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第51話 ちょろい女神様

「な……ッ!? 我が『消去プログラム』が……消滅の概念そのものが、書き換えられている……だと!?」


 神域の最果てに、絶対神である『世界の意志』の動揺した悲鳴が響き渡った。


 俺が鳴らした指の音――【概念猛毒・万象解毒――『世界の再定義(オーバー・ライド)』】が波紋のように広がり、世界を黒く塗りつぶそうとしていた『無』の概念を、ドロドロとした『極上の完熟メロンフレーバーの特製美容液』へと強制的にリフォームしていく。


「バカな……! 空間を『無』に帰す神の絶対法則だぞ!? なぜ……なぜ『特製美容液(そんなもの)』に変貌するのだぁぁぁッ!?」


「だから言ったろ。神様のルールだろうが何だろうが、俺の【神毒】の前にはただの『デトックスの対象』でしかないってな。」


 俺は甲板の端に立ち、宙に浮く女神を見上げる。


「トウマ様、見てください! 飛空艇を包んでいた神域の嫌な圧迫感がすっかり消えて……肌がすごくしっとりモチモチになっていきますわ!」


 セレフィナちゃんが、自分の頬を触りながら目を輝かせる。


「本当! 魔力の上限値まで勝手に底上げされてる……! トウマくんの『神毒』、神様の力を逆に私たちのパワーアップ用サプリにしちゃってるんだ!」


 ツインテールを揺らすエレノアが、感銘を受けたように声を弾ませた。


「おにいちゃん! ミィナ、尻尾のツヤが過去最高になったのです!」


「ふふ……これで夜の『解毒』も、さらに濃厚に楽しめそうですわね。」


 ミィナやイザベラさんをはじめ、ハーレムメンバー全員が、世界消滅の危機などどこ吹く風、『神域の美肌&魔力補給空間』を満喫し始めている。


『お、おのれ……! たかだか人間の一粒が、世界のシステムに抗おうなどと……!』


 プライドを粉々に砕かれた女神は、光のドレスを激しく波立たせ、その巨大な手から無数の『因果改変の雷』を振り下ろしてきた。


 触れた者の『存在していた歴史』そのものを過去に遡って抹消する、神の最終兵器。

 

「トウマ殿、あの一撃は……!」


 ヴィオレが警告の声を上げるが、俺は動じない。


「歴史の抹消か。……なら、その『抹消しようとする神の意志』そのものを、俺に対する『無条件の服従心』に書き換えたらどうなる?」


 ――【概念猛毒】


 パシィィィン……!!!


 二度目の指の音が神域に響く。


 振り下ろされた神罰の雷は、直前にピンク色のハート型の光へと変貌し、あろうことか攻撃を放った女神自身に向かって逆流していった。


『な……っ!? あ……あぁぁぁ神の……歴史が……我が神格が……ッ!?』


「あ……甘い……っ! 何ですかこの、脳みそが蕩けてしまうような甘美な毒は……ッ!? 我が『絶対の意志』が……トウマという存在への『愛』で塗りつぶされていく……ッ!!」


 胸を押さえ、宙で身を悶えさせる女神。 その神聖だった光の姿が、毒に侵されるように赤く染まり、みるみるうちに等身大の「可愛らしい美少女の姿」へと凝縮されていく。


「ひ、引き剥がせない……っ! 世界のシステムそのものが、トウマ様を『我が絶対の主』と認識し始めて……っ! ああぁ……主様……トウマ主様ぁぁぁッ!」


 かつて世界をリセットしようとした冷酷な絶対神は、俺が指を二回鳴らしただけで、涙目になりながら俺を見上げる「チョロい神様」へと変換されてしまったのだった。


「ふぅ。神様にしては大したことなかったな。」


 俺はただ、降伏した女神を見下ろすのだった。


 第51話を読んでいただき、ありがとうございました!

 

 世界を消去しようとした絶対神すらも、結局はチョロかったですね。


「女神様チョロすぎワロタ」と思ってくださった方は、ぜひ【ブックマーク】と【☆☆☆☆☆(ポイント評価)】での応援をよろしくお願いいたします!


 明日も21:00に更新します!

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