力を入れ直し、目に貪欲な光を宿す。強さを求め、然りと大地を踏み締めるその足に、もう痺れは無かった。
『…ふん、そう……来なくてはな!!』
旋回を続けていた隼も、小鬼の目に気づいたのであろう。
変わらない表情からクケー。と低い声が零れる。そこには成長する者を見届ける、強者の高みから強者を目指す者を見届ける温かな光が宿っていた。
『もう一度行くぞ!!』
バチイィッ!バチバチバチッ
全身に雷を纏わせた隼が叫ぶ。
「行くゼ老いぼれ鳥!!」
ボッ ボボボボボッ
小鬼は応えるかのように、両の掌に破砕の炎を灯す。
『「ウオォォォオオォオ!!」』
バチチチチッ ボガアッ
黄色い閃光と赤い灯火が交差した。
「リンちゃん頑張れ~!Nicht verlieren~です~!ライゴウさんも頑張れ~!」
ふれ~ふれ~。
僕はそんな2人を応援していました。
あの日から早2週間、すっかり師弟関係になった2人はいつもあんな感じでバトル!バトル!!バトル!!な生活を送っています。毎日傷を作っては「あれがマズカッタ。」「コレはイイ線いった。」等々、目をキラキラさせて話すリンちゃんは凄く楽しそうでイキイキしてます。……ライゴウさんの事ばかりで、少し妬いちゃいそうです。僕が一番の友達なのに…。少しかまってください。
『ほら、貴方も応援ばかりではなく目の前に集中しなさい。』
「あ、ごめんなさいです。かとr……じゃなかった、御師匠様。」
カトレアさんもとい御師匠様に指摘され、僕も目の前の課題に戻ります。
現在、僕はカトレアさんから≪スキル≫を、リンちゃんはライゴウさんから闘い方を其々(それぞれ)教わっています。師弟関係ってヤツです。実はTVとかみて、少し憧れていました。ちょっと照れくさいです…えへへ。
どうして2人と師弟関係になっているかと云うと2週間前、和解のあとリンちゃんが自分の力が制御出来るか解らないって言ったところから始まります。
◆◆◆
『ならば、私がおしえましょうか?』
「「え?」」
そう声をかけたのは今だ回復しきれていないライゴウさんを介抱するカトレアさんでした。
「えっ?あの、教えるって…何を、ですか?」
『何って、勿論≪スキル≫をですわよ?』
恐る恐る聞き返す僕に、何を言ってますの?って顔をしたカトレアさんが当たり前のように答えました。
「エ?エエッ!?な、ナニ言ってンだアンタ!?オレ、“炎”だぞ!?アンタ“炎”使えんノカ!?」
リンちゃんも驚いた拍子で大声を出して彼女に問い詰めます。
そう。リンちゃんは“炎”。木であるカトレアさんが使えはず在りません。使ったら燃えちゃいます。
『そんなの、使えるはず在りませんわ。』
それに対する答えは酷くアッサリしたモノでした。
……え?使えないのに、教えられるのですか?
『確かに私は“樹”。なので貴方の使う“炎”の扱いは教えられません。けれど、元々≪スキル≫とは魔力を使い制御するモノ。なので、魔力の使い方を教える事は出来ますわ。』
な、なるほど。
確かに、≪スキル≫は魔力使いますもんね…。
「リンちゃん。お言葉に甘えましょうか?」
「エッ!?」
これはチャンスです。
僕もリンちゃんも力の使い方はよく分かっていません。だからカトレアさんの申し出は大変ありがたいのです。それに、前世の経験から目上の方の言うこと断るの出来ないんですよね…僕。
「リンちゃん。頼みましょ?ね?ね?」
「う、ウウ。でも……。」
渋るリンちゃんにぐいぐいいきます。
こんなチャンス、もうないかもですよ!!
『……あの、貴殿方勘違いしていませんこと?私は貴殿方に言ってるのですよ?一応言っておきますが手解きが一番必要なのは、』
――――貴方ですわよ?
そう言ってカトレアさんの指差した先にいたのは。
「……ぼく?」
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