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視点・リン

お・く・れ・ましたぁーー!!

ごめんなさい!!(ジャンピング土下座)


しかも今回暗いのです!!


ある意味注意!

(やな夢……見ちまっタ…。)


 夢から戻り、瞼を薄く開ける。

 辺りは相変わらず薄暗い。ココはアイツ、ニコに連れられて来た奴の巣穴だ。


 あの日、ニコを連れて行かれたオレはあの後逃げるようにこの巣穴に戻った。


 痛かった。

 まるであの時、あの気狂いの暴力魔に襲われた時を思い出した。


 怖かった。

 集落で暮らしていた時感じた嫌な目。『オレがいなくなればイイ。』言葉にしなくても分かったあの嫌な目。アレよりももっと、直接的にオレを消そうとする奴等が怖かった。


 恐ろしかった。

 集落のジジイが時折、他の若い奴等に話していた昔話。偶々耳に入った時は(ソイツよりテメェラのが恐ろしいッツの……。)なんて思ってたが、そんな事無かった。クイーンバタフライのあの統率力、大量のパラライズリーの群。話で聞いたのなんか洒落にならないくらいの軍団だった。あんなの見たこと無かった。絶望的な力を前にし、唯ひたすら恐ろしかった。


 そして、何よりオレは、<オレ>を許せなかった…!!


 あの時、ニコはオレよりも小さい体のくせにオレを守った。糸で笠を作り上げ、次々来るパラライズリー達を足止めしてくれた。


 あの時、ニコはクイーンバタフライに怯むどころか、普通に「キュビキュビ」と話をしていた。オレは息を整えるのと周りを警戒することしか出来なかったのに…!


 あの時、クイーンバタフライがニコを連れ去り、オレは生かされた。

 アイツとニコがどんな話をしていたかなんて、わかんねぇ。だが、オレを襲ったパラライズリー達がニコを連れ去ったあの蝶の奴の後を追い、≪パラライズ≫にかかり動けなかったオレをそのまま放置して行った。多分あの時、蝶の奴はなんかの取引をニコにさせたんだろう。恐らく、“オレの命”を餌にして。じゃねぇと、今オレがなんで生きてンのか?と説明がつかねぇ。


ポタッ


「う、うううっ。」


 イヤだった。

 産まれて初めて、初めて出来た友達が連れ去られ、ただただソレを見てるしかできない自分がイヤだった。


 情けなかった。

 上に集まったパラライズリー達に気付かず、ニコの奴に取引をさせる餌になったオレ。情けなかった。あの時もっと警戒していたら今だってココにニコが居てくれたかも知れねぇのに…!


 もっと、もっともっともっと、ニコと一緒にいたかった!!


 “希少種(レア)”っつーののせいで、産まれてからずっと、ずっとずっとずっと集落で蔑まれ、一人で生きてきたオレに、アイツは初めて優しくしてくれた。

 アイツを襲ったのに…。食べようとしたのに…!


 あの日、集落から出て2日経ったオレは、ずっと食うもん求め、森をさ迷っていた。

 森にある植物の大体が食える物じゃねえし、ラビットやパラライズリーとかオレが一人で勝てる相手じゃねぇ。ゴブリンは群れてこそ力を発揮出来る種族だ。一人のオレじゃあ勝ないっこ無い。

 唯一安全に狩る事が出来んのはキャタストぐれぇだ。けど、そん時は何故か奴等が見つからず、ずっと空腹をもて余しながら食えるもんを探していた。

 そん時だった。漸く見つけたキャタスト、だが、ソイツはスパイダーによって動けなくされた奴だった。けどオレはソイツを食べた。腹が減って減って我慢できなかったからだ。スパイダーには気づいていた。それでも我慢できなかった。食う事しか頭に無かった。

 食った後、気づいたら暗い所にいた。

 キャタストを食った後、ある程度腹が満たされたせいかオレは睡魔に襲われ、眠っちまった。てっきり食ったキャタストを捕獲してたスパイダーに喰われたかと思っていたからなんか拍子抜けた。


