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くいーんばたふらいです。②

前回の簡単なあらすじ


 ニコは全裸(しかくのぼうりょく)からリンちゃんを守る為、痴女(クイーンバタフライ)に服を作ってあげたら勧誘された。

「………………は?」


 えっ?今、なんと?


「じゃから、妾の仲間にならぬか?と聞いたのじゃ。」


 そう胸を張って答えるクイーンバタフライさん(もう面倒なので女王さんでいいですね)。

 イヤイヤイヤ。待ってください!


「な、何をいってるんですか!突然!!そんな事言われても、困ります!!」

「突然でもないわ。元々、妾は衣服が欲しくてのう。流石に全裸はイヤだったのじゃ…。まだ季節的に少し寒いのじゃ…。寒いのは嫌いじゃ……。」


 喋る内に、どんどん肩が下がっていく女王さん。まぁ、確かにまだ少し肌寒いですからねぇ…。


「しかしじゃ!(ぬし)のこの服!これは凄いのじゃ!!今まで、妾は時折この森に来る冒険者の人間共の着る服を見て、服とは“動きにくい不便な布切れ”。そう思っておった。

 じゃが、見よ!!この服を!!

素材はそこいらに生える草葉にも関わらず、サイズは勿論の事。肌触り、動きやすさ、通気性、すべてぱーふぇくとなのじゃ!!デザインも妾の好みじゃし、雰囲気にもピッタシなのじゃ!!

 この森において、ここまでの服を作れる者は居るか?いや、居らぬ!!妾はこの森で十年近く生きておるが、服を作るどころか、そもそも服を知らぬ生き物のが多いのじゃ。

 じゃから妾は断言しよう。

 主こそが、この〈ゴールの森〉一番の服職人じゃと!!じゃから、主は妾の仲間に成るのじゃ!!」

「え、ええ~……。」


 再び胸を張り、堂々と宣言する女王さん。と言いますか、貴方ほんとに10歳くらいだったんですね…。生後数ヶ月~数年くらいだと思ってました…。


「いや、あの。僕、そんな事言われても、シャツとかワンピースとかカーディガンとかの簡単なヤツしか作れませんよ…。毛糸とかも得意っちゃあ得意ですけど、セーターとかマフラーとかの簡単なヤツしか出来ませんし…。そもそも、そんな草や葉を粘着糸で貼り付けただけの服と呼ぶのも烏滸がましい物体でこの森一番とか………流石に言い過ぎですよ?大体、この森には他の蜘蛛さん達だって居ますよ。その方々だって(知っていれば)そんな服くらい作れる筈です。ちょちょいのちょいです。」

「!?そ、そんなに作れるのか…お主……。ますます欲しくなったぞ……!」


 ありのままの事を伝えたら、何故か目を爛々に輝かせた女王さん。あれ?僕、何かまちがってます?


『……オイ。オイ、ニコ。さっきっから何「キュビキュビ」一人言呟いてんだ?アイツ等が止まってんのとナンカ関係あんのカ?』


 蚊帳の外だったリンちゃんに話しかけらました。そうでした、リンちゃん言葉通じてないんでしたね。

 先程の話をありのまま話します。

 すると、


『す、すげぇ…!ニコ、オマエ、そんなに服作れんノカ!?』


 何故かリンちゃんまで目をキラキラさせて僕に詰め寄ります…。あれ?えっ?やっぱり僕が何か間違ってます?


『え?ええ?り、リンちゃん?僕、本当に簡単なヤツしか作れませんよ?』

『バカ!何言ってんダヨ!オメェは簡単に作れっかもしんねーけど、オレ達みたいな“魔物”とか“魔生物”は戦ったり壊したりすんのは得意な奴が多い代わりに、ナンカを作ったりすんのは苦手…っつーより出来ねーんだヨ。勿論、手先がキヨーな“グレムリン”とか鍛冶の神の加護を受けた“タダラ”は別として。オレみてーなフツーのゴブリンは無理なんだって!!スパイダーだって、巣をスゲー繊細に作る奴は聞いた事あっけど、服作れる奴なんて聞いた事もネーヨ!!マジなにもんなんだよ!ニコ、やっぱオメェ“天才”ってヤツなんだろ!!スッゲェ…!ヤッパスゲーよ!オメェ!!』


 目をキラキラさせて『ニコスゲー!スッゲェー!!』と言いまくるリンちゃん。


 止めて!そんな目で見ないで!!僕は一ノ瀬さんに教わっただけの素人です!!初心者に毛が生えただけの素人なんです!!だから、だからそんな、そんなキラキラした目で僕を見ないでー!!


