第45話 暗部の首魁もやっぱりザコでしかない
「ひ、ヒィィィッ! 来るな……! 来ないでくれぇぇぇッ!」
『虚無の孤島』の中心部。かつて『帝国の暗部』の最高幹部たちが冷酷な指示を出していた厳粛なる大ホールは、今やピンク色の湯気が立ち込め、ほのかに甘い桃の香りが漂う「極上の温浴サロン」へと成り果てていた。
豪華な椅子にしがみつき、ガタガタと震えているのは、暗部を束ねる首魁のヴァルザック。その周囲では、かつて世界を裏から支配しようと企んでいた最強の刺客や精鋭魔導師たちが、俺の【神毒】によって完全に戦意を毒殺され、うっとりとした表情で床にへたり込んでいた。
「あぁ……トウマ様……。なんて温かくて、甘美な魔力なのでしょう……っ」
「私、今までなんて醜い悪意に囚われていたのかしら……。これからは一生、トウマ様の奴隷としてお仕えしますわ……っ」
かつて冷血無比と恐れられた暗部の女幹部や精鋭の女刺客たちが、頬を紅潮させ、ハートマークの浮かんだ瞳で俺を見上げている。俺の【概念侵食】によって、彼女たちの「敵意」や「殺人衝動」という因果そのものが、すべて『トウマへの狂信的な愛情』へと書き換えられた結果だ。
「やれやれ。大層なアジトの割には随分と打たれ弱いな。」
俺は湯気の立ち込めるホールを悠然と歩く。両脇には、金髪をなびかせた第一王女セレフィナちゃんとツインテールを揺らすエレノア。背後には、俺の服の裾をぎゅっと掴んで甘える始祖の王女アバちゃんが控えている。
「トウマ様、あそこにいるのが残った最後の害虫ですわ。」
アバちゃんが、冷ややかな視線を首領ヴァルザックに向けた。
「くっ……! 始祖の王女……! なぜお前が奴の味方をしている!? お前は世界を滅ぼす『世界の悪意』そのものだったはずだろ!!」
「ふふ、愚かですわね。」
アバちゃんは優越感に満ちた笑みを浮かべ、俺の腕に豊満な胸を押し付けた。
「トウマ様の【神毒】は、世界を滅ぼす悪意すらも一瞬で極上の幸せに書き換えてしまう神域のチート……。そんな素敵なお方に侵される快感を知ってしまったら、世界滅亡なんて下らないこと、どうでもよくなるに決まっています!」
「な……なにを……何を言っているんだお前たちはぁぁぁッ!?」
ヴァルザックの顔が驚愕と絶望で歪む。「世界の崩壊」という壮大な計画。 それが、俺の指先一つでただの「最高級ハーレムスパ施設」へとリフォームされ、あまつさえ崇拝する始祖の王女まで俺に抱きついているのだ。
「これで終わりだ、ヴァルザック。」
俺は静かに右手を掲げ、親指と中指を重ねる。
「ひっ……! や、やめろ! 指を鳴らすな! 頼む、命だけは――」
「――【万象解毒】」
パシィィィン!
澄み切った指パッチンの音が響き渡る。
「あ……がっ……!?」
ヴァルザックが持つ「世界を滅ぼすための極大呪具」の耐久値と構造が、一瞬で分子レベルまで分解・侵食され、ただのピンク色の入浴剤へと変わって弾け飛んだ。さらに、彼の体内に溜め込まれていた禍々しい悪意の魔力は綺麗にデトックスされ、すべて俺の『永久魔力炉』へと吸収されていく。
「お、俺の……俺たちの組織が……世界を揺るがす『帝国の暗部』が……指パッチン一発で……ッ!?」
全魔力を吸い上げられ、戦う術も糧も失ったヴァルザックは、あまりの格の違いと現実の不条理さに絶望し、泡を吹いてその場に昏倒した。
こうして、世界を裏から脅かしていた巨大な悪意の組織『帝国の暗部』は、誰一人としてまともな戦闘すら許されないまま、完全なる惨敗と自滅を迎えたのだった。
「ふぅ。無駄に広いアジトだったが、まあまあ快適な温泉施設にはなったな。」
俺がソファーに深く腰掛け、運ばれてきたトロピカルドリンクを口にすると、周りのヒロインたちが一斉に群がってくる。
「トウマ様! 次は私と一緒にこのお湯に入ってくださいますわね!?」
「ちょっとセレフィナ、ずるい! 私だってトウマくんと混浴したいんだから!」
「トウマ殿!私も忘れないでくださいね!」
「ミィナもお背中流すのです! パタパタ!」
「トウマ様。私はいつでも準備ができておりますのよ。」
「わかったわかった。みんな順番にな。」
俺は彼女たちの賑やかな奪い合いに苦笑するのだった。
だが、世界の悪意の息の根を止めたことで、さらなる「大国」の動きが加速しようとしていることを、俺たちはまだ知らなかった。
第45話を読んでいただき、ありがとうございました!。
『帝国の暗部』の首領すらも、トウマの指パッチン一発で呪具を入浴剤に変えられ、完全自滅となりました。その無敵ぶりに、敵の最高幹部たちもメス化してうっとりしています。
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明日も21:00に更新します!