ぐうぅぅぅうぅぅう~


 起きたらまた腹が減った。

 辺りを見ると、恐らくキャタストを捕獲したスパイダーがなんか葉を加工したっぽいの持ってこっちに来た。

 あん時、オレは『奴はオレを喰気だ!』と思い、奴を襲った。スパイダー程度なら勝てると思った。

 実際、オレは奴を追い詰めた。

 けど、そん後、オレは何故か気絶した。なんか頭が痛かった。

 再び目を覚ますと手足は縛られてるし、奴はなんか手に(脚に?のほうがいいのか?)糸でぐるぐる巻きになったやつ持ってオレに迫ってきた。ぶっちゃけ怖かった。


 そして奴は、その手だか脚だかに持ったやつを、オレに食わせた。ソレは食いもんだった。


 そらから奴は、何故かオレの世話をし始めた。

 いや、なんで?ほんとになんでなんだ?兎に角奴はオレの世話をし始めた。


 けど、居心地よかった。

 集落じゃ殴られるか蹴られるか無視されるか、住む所も食いもんも着る服も何も無かった。

 なのに、この変なスパイダーは何故かオレに優しかった。


 くしゃみをすれば落ち葉を集めて暖めてくれた。奴も一緒に潜ってきて、なんか温かかった。


 腹の虫が騒げば、あの糸でぐるぐるになったやつを食べさせてくれた。奴もオレの残り(糸)を食ってた。今まで食った飯のどれよりも美味かった。後でアレがキャタストだと知ったが、アイツどんだけ捕ってたんだよ…。なんだかんだで20とちょいあったたぞ…。美味かったけど。


 夜、オレは泣いた。

 どうしようもなく涙が溢れだした。奴は初めの頃は右往左往してた。奴があの“ウタ”を歌いだした。心地いい、温かなふわふわ。初めての気持ちだった。涙は自然と止まった。以来、寝る時は“ウタ”を歌ってくれた。


ポタッ、ポタポタポタッ


 けど、今奴はいない!


 あの日、オレが捕まったせいだ!!


 捕まらなければ今だってニコと落ち葉の中で寝ていられた!あの温かさを知っちまって以来、全然眠る事が出来ない。


 飯だって美味しかった!逃げた後、なんとか捕まえた獲物の味がわからない。唯ひたすら不味い。以来食欲もわかなかった。


 “ウタ”だって聞けた!

 あの温かくてふわふわで、優しい音が欲しかった。ずっとずっと欲しいモノだった!なんでもかんでも包んでくれるあの音が、オレはずっと欲しかった!!


ポタッ、ボタボタボタッ


 なのに、なんでなんだよ!!

 なんで連れてくんだよ!!やっと話せた。角がとれたのは驚いたが、それ以上に話が出来たのが嬉しかった!


 名前を知れた。ずっと〈蜘蛛〉なんていう温かみも何もない名しか呼べなかったけど、血の通った、優しい奴の名が判った。〈ニコ〉。ピッタリな名前だと思った。


 友達。友達になれた…!!

 親も兄弟も、集落の同族達とも、誰ともなれなかった“友達”。ニコはソレになってくれた。吃驚するほど、簡単になってくれた。

 オレを〈リンちゃん〉って。あまりにも嬉しそうに呼ぶから、『恥ずかしいから嫌だ。』 なんて言えなかった。今はその声さえ懐かしい…。


ボタッ、ボタボタボロボロボロッ


 返して。返してくれよっ!!

 やっと出来た友達なんだ!!ずっとずっと欲しかった友達なんだ!!何にも要らないから、他に何にも要らないからニコだけは返してくれよっ!!今までだって、オレに何もくれなかったじゃないか!!何も与えてくれなかったじゃないか!!なんでだよ!!いいじゃないか、友達の一人くらい!!オレの命だってなんだって、やるから…。やるからニコだけは返してくれよっ!!


「ぶ、ブブブブブゥー……。」

ボタッ、ボロボロボロボロボタッ


 寒い、ひたすら寒い横穴の中、一人で泣いた。


 ココは奴の、ニコの臭いが残っているから…。


 眠い。

 瞼が重い。


 再び夢の中に入ろうとした時、なんか声が聞こえた気がした。ニコに、似た声だった。


(次は、いい夢見られるかな?)


 そんな予感がした。きっと、次はいい夢だ。

リーヤ「がはっ」


リンちゃん過去回…。

SAN値ゴリゴリ削りながら書いたやつが消えてしまったダメージがでかすぎる…。


誤字・脱字を見つけましたらご報告ください。

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