「ふ、ふふふ。ふははははは!良いぞ…良いぞ良いぞ良いぞ!無事にランクアップを成功させ、同胞も力を溜められただけでなく、念願の服とそれを作れる奴を見つけられるとは…!!」


 僕がリンちゃんから尊敬の眼(せいしんこうげき)を受けていたら、急に高笑いを始めた女王さん。

 え?ど、どうしたんですか?


「オイ!スパイダーよ!!主の名はなんじゃ!」

「へっ?な、名前ですか?平和島(へいわじま) 笑音(みおん)ですけど…。呼びにくいのなら、ニコで大丈夫です……。」

「そうかそうか…。ニコ、ニコか……。くふふふふ……」


 突然僕の名前を聞き、忍び笑いを始めた女王さん…。

 あの、笑い隠せてませんよ?それと、貴方も愛称の方を使うんですね…。もう今度から愛称の方を名乗りましょうかね…?みんな呼びませんし……。


「オイ。ニコとやら。もう一度言おうぞ。貴様、“妾の仲間になれ。”」


 再び僕を仲間に誘う女王さん。


「申し訳ありませんが、ご遠慮します。」


 しかし、僕の答えは決まっているのでご遠慮します。いや、だって、さっきこの人(この虫?)言ってたじゃないですか。


「この森を支配しよう」って。


 それってつまり、蝶を除くこの森の全ての生き物を敵に回すって事ですよね?イヤですよ。そんなの。折角リンちゃんと仲良くなれて、これから友達のいるDas Leben(じんせい)楽しもうってときに。冗談じゃありません。第一、僕は弱いです。す………っごく弱いです!!満足に倒せるのってクリ芋さん以外居ないんですよ。他は蝶々さんも小鳥さんも兎さんも、みーんな不意討ちとかでしか倒せません!!それなのにこの森の生き物全て敵とか……ブルブル。恐ろしすぎて想像出来ませんよ!


「くく、くくくくく。貴様、何か勘違いしてはおらぬか?」


 ハッキリと言ったにも関わらず嗤い続ける女王さん…。勘違い?


「か、勘違い…?勘違いってなんですか!?ぼ、僕はイヤですよ!この森の生き物を敵に回すとか…、そんな怖い事、出来る訳ないじゃないですか!!」

「そこじゃよ。そこ。それが貴様の勘違いじゃ。」


 勘違い勘違いと言って、嗤い続ける女王さん。

 ハッキリ言って、不気味です……。


『(ボソッ)リンちゃん、僕がこれから隙を作るから、リンちゃんはすぐに逃げ………リンちゃん?』


 僕はリンちゃんに小声で話しかけ、そして、反応が無いことに気づきます。

 不思議に思い、ソッとリンちゃんのいる方を向けば…


『に、にご…。』

『!?り、リンちゃん!!』


 大量の麻痺蝶々さん達に囲まれ、麻痺したのか小刻みに震えるリンちゃんがソコにいました。


『じゃから勘違いしとると言うたのじゃ。ニコ、妾は言うたぞ?




――――――“妾の仲間になれ”と。』

編物経験者だから言える…


ニコよ、毛糸のセーターとかは簡単って言わない。ありゃ根気ないと出来ない。ガチで…。


 それとニコは知りませんでしたが、高レベルの生産系スキルにはある程度補整や効果がつきます。この場合、例の服には≪肌触り(柔)≫と≪(ひるがえ)り防止≫という鉄壁の馬鹿げたスキルが付いていたり…。


そして、リンちゃんピンチ!!


誤字・脱字を見つけましたらご報告ください。

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